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【X Factor】モントリオール・アルエッツLB山岸明生

2021年07月05日(月) 21:17

この夏、6人の「X戦士」がカナダのプロフットボールリーグCFLに挑戦します。「X Factor」ではその6選手全員に独占インタビューを行いました。7月10日のトレーニングキャンプ開始を前にCFLに挑戦する意気込みを聞きます。

「CFLスカウトが惚れ込んだ逸材 国内王者のメンタリティで海外に挑戦」

モントリオール・アルエッツから2巡(全体の13番目)という高順位で指名された富士通フロンティアーズのLB山岸明生選手。実は2020年2月のトライアウトでCFLのスカウトディレクターから声をかけられたことがCFL挑戦を決意するきっかけでした。

Q:グローバルドラフト(日本時間4月16日未明)では2巡目の指名。日本人としては丸尾玲寿里選手(ウィニペグ・ブルーボマーズ、1巡)に次ぐ2人目の高い評価を受けました。
山岸:自宅でスマホの画面をテレビに映して大画面で見入っていたんですけど、指名を受けた瞬間は嬉しかったというより一瞬時間が止まる感覚でした。スマホの更新ボタンを押しながら名前が出てくるのを待っていたんですが、パッと名前が出てきたときは「お、俺か?」となった。ちょうどその時にモントリオールのGMから電話がかかってきたので、喜ぶ間もなく電話で話をしました。その間に、嬉しさよりも「やってやったんだな」と気持ちがじわじわ感じられた。早く指名されるに越したことはないけれど、正直なところあそこまで早く名前が呼ばれると思っていなかった。

Q:アルエッツの守備コーチであるグレッグ・クイックには昨年の来日時、彼がまだCFLのスカウトディレクターだったころに会っていますよね?
山岸:日本代表の選考も兼ねたCFLのトライアウトの際に会っています。私はもともとCFLのトライアウトにはエントリーせずに日本代表を目指して参加していた。選考会が終わった後にクイック氏から声をかけていただいて、「(CFLに)興味はないか。もし興味があるのであれば、ぜひ挑戦を考えてくれ」という話を直接いただきました。

Q:その時まではNFLを含めた海外プロリーグに挑戦しようとする気持ちはなかった?
山岸:正直あまり意識はしていなかった。声をかけていただいたときすぐに「CFLにチャレンジするなら今しかない」という気持ちになった。ただ、そういう気持ちだけでは挑戦できない部分もある。カナダのプロリーグとはどういうものなのか、海外挑戦とはどういうことなのか、何が必要なのかもわからないなかでしたが、ただ、このチャンスを絶対に生かそうとは思いました。

Q:その時、不安と挑戦したい気持ちではどちらが強かったですか?
山岸:やってみたいという気持ちが強かった。当然リスクというか、仕事のこともありますし、これまでの人生で海外リーグに自分がいることをまったく想像してこなかったので、どうなるかもわからなかった。ただ、ここで目指さないとたぶん何も変わらない。逆にここが自分にとっての最大のチャレンジだという思いは強かった。

Q:CFLが具体的な目標となってからトレーニング方法などは変わりましたか?
山岸:(グローバル)コンバインでは海外の選手とも競うので、自分がどういう数値を出せば通過できるのかを逆算して、コンバインに特化したトレーニングはかなりやりました。

Q:指名を受けてからの2か月間はどのようにトレーニングをしてきましたか?
山岸:ウエイトについてはしっかりベースは作ってきたつもりなので、特別に何かをするというよりはしっかり継続して、すぐにでもプレイできるような体を維持してきた。新しい取り組みとしてはプロフットボール選手だった河口(正史氏 かつてNFLサンフランシスコ・49ersのトレーニングキャンプに参加。現在パーソナルトレーニングジムJPEC TOKYO 代表取締役社長)さんのジムに通ったり、プロのスプリントトレーナーを紹介してもらって走り方の指導をして頂いたりした。

Q:河口さんからはどのようなアドバイスを?
山岸:もちろん体の動かし方は専門的に教えて頂いた。それ以上に河口さんご自身もNFLなどプロの世界で活躍された方なので、心構えやラインバッカーとして何が大事なのかといったメンタルの部分のお話を聞きたくて通ったところがあったので、そういうことを教えてもらった。生半可な気持ちではどこかで心が折れてしまうことがあるかもしれないけど、慣れてくるだろうし、良くも悪くもいろんなことを想定しておくことが大事なのかなと思ったので、そんなアドバイスを頂きました。

Q:モントリオール・アルエッツというチームにはどんな印象を持っていますか?
山岸:もともと強豪チームであり、熱狂的なファンも多いと聞いている。ここ数年はプレイオフにはなかなか進めていなかったが、コロナで昨シーズンが延期される前の2019年シーズンでは久しぶりにプレイオフに出た。なので、今はすごく優勝、グレイカップに対する思いが強いチームだと思う。それを応援するファンの熱気もやっぱり凄い。自分はその関西学院大学でも富士通フロンティアーズでチャンピオンになってきた経験があるので、そういうメンタリティをチームに浸透させて貢献して行きたい。

