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「自信もってプレーできている」NFLコンバインを経験して一回り成長した富士通WR松井

2022年12月15日(木) 18:12

「今後日本からNFL選手を出すうえでパイプ役と言うかうまく貢献していって、とにかく日本のアメフト界を盛り上げられるように頑張りたい」。

富士通フロンティアーズのワイドレシーバー(WR)松井理己が、12日に東京ドームで実施されたライスボウルトーナメント・セミファイナルのエレコム神戸ファイニーズ戦後に力強く宣言した。

この日の松井は、クオーターバック(QB)高木翼との連携が完ぺきともいえる出来で、パス捕球5回、94ヤード、2タッチダウンとエースに相応しい活躍でチームの勝利に貢献した。

自身のパフォーマンスについては「失敗になったキャッチもありましたが、活躍できたことは良かった。勝ててライスボウルの舞台に立てることは良かった」とある程度納得はしていたが、この程度では世界レベルを垣間見たレシーバーには物足りなかったのかもしれない。山本洋ヘッドコーチは、「決勝でも良いパフォーマンスをしてほしい」と大一番での躍動も期待していた

この日2タッチダウンキャッチの松井は、最初のタッチダウン捕球の前には、味方の反則で無効となったが、NFLばりのワンハンドキャッチを見せた。本人にしてみれば、「狙っていない。結果的に片手となった」そうだが、「失敗になったけどインパクトはあった」とアクロバティックなキャッチに満足していた。仕切り直しで決めたタッチダウンレセプションについては、「目立つプレーのタッチダウンではなかったけど、あそこでタッチダウンが取れたのは良かった」と内容よりも結果を重視した。

10月にロンドンで開催されたNFLコンバインに招待された松井は、渡英前より国内ではドミナントした選手に成長したように思える。帰国後初出場だった第4節エレコム神戸戦を除けば、毎試合タッチダウン捕球を成功させ、要所でも勝ちにつながるプレーをして、大黒柱の役割をきっちりと果たしている。プレーはもちろんのこと、一番変わったのはメンタルではないだろうか。そのことは本人も認める。

「自分の中で試合に対する気持ちが年々上がってきている。大学4年間や海外の経験も含めて自信を持ってプレーできている。そこが一番変わったところ」。

自分のプレーに自信を得た松井は、「インパクトはあった」、「目立つプレーのタッチダウンではなかった」と述べたように、周囲の目も気にするようになった。その理由は、NFLコンバインでスカウトから「日本のことを見てくれている」と実感したからだろう。故に、周囲にアピールするコメントが口を突き、スカウトの目に留まるためには何が必要なのかこれから海外を目指す後輩たちに伝授する。

「(スカウトが)甲子園ボウルとライスボウルは見に来ると言っていた。そこで若い選手やサイズの大きい選手は目立てれば、来年のチャンスもあると思う。彼らが求めているのは、まず年齢とか体のサイズとか身体能力的な部分。体格でチャンスがある選手は、試合で活躍するのはもちろんのこと、SNSなどでアピールすることも大事」。

40ヤード走で4.41秒の好タイムを記録したにも関わらず、残念ながらNFLのIPPプラグラムの選考から漏れた松井だが、冒頭のコメントが示すように、いつか日本からNFL選手が輩出されることを夢見ている。

自身の来季のNFL、CFL挑戦は未定のようだが、まずは2連覇がかかるライスボウルが控えている。相手は宿敵パナソニック インパルス。昨シーズンも決勝で戦った相手だ。実力が拮抗したチーム同士の戦いだけに、僅差の勝負が予想される。そのことは松井自身も熟知している。

「パナソニック相手となると、勝つ時も負ける時もどちらかミスした方が負けると思う。レシーバーなら1球もそうですし、オフェンスの一つの反則、一つのミスで負けてくると思うので、残り3週間突き詰めて日本一連覇を達成したい」。

心身共に日本最高レベルのレシーバーに成長した富士通のエースは、細部にこだわり2年連続7度目の日本一を目指す。