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「緊張よりワクワク」 超ポジティブ思考で夢への一歩を踏み出した元アマチュア横綱

2023年07月21日(金) 18:00

「緊張よりはワクワクしている方が強くて、楽しみで仕方がありません」。

日本体育大学1年時の2020年に全日本相撲選手権を制し、史上2人目となる大学1年生のアマチュア横綱に輝いた花田秀虎が18日に都内で会見を開き、全米体育協会(NCAA)1部校のコロラド州立大学に編入することを表明した。夢であったNFL挑戦に向けて、元アマチュア横綱が大きな一歩を踏み出した。

編入のきっかけは、SNSに投稿された動画だった。今年の3月に招待されたカナディアン・フットボール・リーグ(CFL)コンバインでのプレーを紹介したXリーグのツイッター投稿がCFLにリツイートされて拡散されると、米カレッジ関係者の目にもとまった。花田に興味を持ったのは、コロラド州立大のほかハワイ大、テキサス大、オハイオ州立大とNCAA1部校ばかり。花田はその中から、出場機会やアカデミックなことも考慮してコロラド州立大を選択した。

「僕はアメフト未経験で、相撲から転向してきたという話題性でいろいろ注目していただいているのですけれども、これからはいちフットボール選手として戦っていくわけなので、試合に出ることが本当に大事だと感じています。全米トップの大学に行くと、そこで揉まれて試合に頑張って出るっていうこともひとつの手ではあったのですが、まずはしっかり基礎を学んで、試合にたくさん出て、自分のフットボール経験を積みたいっていうところで、コロラド州立大学がすごく僕には合ったのではと思います」。

アメフトに関しては、スピードとパワーを兼ね備えたフィジカル、アメフトにも活かせると思った相撲の前さばき、大柄な外国人にも気後れしない強靭なメンタルとおよそ15年近くまい進した相撲道で培った技術でカバーするつもりだが、アメリカ挑戦するうえで最大の障壁となるのが語学だ。

現時点では、「まだまだです。少しコミュニケーションを取れるぐらいで、急にサイドラインから早口で言われたら、多分まだ聞き取れないレベルと思っているので、そこは急速にどんどん学んでいかないといけない」。8月前半から授業が始まるそうだが、「まずは英語のレベルテストを通過しないと正規の大学生になれないので、今は本当に切羽詰まって勉強をやっています」と明かす。

会見の最中に、花田が何度も口にしたのが「運」。「練習生としてCFLの日本コンバインに参加」、「CFLコンバインに招待」、「CFLコンバイン時のプレーが拡散」、「NCAA1部校の目に留まりオファー」。夢の入り口に向かってとんとん拍子で進み、確かに「運」はいいのかもしれないが、もちろんそれだけではない。しっかりとした実力が裏付けされていなければ、そもそも練習生としてコンバインに参加することができなかった。大一番で実力を発揮できるのは、何かを「持っている」証拠だ。

夢に向けてのスタートラインには立つことができた。ここから過酷な試練が待ち受けていることは本人も重々承知している。

「ここからは本当の自分の実力で勝ち上がっていかないといけないっていう自覚もあります。ここからどうやって生き残ってNFLを目指していくかっていうところが僕の中で一番だと思っています」。

花田にはこれから多くの高い障壁がそびえ立つだろう。しかし、「NCAAを通過点」と捉える21歳の若武者は、相撲で体得した技術と持ち前のポジティブな考えでクリアしていくことを期待したい。