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ハイパーオフェンスではなくディフェンス力でセミファイナルのオービック戦に勝利したパナソニック

2022年12月15日(木) 16:00

パナソニック インパルスのハイパーオフェンスが注目されたライスボウルトーナメント・セミファイナル。しかし、試合後にパナソニックの荒木延祥監督が「ディフェンスが粘り強く守ってくれたのが良かった」と話す通り、守り切ったという印象の残る試合となった。

前半パナソニックディフェンスが手こずったのは、オービックのクオータバック(QB)ジェイソン・スミスだ。スミスが投げて、走る展開に、一時は3-10とリードを奪われた。しかし荒木監督は「スミス対策はしっかりしてきたが、それでも走られた。ただ、一発での前進を許さなかったことが大きかった」と話す通り、ロングゲインを許さず、強烈なタックルを何度も見舞った。

すると、QBスミスは、同点に追いつかれた直後のシリーズで、ゴールまで残り35ヤードに迫ったところでプレー中のケガの為、小林優之に交代。ハーフタイムを挟んでも再出場してくることはなく、そのまま試合終了までフィールドに立つことはなかった。

パナソニックディフェンスはオービックのQBが小林に替わっても集中力を切らさない。ディフェンスライン(DL)が小林にプレッシャーをかけ、第3クオーターの5分55秒には、ディフェンスバック(DB)清家大志(中段写真中央)がパスを高い位置でインターセプトし、敵陣13ヤード地点からのオフェンスを演出。第4クオーターの4分12秒には、DBジョシュア・コックス(下段写真右)がインターセプトし、敵陣36ヤードからのオフェンスの場面を提供した。いずれもフィールドゴールによる3点ずつが加点されたが、ここまでの得点差を考えると貴重な追加点になったことは間違いない。

そして、極めつけはオービックが逆転への望みをつなぐ攻撃となった試合残り1分13秒、自陣21ヤードからのオフェンスで見せたラインバッカー(LB)ジャボリー・ウィリアムス(上段写真中央)のインターセプトだ。QB小林の投じたボールをカットし、浮いたボールを自らがキャッチ。相手のタックルもかわして33ヤードを走りタッチダウンとした。身体能力の高さを最後の最後に見せつけた。

ウィリアムスは、ここまでの2試合欠場していたためオービック戦が復帰試合。記録上ではタックル3回だが、RBへの短いパスに素早く反応するなど、そのブランクを感じさせることもなかった。

「インパルスのディフェンスはとてもハードヒット。それは練習でレベルの高いランニングバック(RB)やワイドレシーバー(WR)を相手にタックルしているから。(QBの)スミスもランプレーをたくさんするとケガをしてしまう可能性があると思っていた」とウィリアムス。ライスボウルへ向けては「相手は今日よりレベルが上がるので、ディフェンスが一つになって頑張りたい」とXリーグで一番と自負するディフェンスでリズムを作ることを誓う。

7年ぶり5度目の日本一を目指すパナソニック。ライスボウルで対戦する富士通の強烈なRBをいかに止めるかが課題になる。オービック戦直後に「富士通さん、強すぎ」とコメントした荒木監督がこの3週間でチームをどのように仕上げてくるかを注目したい。