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【X1 Super今季の見どころ】連覇狙うオービックを追う富士通、パナソニック

2021年08月30日(月) 19:00

X1 Superは、9月4日に富士通フロンティアーズ対ノジマ相模原ライズのカードで開幕する。そこから11月28日まで7節全28試合のレギュラーシーズンを経て12月12日にセミファイナルが行われ、優勝決定戦に進出する2チームが決定する。そして、本年度からX1 Superの優勝を決める試合はライスボウルbyプルデンシャル生命(2022年1月3日、東京ドーム)に舞台を移す。4か月にわたる熱戦を前に、今シーズンの見どころをチームごとに紹介したい。なお、オール三菱ライオンズは、8月20日から9月12日まで新型コロナウイルス対策による緊急事態宣言が13都府県に及ぶ昨今の状況を鑑み、チームスポンサー企業の意向により第1節、第2節の出場辞退が決定している。

オービックシーガルズ

昨季は7年ぶりにXリーグを制すると、その勢いのままライスボウルも勝利して頂点まで登りつめた。連覇を狙うチームには16名の新人が加入。大橋誠ヘッドコーチ(HC)も、「チームの約半数を占める2年目以下の選手に注目してほしい」と若手の活躍を今季のポイントに挙げる。ルーキーの中で特に注目したいのは、オフェンスライン(OL)唐松星悦とランニングバック(RB)川上理宇。東京大学出身の唐松は、身長185センチ、体重121キロのサイズを武器に、2020年には学生ながらシニア日本代表に選出された逸材。身長188センチ、体重137キロの2年目OL庄島辰尭と組むユニットは、サイズだけを見ればNFLクラスだ。一方、川上は、佼成学園高校と日本大学で日本一を経験したエリートランナー。CFL挑戦中のRB李卓が抜けている穴を埋める役割が期待される。若手がきっちりと台頭してベテランとがっちりかみ合えば、2連覇も夢ではないだろう。開幕戦のオール三菱戦は相手が出場辞退のため、今季初戦は第2節のIBM戦。

富士通フロンティアーズ

昨シーズンは5連覇を阻まれ、今季は新たな挑戦となるシーズン。昨季X1 Super最優秀選手賞(MVP)を受賞したエースクオーターバック(QB)マイケル・バードソンがチームを去るも、2年前のライスボウルでMVPに輝き日本代表にも選ばれた高木翼がチームをけん引する。ターゲットとなるワイドレシーバー(WR)陣は、宜本潤平、中村輝晃クラークのベテラン勢を筆頭に、シュアハンドの岩松慶将、CFLグローバルドラフト候補になったフィジカルが武器の松井理己、法政大学から類まれなクイックネスを持つ糸川創平らが揃い、層が厚い。また、学生界のエースRBだった関西学院大学出身の三宅昂輝を補強して地上戦も強化を図った。守備では、ハードタックラーのラインバッカー(LB)山岸明生がCFL挑戦で不在だが、同じ関西学院大出身の海崎悠が加入してその穴を埋められるか。攻守で日本代表クラスがずらりと並ぶだけに、王者オービックを追う一番手と言っても過言ではない。注目のオービック戦は、最終節の11月28日に予定されている。

パナソニック インパルス

昨季はあと一歩のところでオービックに敗れ、ジャパンXボウル進出が叶わなかった。6年ぶりの覇権奪回を目指す今季は、荒木延祥監督が「7人の新人はレベルが高い」と話すWRブレナン翼(早稲田大学)、RB立川玄明(立命館大学)、LB青根奨太(関西大学)らは大学時代からトップクラスだけにXリーグ1年目から大暴れが期待できる。そして、2020年オールX1 Superに選ばれた上沢一陽、坂口友章、柴田純平が組むOLユニットはリーグ随一。指揮官が「個々の能力がレベルアップした」と言うように全体の底上げに成功した。第5節からオービック、富士通、エレコムと厳しい戦いが続くが、そのうち関西開催が2試合含まれるだけに、踏ん張りたいところだ。