Q:山岸選手は今おっしゃったように大学日本一、Xリーグ優勝を経験しています。プロリーグではチャンピオンシップの経験があるということは大きく評価されます。日本一を経験した誇りとは何でしょうか?
山岸:どのチームもどのカテゴリーでもみんな日本一というものを目指している。一番高い、最終的な目標なのでその舞台にまず立つこと自体がなかなかできることではない。決勝にあがってくるのは2チームしかない。その上で勝つ、最後に勝つか負けるかという勝負のなかで勝ってきた。自分の困難、逆境、苦しい場面をしっかり乗り越えて勝ち切ってきたという誇りはあります。

Q:日本一を達成するうえで学んだことは何ですか?
山岸:やっぱり準備をすることですね。準備が結果を決める。フットボールをしながらフットボールというスポーツに教えてもらったことです。練習だけではなく個人個人の気持ちもそうだし、チームとしてどのように取り組んできたかということ。あえて(優勝決定戦を)東京ドームと表現すると、本当に日々の積み重ね、細かいことが結果的に東京ドームでの勝敗を分けると思う。そして、それを最後に実行できるためには無心でやるということが大切です。そこは特に学んできました。

Q:CFLに挑戦するにあたって、自分の武器はどこにあると思いますか?
山岸:サイズはCFLでは小さい方ですし、特別パワーが強いかと言われたらそうではない。これまで築いてきた基礎の部分、ファンダメンタルであったり、ボールがある所に最後はしっかり絡んでいったりというところが自分の売りだと思っている。特別に派手なプレイというよりも、しっかりランナーを止めに行きますし、パスもしっかり抑えに行くという堅実さですね。と言いつつ矛盾するかもしれませんが、堅実にかつビッグプレイをしっかり狙っていく思い切りの良さも持ち味だと思います。

Q:カナディアンフットボールとアメリカンフットボールのルールやフィールドの違いにはどのように対応していきますか?
山岸:CFLのビデオを見ていますが、ラインバッカーは正直あまり変わらないと思っています。ランをまずしっかり止めることや、フィールドは広いですけどパスプレイでは自分の守るべき対象やゾーンを理解して動くという点ではアメリカンフットボールと同じ。CFLのトレーニングキャンプを経験したことがある人からはフィールドが広い分、ディフェンスはパシュートアングルがアメリカンフットボールとは違ってくるというアドバイスをもらった。そういうところは慣れる必要があるが、そこは実際にプレイをしながら順応していくべきところです。

Q:これからプロ選手を目指すことになりますが、山岸選手にとってアマチュアとプロフェッショナルの違いとは何ですか?
山岸:一番はやはり結果を出せるか出せないかというところかなと思ってます。今も意識してはいるけれども、そこに対する妥協は今まで以上になくしていかなければいけない。もうひとつ意識したいの興行的な意味合いです。今まではどちらかというと自分や自分の家族のためという思いも強かったが、これからは支えてくれるファンのことも意識しなければいけない。自分がどういう価値をチームやCFL、日本のスポーツ界にもたらすかということは僕自身に大きくかかってくるところ。どんな価値を生み出せるかという点はアマチュアとはまた違うものが求められるんじゃないかなと思っています。

山岸明生(やまぎし あきお)
モントリオール・アルエッツLB(2巡全体13番目指名)
1995年1月1日、東京都生まれ。2016年の関西学院大学4年生時に主将としてチームを学生王座に導き、チャック・ミルズ杯を受賞。翌年に富士通フロンティアーズに入団し、2017-19年に日本一を経験した。2014年U-19日本代表(主将)。2020年日本代表。182 cm、102 kg。

Montreal Alouettes(モントリオール・アルエッツ)
1946年創部だが、2度のチーム閉鎖を経て現在に至る。1970年代だけで3度のグレイカップ優勝を果たすなどCFLを席巻したが、1982年にチームが経営破綻のために消滅。別のオーナーシップによって「コンコルズ」という新チームが誕生し、4年後にアルエッツに改名するも2年で再び閉鎖の憂き目をみる。その後モントリオールは9年間にわたってチームの存在しない時期が続くが、1996年に当時米メリーランド州ボルティモアにあったスタリオンズというチームがモントリオールに移転する形で現在のアルエッツが誕生した。チーム名はひばりに由来。本拠地:ケベック州モントリオール ホーム球場:パーシバルモルソンメモリアルスタジアム(23,420人収容) 2019年シーズン:10勝8敗(イーストディビジョン2位) グレイカップ優勝:7回(1949、1970、1974、1977、2002、2009、2010年)

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