【X1 Super】鹿と獅子が大熱戦! ディアーズがオール三菱にサヨナラFGで昇格後初勝利
2022年10月10日(月) 17:16X1 Superレギュラーシーズン第3節は10日、オール三菱ライオンズと胎内ディアーズが富士通スタジアム川崎で対戦した。ここまで未勝利チーム同士の一戦は、ディアーズがサヨナラフィールドゴールで28対26の勝利。今季からX1 Superに昇格したディアーズは、うれしい昇格後初勝利を飾り、今季成績を1勝2敗とした。
立ち上がりはお互いにスリーアンドアウトに終わっていた試合は、まずはオール三菱が先制した。ディアーズの攻撃をパントに抑えたチームは、15ヤード付近でボールをキャッチしたリターナーの中野哲也がリードブロッカーをうまく利用して縦に駆け上がり、そのままエンドゾーンまでボールを運ぶ85ヤードパントリターンタッチダウン。ビッグプレーが飛び出したオール三菱が先手を奪った。
対するディアーズは、立ち上がりこそラン攻撃を軸に攻めていたが、先制を許してからはクオーターバック(QB)加藤翔平のパス中心のオフェンスに変更。これが功を奏したか、自陣45ヤードからスタートしたドライブはQB加藤のパスで着実にゲインし、36ヤードのフィールドゴールにつなげた。
その後は両チームともQBがインターセプトのミスを犯すなど攻め手を欠く中、前半終盤に試合が動き出す。ファンブルリカバーで攻撃権を得たオール三菱がフィールドゴールで加点する。一方のディアーズも、田邊翔一が94ヤードキックオフリターンタッチダウン。返す刀で、すかさず点差を詰め寄る。しかし、トライフォーポイントは失敗して同点機を逃す。前半は、オール三菱の1点リードで折り返した。
後半も前半同様に息詰まる熱戦が展開された。第3クオーター開始早々にディアーズが逆転に成功する。レシーブスタートのディアーズは、QB加藤翔平からWR杉田有毅の51ヤードパスなどでエンドゾーン近くまで前進。ラストは、ゴール前1ヤードでランニングバック(RB)川村龍之介が頭からエンドゾーン内へ突っ込みタッチダウン。しかしディアーズは、2点コンバージョンを失敗して、得点は15対10。
この試合初めて追う立場になったオール三菱は、自陣27ヤードから攻撃をスタートするとRB中野哲也の37ヤードランで一気に敵陣へ突入。さらにQBジョン・ギブスJr.のパスや相手の反則でレッドゾーン内まで進み、仕上げはQBギブスがエンドゾーン右コーナーのWR小原嶺へふわりとした優しいパス。相手守備にカバーされていた小原のここしかないというところにピンポイントで決まり、オール三菱が試合をひっくり返した。さらに2点コンバージョンもギブスと小原のコンビで成功させたオール三菱は、リードをフィールドゴール1本差に広げた。
今季初勝利に闘志を燃やすディアーズは、インターセプト献上、フォースダウンギャンブル失敗でレッドゾーン内での得点機を逃していたが、樋口斎のインターセプトで攻撃権奪取。自陣42ヤードからの好機に、QB加藤からWR田邊の39ヤードパスで一気に敵陣へ。ラストは、ランパスオプションからRB松下堅一郎がエンドゾーン内へ駆け込み逆転に成功した。
なおもフィールドゴールで3点を追加してリードを7点に広げたディアーズ。試合残り2分39秒、敵陣27ヤードから始まったオール三菱にタッチダウンと2点コンバージョン成功を許して25対26と土壇場で試合をひっくり返されてしまう。試合時間は残り59秒。逆転の望みをかけたファイナルドライブは自陣36ヤードから。ここで百戦錬磨のベテラン司令塔の真骨頂が発揮された。日本代表も経験した34歳の加藤は、まずは慌てずに盟友のWR前田直輝へ7ヤードのパスを成功。自身の10ヤードランを挟んで、再びWR前田へ19ヤードパスをヒット。これでフィールドゴール圏内に入ると、パスと加藤のランでさらに前進。ディアーズはタイムアウトも効果的に使い、試合残り時間1秒。ディアーズファンが固唾を飲んで見守る中、ゴール前19ヤードでK青木大介の左脚から蹴られたボールは綺麗な放物線を描き、ゴールポストの真ん中を通過。その瞬間、これまでの静寂が嘘のようにディアーズのサイドライン、スタンドは大歓声に包まれた。