エレコム神戸ファイニーズ

昨年は開幕戦に勝利するもその後は2連敗と悔しいシーズンを送った。米倉輝HCが「QBコーディ・ソコールに代表するような外国人主体のチームであることは変わりない」と言うように、司令塔の他にもWRアルフォンソ・オヌワー、ディフェンスライン(DL)カーデル・ローリングスらの出来がチームの命運を左右する。しかし、指揮官は「日本人選手も奮起している」とも明かす。ソコールとオヌワーのホットラインはリーグトップクラスだけに、RB白神有貴を中心としたラン攻撃が機能すれば相手守備も的を絞りにくいだろう。また、米倉HCが昨年のキーマンに指名した2年目のタイトエンド(TE)川瀬拓哉やWR南本剛志が奮起すればオヌワーへのマークが分散されるはずだ。第4節は、昨年に惜敗したノジマ相模原が相手。そこから富士通、オービック、パナソニック戦が続くだけに、第4節が一つの正念場となりそうだ。

IBM BIG BLUE

 

今季からケビン・クラフトが選手を引退してHC専任となり変革の1年を迎える。クラフトが抜けた司令塔の座には、主将の政本悠紀、馬島臨太郎に加えて慶應義塾大学から西澤巧馬が加入。サウスポーでモバイルタイプの政本、機動力がある馬島、身長185センチと大型の西澤と多士済々だ。しかし、欧州リーグ挑戦中のWR近江克仁、CFL挑戦中のキッカー(K)佐藤敏基の不在はチームにとって大きな痛手だ。代わりに、17名の新戦力がこの穴を埋めていきたい。昨年は3戦全敗とほろ苦いシーズンを送った。今季の開幕戦は昨年と同じエレコムが相手。昨季のエレコム戦は試合終了間際で逆転負けを喫してそこから連敗街道が始まっただけに、今年は昨年と同じ轍を踏みたくない。

東京ガスクリエイターズ

2シーズン前には2勝を挙げる大健闘を見せるも、昨季は2戦全敗。パナソニック、オービックの強豪相手というエクスキューズがあれど、2試合で無得点に終わった。その得点力不足解消の打開策として、佼成学園と日本大学で日本一に輝いたエリートWR林裕嗣を獲得。若林駿太と中本裕樹の両司令塔とのコンビネーションに期待したい。今季の開幕は、昨季と同じパナソニック戦。前半は守備陣が奮起して善戦しただけに、今シーズンはオフェンスの頑張りで強豪を慌てさせたい。

オール三菱ライオンズ

【橋本勲】

2年ぶりの参戦だが、第1節と第2節は出場辞退。第3節の富士通戦から“開幕”する。2年前のチームから顔ぶれが変わり、エースQBを務めるのは光藤航哉か。3年前の甲子園ボウルでは、関西学院大学の主将としてチームを学生王者に導いたタレントの持ち主。Xリーグの舞台でようやく実力を発揮できるか注目したい。守備では、主将のDL宮田直人や副将のLB岩井康祐を軸に粘り強く守り、勝機を見出したいところだ。

ノジマ相模原ライズ

 

昨季は開幕戦で富士通に敗れはしたものの、その後はエレコム神戸、IBMを撃破。城ケ滝一朗HC体制1年目は、上々のシーズンとなった。今季は東松、宮幸のRBコンビが抜けるも、法政大学でエースランナーとして君臨した阿部快斗が加入してベテランが抜けた穴を埋める。新加入選手は14名。そのうちWRが5名と、2020年最優秀新人賞に輝いたQBカート・パランデックのターゲット候補を増やした。新人レシーバーの中で注目したいのが元横浜DeNAベイスターズの石川雄洋。異例の転身を果たした34歳は、入団会見で「フライを追うときに落下地点に入るということに関しては似ている部分があるイメージ」と野球との共通点を挙げ、捕球への自信を垣間見せていた。城ケ滝HCも、「かなりスピードがある印象。球を追いかける能力はかなりあります」と好イメージを抱いていただけに、実戦での出場も夢ではなさそうだ。指揮官は、昨季最終戦で「日本一しか目指していません」と2021年の目標を声高に宣言した。城ケ滝体制2年目は、9月4日の富士通戦で幕を開ける。そこからパナソニック、オービック、エレコムと強豪相手が続くだけに、開幕からの4試合で一つでも多くの勝ち星を拾っておきたい。

今季のX1 Superは勝ち点制度が導入される。レギュラーシーズンではタイブレークを行わず、第4クオーター終了時に同点であれば引き分けとする。勝ち点は勝利が3点、引き分けが1点、負けは0点とし、勝ち点数が多いチームが上位となる。そのため、試合序盤から勝利に向かってスピーディーな試合が繰り広げられそうだ。2年ぶり通常開催となる今シーズンも、開幕から目が離せない。