ニュース

4年ぶり2度目のライスボウルMVPに輝いた富士通RBニクソン、2019年より「今年の方が格段に嬉しい」

2023年01月07日(土) 10:00

富士通フロンティアーズは、3日に東京ドームで行われたパナソニックインパルスとのアメリカンフットボール日本選手権プルデンシャル生命杯第76回ライスボウルを制して大会2連覇を飾った。昨年と同カードとなった一戦は戦前の予想通り白熱した好ゲームとなったが、勝利の立役者となったのは紛れもなく最優秀選手に選ばれたランニングバック(RB)トラショーン・ニクソンだった。

前半は苦戦した。第1クオーターからオフェンスのリズムが合わず、いきなりタイムアウトを2回取る羽目になった昨季王者の富士通。山本洋ヘッドコーチは、「オフェンスが慌てたというか、機能しないところがあって早々にタイムアウトを取った。選手というよりかは、コーチサイドのミス」と振り返る。

そんな嫌な流れを変えたのが、ニクソンのランだった。「ランを止めに来るのはわかっていて、確かにそれをやってきた」とニクソン自らも認める通り、かなり警戒されていた。序盤はゲインこそ重ねるも、パナソニックの戦術が功を奏し決定機を与えてもらえなかった。しかし、「オフェンスラインが頑張ってくれたおかげ」というニクソンに待望のタッチダウンランが前半終盤に飛び出した。

後半最初のドライブでタッチダウンを許した富士通だったが、モメンタムを失ってはいなかった。直後の攻撃シリーズではニクソンが気迫のダイブでエンドゾーンに飛び込み食らいつく。クオーターバック(QB)高木翼からワイドレシーバー(WR)小梶恭平の逆転タッチダウンパスも、ニクソンのランを軸にゴール前まで前進した。そして、リードを広げるニクソンの3つ目のタッチダウンランでも、7プレーのうち5度もニクソンにボールが託された。

富士通の山本HCは、ニクソンのランを研究するパナソニックに対してどれだけランを出すかを熟考し、「ニクソンにボールを渡せば、ある程度のゲインは期待できるとコーチ陣の中で計算に入れてオフェンスを組んでいた」と言えば、QB高木も「ボールを渡せば走ってくれるのは分かっていたので、もし迷ったら彼に渡そうと考えていた」と明かす。

“困った時のニクソン頼み”に十分すぎるほど応えた30歳の外国籍選手は、ラン28回で188ヤード、3タッチダウンを記録し、2019年の第72回大会以来となるライスボウル最優秀選手(MVP)に選ばれた。4年ぶりの受賞に「今年の方が格段に嬉しい。パナソニックには11人の中に外国籍選手がいて強いチームなので、今回のMVPの方が素晴らしい」とコメント。2019年は学生代表の関西学院大学が相手だったが、今回は社会人の中でも富士通と双璧のパナソニックが相手だっただけに喜びも一塩だ。

第76回ライスボウルのMVPは、今季のXリーグMVPとダブル受賞。どちらも栄誉あることだが、ライスボウルMVPのほうにより喜びを感じているようだ、理由は、「試合に勝った上で取れるものだから」。指揮官と司令塔から全幅の信頼を寄せられ、チーム思いで勝利に貪欲なニクソン。この30歳のランナーが君臨する限り、富士通は2017年から4連覇したようなダイナスティを再び築くだろう。