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ディアーズ高野HC、34歳で現役復帰して4TDパスのQB加藤は「期待以上だった」

2022年05月23日(月) 19:00


今季からX1 Superに昇格したディアーズフットボールクラブが、22日に富士通スタジアム川崎で実施されたオール三菱ライオンズを42対14で下し、春初戦であり昇格初戦でもある一戦をものにした。

攻撃では6タッチダウンを奪い、守備では後半無失点。点差だけを見れば快勝のようにも思えるが、試合後の高野元秀ヘッドコーチ(HC)は浮かない表情だった。

「快勝というわけではないです。それほどチーム力、完成度の差があるわけではないです。ただ、メンタルの部分で最後まで切れなかったのが勝因です」。

内容的には決して満足していないが、試合を通じて選手たちの気持ちが切れなかったことには一定の評価を与えた。

オフェンスでは、2019年シーズンを最後に引退していたクオーターバック(QB)加藤翔平が、3年ぶりの現役復帰とは思えないハイパフォーマンスを披露した。かつては日本代表の司令塔を務めた右腕は、投げてはパス33回中22回成功、261ヤード、4タッチダウン。走っても、ボールキャリー回数ではチーム最多の10回で23ヤードを稼ぎ、ブランクを感じさせなかった。

そんな34歳のシグナルコーラーの奮闘に、指揮官も目を細める。

「期待以上にやってくれました。昨年だと、QBが包まれたら終わりというかプレッシャーを感じてクオーターバッキングをできなかったけど、加藤の場合はプレーがつぶれても自分でスクランブルして投げる時間を作ってパスを決めてくれる。そういう部分で助かっているところがある」。

加藤が復帰したことでディアーズのQB陣は、層が厚くなった。2020年のTSL選抜戦日本代表遠征メンバーに選ばれた石井僚介、昨年のエース大和田昌太郎と他チームがうらやむほどの陣容だ。現段階では先発争いで加藤がリードしているようだが、QBのデプスが厚くなったことについては、「いいことだと思います」と高野HCも歓迎している。

次は6月4日の富士通フロンティアーズ戦。昨季Xリーグ王者との試合について、高野HCは「現状で良い試合をできるとは正直思っていない」と率直な意見。ただし、「今の自分たちがどれくらいの位置にいるかを知る物差しになる。そういう意味で、今できることは全部ぶつけていこうと思っている」と、秋季を占う試金石となる一戦に全力で挑む姿勢だ。

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