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【X Factor】オービックシーガルズ 佐藤将貴

2021年05月21日(金) 19:01

【オービックシーガルズ】

Xリーグの活動には選手、コーチ、スタッフなど実に多くの人たちが携わっています。その「X戦士」たちに焦点をあてて紹介する新企画「X Factor」。連載6回目は昨年7年ぶりに日本一に輝いたオービックシーガルズのDL佐藤将貴選手です。DLの矜持を熱く、真摯に語ります。

目指すは日本歴代最高のディフェンス 日本代表DLが抱く矜持

新型コロナウイルスの影響をまともに受けた2020年。春シーズンの中止、秋のレギュラーシーズンの短縮、試合開催に伴う数々の制約など異例づくしのシーズンを制したのは7年ぶりに社会人王座、日本一に輝いたオービックシーガルズだった。ジャパンXボウルでは宿敵富士通フロンティアーズから王座を奪還した。今年はディフェンディングチャンピオンとしてシーズンに臨む。

そのシーガルズで先発DLを務め、ライスボウルで対戦した関学大QB奥野耕世選手に「やってみたら一番嫌(な相手)でした」(朝日新聞運営「4years.」2021年1月3日)と言わしめたのが佐藤将貴選手だ。彼は日本一になったからといってシーガルズの姿勢に何ら変わるところはないと言う。

「ディフェンディングチャンピオンという理由で勝ち点が多い状態からスタートするわけもない。今のレギュレーション上は優勝するには全勝するのがほぼ絶対条件なので、そこを目指すのは今年も同じ」と佐藤は語る。日本一という地位については「どういう姿がふさわしいのかはわからない」と言いつつも「お客さんを魅了させるエンタメ部分も含めて、泥臭くしっかりと止めていくようなプレイなどフットボールのクオリティが、誰がどう見ても一番だと知らしめるものであることだと思う。チームの運営も含めて考え得るすべてのオペレーションでナンバーワンになることだ」と話す。

【オービックシーガルズ】

その考えはDLというポジションのみならず、シーガルズのディフェンス全体にも波及する。佐藤は「シーガルズはDLが看板」と言い切る。それだけに「シーガルズでDLとして試合に出る以上は普通のチームのDLと同じレベルでプレイしていては出られない。リーグで圧倒的な存在にならないといけない」と言う。その点については佐藤自身もユニットとしても昨年のパフォーマンスには及第点を与えられるそうだ。しかし、佐藤はそこに決して満足しているわけではない。なぜならシーガルズが目指しているのは「長い日本フットボールの歴史で最も強い史上最高のディフェンス」だからだ。

「結果的に試合には勝ったし、富士通にも勝てた。だけど、(シーガルズディフェンスは)最強だ、日本の歴史上これより強いディフェンスはない、というほどのクオリティでは全くない。目指しているところはもっと上にある。そもそも(シーガルズディフェンスは)優勝以上のものを目指していて、その過程に優勝があるというイメージ。そのイメージとは乖離があった」

大阪府立池田高校でアメリカンフットボールを始めた佐藤は早くから頭角を現し、高校時代は大阪選抜、中央大学に進学してからはU-19、カレッジ日本代表を経験した。社会人になってからは昨年、シニア代表のメンバーとして渡米し、NFLを目指すフットボール選手が集うスプリングリーグ(TSL)に参戦してアメリカ人選手の選抜チームと対戦した。ジュニアからシニアまでほとんどすべてのカテゴリーで代表チームを経験している数少ないプレイヤーだ。

各種の代表チームにはそのカテゴリーごとに多くの指導者が集まる。普段から指導を受けているコーチとは違う指導者に接することで得られる影響は少なからずあった。「大会ごとにいろんなコーチに恵まれて良い影響を与えてもらった。U-19ではテクニカルなことよりも人格形成にかかわる部分があって『しっかり当たってタックルするフットボールをアメリカ相手にもやろう』と指導された」と言う。そして、カレッジの日本代表では昨年からディフェンスアドバイザーとしてオービックに参加した池上祐二氏(当時は立命館大コーチ)と出会う。佐藤は池上氏の指導に衝撃を受けた。

「(池上氏の指導は)システマティックというか、どんなプレイが来てもある程度それに対する答えを持ってるディフェンスだ。システマティックな分だけひとりでもミスをしたらもっていかれるので責任も強く感じる。すごく面白いディフェンスができた」と佐藤は振り返る。その池上氏に今はシーガルズで指導を受けている。「うちのディフェンスはいい選手が集まっているだけに少し暴走というか、自信過剰になりやすい。池上さんはそういう面でも原点に立ち返らせてくれる。大切な存在です」

高校時代から日本を代表するような選手だっただけに、大学の先にあるXリーグに進む際に所属する社会人チームにはいくつかの選択肢があった。パナソニック インパルスやノジマ相模原ライズ、IBM BIG BLUEも選択肢に入っていた。そんな状況でシーガルズを選ぶ決め手となったのはやはりDLだった。中央大学では1年生からすでにチームで秀でた実力を持っていた佐藤だが、その彼が当時の日本でトップだと考えていたのがシーガルズのDLだった。

「(社会人では)挑戦したかったので、自分の実力より明らかに上の選手がいるチームに行きたかった。オービックが一番チャレンジングだなと思った」と佐藤は話す。今年はシーガルズに入団して4年目を迎える。チームの看板ポジションで堂々のスターターを務め、日本歴代の強豪ディフェンスのなかでもシーガルズを「絶対王者」とすることが佐藤のDLとしての矜持だ。

佐藤将貴(さとうまさき)
1995年4月7日生まれ、大阪府出身。中央大学卒。
オービックシーガルズDL、背番号35
身長184センチ、体重105キロ

オービックシーガルズ
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