見どころ

12月15日(火)、東京ドームで2020年シーズンの社会人王者が決する。

第34回JAPAN X BOWL(JXB)はAブロックで負けなしを誇った富士通フロンティアーズと、Bブロックを勝ち上がったオービックシーガルズの対決だ。富士通(8年連続12回目)とオービック(4年ぶり11回目)の顔合わせは4年ぶり5度目で、これまでの対戦成績はオービックが3勝1敗と勝ち越している。

リーグを代表する2チームの戦いとあって、迫力ある熱戦が期待される中、富士通攻撃の中心はクオーターバック(QB)マイケル・バードソンがけん引するパスオフェンスだ。Xリーグ2年目の司令塔は今季リーグトップの7タッチダウンをマークしたほか、パス71回を投じてインターセプトが1つと抜群の安定感を見せた。

そのバードソンのメインターゲットとなったのがワイドレシーバー(WR)松井理己。関西学院大学出身の2年目は、身長185センチのサイズを武器に今季チーム最多の3タッチダウンレシーブを記録している。球際が強くなり、中村輝晃クラークや宜本潤平といった日本代表クラスのレシーバーを脅かす存在にまで成長した。バードソンと松井のホットラインは頂上決戦でも相手にとって脅威となるはずだ。

空中戦が機能した一方で、ラン攻撃は鳴りを潜めた。2019年リーグ最優秀選手のグラント・サマジーと2年ぶりに戦列復帰した2018年リーグMVPトラショーン・ニクソンのランニングバック(RB)デュオは他チームがうらやむほどの陣容だが、第2節のIBM BigBlue戦と第3節のエレコム神戸ファイニーズ戦では、フロントに選手を多く集める相手守備に苦戦した。ニクソンは守備での出場機会がメインとなりそうではあるものの、昨年のJXB最優秀選手に輝いたサマジーの覚醒が富士通の5連覇には欠かせない。

一方、X1 SuperのBブロックに属したオービックは、Aブロックで3戦全勝を遂げた富士通と異なり、1回少ない2試合しか経験していないが、エースQBジミー・ロックレイが積み上げたタッチダウンは、3戦出場の富士通QBバードソンと同じ7個。走っても2タッチダウンと、加入1年目からチームの主軸として活躍した。

ロックレイと息の合った動きを見せ、レシーバー陣の中心的役割を果たしたのがWR西村有斗だ。リーグトップの5タッチダウンキャッチに加えて、捕球回数(8)と獲得ヤード(203)でチーム最多の数字をたたき出し、副主将らしくプレーで周囲を盛り上げた。西村自身が要警戒プレーヤーに挙げていた相手ディフェンシブバック(DB)アルリワン・アディヤミとの攻防は見ごたえがありそうだ。また、富士通主将の趙翔来は「ロックレイと西村選手のビッグプレーがこわい」と主軸2人に警戒を強めている。

他にも、NCAA1部校で日本生まれの日本人として初めてフィールドに立ったカレッジフットボールの名門UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)出身の庄島辰尭がオフェンスラインの屋台骨を支えてきた。加入1年目から先発センターを任された27歳の庄島はオフェンスラインの一角として、リーグ2位の175ヤードを走った李卓の走路を確保するとともにQBロックレイの壁となった。身長188センチ、体重137キロのサイズは、強力な富士通守備陣にとっても脅威となるはずだ。

両チームともハイパーオフェンスが武器だけに、カギを握るのはディフェンスとキッキングゲーム。守備はほぼ互角と思われるので、キッキングゲームのリターナーに注目する。

富士通は高津佐隼矢が今季開幕戦で99ヤードキックオフリターンタッチダウンをいきなり決めてチームを勢いづけた。対するオービックも、西村がJXB出場権をかけたパナソニックインパルス戦で1回平均41ヤードと常に好位置へボールを戻し、勝利に一役買った。接戦の展開が予想される中では、高津佐と西村の快足が勝敗を左右するかもしれない。また、富士通・西村豪哲とオービック・山﨑丈路の両キッカーの正確なキックも、重要局面で大事となる。

JXB最多連続優勝記録は富士通とオービックが保持する4連覇だが、今回、富士通が勝てば記録更新となる。最多優勝(8回)のレコードを保持するオービックにとって、富士通は2016年に5連覇を阻まれた因縁の相手。それだけに目の前でメモリアル勝利を献上することは何としても避けたいところだ。意地と意地がぶつかり合う頂上決戦の火ぶたがまもなく切られる。