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【X Factor】エレコム神戸ファイニーズ 中川葵一

2021年05月28日(金) 19:00

【ELECOM KOBE FINIES】

Xリーグの活動には選手、コーチ、スタッフなど実に多くの人たちが携わっています。その「X戦士」たちに焦点をあてて紹介する連載企画「X Factor」。X1 Superから紹介する8人目のX戦士はエレコム神戸ファイニーズのLB中川葵一選手です。チームのスローガン「Be One」に懸ける思いやオフの過ごし方について語ってくれました。

「アメフトの神様がいる」恩師の言葉を胸に目指す「Be One」
X Factorの取材でこれまで全選手に共通してたずねてきた質問のひとつに「個人として昨季達成できたことは?」という項目がある。それに対するエレコム神戸ファイニーズのLB中川葵一選手の答えは「正直に言って、ないです」だった。ファイニーズの3試合(1勝2敗)のうちケガで欠場した1試合を除いてそれぞれ1度ずつのインターセプトを記録した。IBM戦ではエンドゾーンでインターセプトし、TDを未然に防いだプレイもあった。それでも中川は納得していない。

「インターセプト王になりたかった。でも、チームメートの木村俊基(3回)にとられてしまった。全試合フル出場という望みも叶えられなくて、それが心残り」と中川は言う。「(IBM戦でのインターセプトは)チームの雰囲気を盛り上げたことは満足しているが、プレイとしては抜かれていた。リードボールが投げられていたらTDだったかもしれない」と反省の弁が聞かれた。

今年のファイニーズは「Be One」というチームスローガンを掲げている。チームが一丸となり、一番になるという意味が込められている。コーチ陣にも入れ替わりがあり、このスローガンの下、新たな体制で秋に向けての準備を進めている。

「振り返ると去年は本当にチームがひとつになれたのかなと思うところがある。だから今年こそはひとつになって日本一を目指す。そこはみんなの意識として統一している」と中川は語る。

新体制で中川が大きな変化ととらえているのが時本昌樹氏の守備コーディネーター就任だ。時本氏は選手時代は富士通フロンティアーズでLBとして活躍し、日本代表やNFLヨーロッパでもプレイした。現役を退いた後はシーガルズやディアーズなどでの指導経験がある。その時本氏によって雰囲気が変わったという。「今までより貪欲になったと思う。勝負事に対して気持ちを前に出していけと指導するタイプの人なので、自分もそこは意識してやっている」

【ELECOM KOBE FINIES】

中川のアメリカンフットボール歴は長い。中学1年生で地元大阪の「大阪ベンガルズ」に加入したのがスタートだ。実は小学生のころから友人には強く勧誘されていたのだそうだ。小学校時代に仲のよかった友だちが「住吉川86スコーピオンズ」でフットボールをしており、週末ごとに誘われていた。ずっと断り続けていたのだが、小学校卒業直前になって気が変わり、フットボールに興味を持ち始めたのだという。

その後大阪産業大学附属高等学校に進み、フットボールチーム「ファイティングエンジェルス」で山嵜隆夫監督と出会う。その山嵜監督の「アメフトの神様がいる」という言葉が印象に残っているそうだ。「アメフトだけをうまくやっていても勝てるわけじゃない。日常生活もきちんとしなければいけない。例えばアメフトの防具の上に座ってはいけないと教わった」という。アメリカンフットボールの神様が見ているから日常でも正しい行いをしなければいけない。学校の帰り道でゴミを拾ったりするなど善行をすれば運がついてくるという教えだった。

【ELECOM KOBE FINIES】

普段はエレコムの営業マンとして忙しく働く。Xリーグ選手に共通の悩みだが、やはり仕事をしながら筋力トレーニングなどの時間を見つけるのはなかなか難しいようだ。そんな日々で中川が仕事もフットボールも忘れられる時間というのが車を運転したり、いじったりしているときだという。

「できる限りドライブの時間をつくって気持ちを切り替えている。練習に行くときも車に乗るので、好きな音楽を聴いて切り替える」と中川は言う。親が車関係の仕事しているので整備工場を使える環境にあり、改造したりホイールを変えたりするそうだ。その時間が「めちゃめちゃ落ち着きます」と笑う。

これまで数多くプレイしてきた試合で忘れられないのは立命館大学2回生だった2015年の関西学院大学戦だ。関西学生リーグ最終節での対戦は立命館大学が30-27で勝利し、5年ぶりのリーグ制覇を果たす。パンサーズは後に甲子園ボウルでも優勝して学生日本一に輝いた。「一年間ずっと目標にしてきたKG(関西学院大学)戦だから、勝った時は鳥肌が立った」と中川は話す。「この試合もそうだが、みんなで一緒になってひとつのことをずっとやり続けて最後に勝つのはすごく嬉しい。日常では感じられないことを感じられる。そういうところがアメフトをしていてホンマにうれしいです」

中川葵一(なかがわきいち)
1995年7月19日生まれ 大阪府出身。 立命館大学卒。
エレコム神戸ファイニーズLB、背番号2
179センチ、86キロ

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