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宜本潤平は「今に集中」 李卓は「自律」 新主将がチームに伝えるメッセージ

2023年06月16日(金) 12:00

6月18日に富士通スタジアム川崎で開催されるパールボウル決勝で顔を合わせるノジマ相模原ライズ(初出場)とオービックシーガルズ(4大会連続13回目の出場、優勝8回、リクルートシーガルズ時代を含む)。今季はともに新しい主将を迎えて臨む。ノジマ相模原はワイドレシーバー(WR)宜本潤平、オービックはランニングバック(RB)李卓だ。

いずれも日本代表選出の経験があり、社会人で日本一も味わったベテラン選手だ。その二人がリーダーとしてチームに伝えたいメッセージとは何なのか。

「僕自身もう今年で33歳のベテラン選手。(2年前まで在籍した)富士通フロンティアーズでライスボウルやパールボウル決勝の舞台も経験している。日本代表での経験も含めて、それらを若い世代に伝えている」とノジマ相模原で2シーズン目を迎える宜本は言う。

宜本は立命館大学を卒業後富士通に入団。在籍した9年間で日本一を6回経験した。そのうち3度はフロンティアーズの主将としてトロフィーを手にした。昨年春にノジマ相模原に移籍し、自身のプレーとリーダーシップでライズを引っ張ってきた。今春はリハビリ中のため出場はないが、それでも主将としてチームにメッセージを伝え続ける。

「経験や細かい技術も当然だが、僕はやっぱり気持ちとかマインドのところで常に今に集中してほしい、常に戦い続けてほしいと伝えている。下馬評では対戦相手が強いと言われていても、実際に試合では何が起きるかわからない。だから常に今、1プレーに集中して自分のできることをスタートからフィニッシュまでやりきろう、勝ち切れ、戦い続けようと、ライズの練習でほとんど毎回話している」と語る宜本。選手と言葉を交わすコミュニケーションを大切にするリーダーだ。

昨年まで2年間カナディアンフットボールリーグ(CFL)のモントリオール・アルエッツに在籍し、今年からオービックに完全復帰する李は、ヘッドコーチなどチーム体制が大きく変わる中で自ら手を挙げて主将となった。投稿プラットフォーム「note」にも「本気で革新に臨むチームの姿勢」を熱くつづっている。そんな彼がチームに伝えたいメッセージは「自律」だ。

「オービックシーガルズは本当に多様な選手がいるクラブチームだ。いろんなバックグラウンドや職種の選手がいて、それぞれにいろんな考え方を持っている。多様であることの強さはオービックのDNAでもあって、チームも標語として掲げている」と李は言う。しかし、多様性があるだけで強さを生むものではないと彼は考える。

「多様性という選択肢があることが強さなのではない。多様性の中でも自分が流されず、『こうだ』という自分の選択を持つことが強さだと思う」

それが自分を律すること、すなわち「自律」だ。NFLへの挑戦やCFLでのプレー経験を通じて多くの海外選手と出会い、さまざま環境に身を置いた李だからこその言葉かもしれない。

「選択肢が増える中でただ漠然といろんなことに手をつけていては、自分というものはなくなっていく。その中で自分はどんなスタイルでやるのかを考えること。それがプロフェッショナルなことだと思う。チームとしてのプロフェッショナルな集団になるには、自律が必要だと考えている」

コロナ禍での中断を経て4年ぶりに開催されるパールボウル決勝。フットボールをかたどった銀色の優勝杯を掲げるのはノジマ相模原かオービックか。決戦は間もなくキックオフを迎える。