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オービックと関西学院大学の対決は地上戦を制する者が勝負を制す? 【第74回ライスボウル見どころ】

2020年12月30日(水) 09:08

社会人チャンピオンと学生王者が激突するライスボウルが2021年1月3日(日)に東京ドームで開催される。今回で74回を数えるライスボウルはオービックシーガルズと関西学院大学ファイターズが対戦することになっており、過去の対戦成績は3勝0敗とオービックが圧勝しているが、日本一を決める頂上決戦で7年ぶりとなる顔合わせはどちらに凱歌が上がるのか。

オービックの攻撃はランニングバック(RB)李卓を中心としたランオフェンスが強力だ。富士通フロンティアーズと対決したジャパンエックスボウル(JXB)では李がラン21回、111ヤード、2タッチダウンの活躍で最優秀選手賞を受賞した。

センター(C)庄島辰尭を中心としたオフェンスラインも相手守備の侵入を簡単に許さない強固さが売りで、李の走路をしっかりと切り開く。JXB同様に地上戦を軸とした攻撃を展開して関西学院大学のディフェンスをストレッチさせたいところだ。

ラン攻撃で守備が広がると、クオーターバック(QB)ジミー・ロックレイの強肩が冴えわたる。JXBでは富士通守備からタッチダウンこそ奪えなかったが、パス200ヤードを獲得。タイトエンド(TE)ホールデン・ハフへのショートパスで着実に距離を稼ぎ、堅実なクオーターバッキングで勝利に貢献した。

李のランとハフのショートパスで関西学院大学の守備を前がかりにすれば、ワイドレシーバー(WR)西村有斗や前田眞郷らへのディープパスで一発が狙いやすくなる。守備では、ブロンソン・ビーティーら強力セカンダリーに注目したい。

対する関西学院大学も地上戦が持ち味だ。第75回甲子園ボウルではRB三宅昂輝がラン11回、123ヤード、3タッチダウンの素晴らしいパフォーマンスを見せて甲子園ボウルMVPに輝いた。身長174センチ、体重74キロのサイズからは想像もつかないほどのフィジカルの強さが持ち味のランナーは、40ヤード走4秒5の俊足を武器に、オービック守備網を切り裂く。

パス攻撃は大学年間最優秀選手に送られるミルズ杯を受賞したQB奥野耕世が中心となる。2度目の大学MVPに選ばれたパサーは、スクランブルも生かした安定したクオーターバッキングで危機回避能力が高く、オービックのパワフルなラッシュにもミスのないプレーで対応したい。

その奥野のメインターゲットとなるのがWR鈴木海斗だ。甲子園ボウルでは2度のビッグプレーでチームの勝利を決定づけ、試合後には大村和輝監督も、身長180センチ、84キロのレシーバーを称賛した。三宅を軸とした地上戦で時間をコントロールし、その間隙を縫って奥野と鈴木のホットラインで勝機を見いだす。

オービックと関西学院大学はともに今季から指揮官が交代した。関西学院大学の大村監督は2004年から2008年までオービックで攻撃コーディネーターなどを務め、大橋誠ヘッドコーチとは旧知の間柄。ともにお互いの手の内を知り尽くす仲だけに、情報戦も勝負を左右しそうだ。

また、今大会は試合時間が例年の1クオーター15分から12分に短縮される。時間コントロールが重要なスポーツなので、両指揮官のタイムマネジメントにも注目したい。

2010年から社会人が11連覇と圧倒的だが、関西学院大学も学生王者のプライドをかけて簡単には負けられない。社会人と学生でともに最多出場を誇る両チームの対決は、2021年1月3日(水)午後3時キックオフ予定だ。