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「60点」の初戦、大差の勝利に甘んじることなくさらなる進化を目指す富士通

2024年09月04日(水) 18:30

【パスキャッチとパントリターンでTDを決めた富士通フロンティアーズWRサマジー・グラント  ©X LEAGUE】

「出来としては60点ぐらいです」。

富士通フロンティアーズは8月31日の開幕節で富士フイルム海老名Minerva AFCを36対7で下し、好スタートを切った。スコアだけを見ると圧勝したかのように見えるが、山本洋ヘッドコーチは勝利の裏に隠れた課題に目を向けていた。

【3TDパス成功で試合のMVPに選ばれた富士通QB高木翼(中央)  ©X LEAGUE】

この試合では、攻撃面でクオーターバック(QB)高木翼が3つのタッチダウンを決める見事なパフォーマンスを披露。特に前半終了間際のツーミニッツオフェンスでは、落ち着いたプレーでチームをフィールドゴールに導いた。山本HCは「高木はディフェンスをしっかりリードし、プレーコールも的確にこなしている。オフェンスとしては良いシリーズができた」と称賛の言葉を惜しまなかった。

守備面でも相手を計88ヤードに抑える堅守を見せた。サックこそなかったものの、山本ヘッドコーチは「サックは取って欲しかったが、変にプレーが出されることはなく、及第点は与えられる」と評価。特に目立った守備のほころびは見られなかった。

【富士フイルム海老名を88ヤードに抑えた富士通ディフェンス陣  ©X LEAGUE】

しかし、試合を通じて2回のファンブルロストやフィールドゴール失敗などのミスが散見されたことも事実だ。前半には3シリーズ連続で得点が止まる場面もあり、王者としての課題が浮き彫りになった。

足りない40点を埋めるために、さらなる改善が必要だと山本HCは続けた。「ケガ人が多いこともあり、フットボールの本質である強さ、タックルやブロックの部分でまだ緩さがある。アグレッシブにフットボールの本質を全面に出してプレーするところがもう少し見えてこないと上位チームで当たり負けする」と語った。

【新調した赤いユニフォームで開幕戦に臨む富士通 ©X LEAGUE】

シーズンはまだ始まったばかり。36対7というスコアは、ライスボウル4連覇への手ごたえを感じさせるものだが、富士通は現状に満足せず、さらなる成長を目指している。「初戦にしては60点です」と指揮官は締めくくったが、このコメントには、チームがまだ大きな成長の余地を持っていることが表れている。これからのシーズンでどのように進化していくのか、期待が高まる。

【試合前のセレモニーでライスボウルトロフィーを返還する富士通OL大久保壮哉主将(右)  ©X LEAGUE】