エレコム神戸ファイニーズのランオフェンスを支えるRB秋元ミンジェ 「魂を込めた走りを見せたい」
2023年10月25日(水) 17:31
開幕から3戦で勝ち星に恵まれなかった(2敗1分け)エレコム神戸ファイニーズが、10月下旬の第4節でようやく1勝を手にした。負ければライスボウルトーナメント出場はほぼ絶望的、勝っても5戦目次第という厳しい状況だったが、これまでの3試合の反省を踏まえて課題を見出し、35ー6と快勝して首の皮一枚つながった。
その課題とは、「オフェンスは、ランニングバック(RB)が縦にドーンという走りを出してリズムに乗ること。ディフェンスは、パスラッシュとインターセプトは一体なので、ディフェンスライン(DL)が一歩でも前に出て、ディフェンスバック(DB)はワンチャンスを逃さずボールを奪うこと」(時本昌樹ヘッドコーチ)だ。今季初勝利を目指した2週間は、その課題をクリアする練習を繰り返し、otonari福岡SUNS戦でその成果を出すことができた。
この試合で12回のキャリーで45ヤードを走り、2タッチダウンを奪ったRB秋元ミンジェ。試合開始前に時本ヘッドコーチから直々に「今日はお前らの走りでテンポを作ることによってオフェンス全体の流れが決まる。1プレー目から魂を込めて走れ」と言われた。日ごろそのような声がけをされることが無かっただけに、「この試合は今までより更に魂を込めて強く当たっていこう」とRBのメンバー全員で共有したという。
秋元はオフェンス最初のシリーズに登場すると、時本HCの指示通り中央付近を力強く走って前進を重ね、先制となるタッチダウンも奪ってチームに「今日はいける」というムードをもたらした。次のシリーズを任されたRB柳井竜太朗も、オフェンスライン(OL)のブロックをうまく活かして17ヤードを走り抜けタッチダウンするなど、ランでテンポを作り出すことに成功した。
秋元は後半のオフェンスでも力を見せつける。ボールをハンドオフされると着実に5ヤードは前進。特にフォースダウンインチでは、相手の守りをぶち破ってきっちりとファーストダウンを奪い、自ら2本目のタッチダウンにつなげる走りを見せた。
試合後、秋元は「(前節までの)3試合、RBは白神(有貴)さん、僕と前田公昭の3人でローテーションしてきたが、前節で前田がケガをしたので、新人の柳井や田名部怜央も含めRB全員で勝とうと言ってきた。時本HCからの指示をしっかり体現できたことは率直にうれしいし、ホッとした」と充実感に満ち溢れた表情で語った。
日大豊山高時代、当時立命館大アメリカンフットボール部の監督だった米倉輝氏から立命館大への進学を打診されたが、高校が日大系列校であったため断念。その後、米倉氏がエレコム神戸のヘッドコーチとして日大のグランドまで足を運び、4年時に甲子園ボウルに出場した秋元に対し再び声を掛け、縁もゆかりもない関西のエレコム神戸でプレーすることを選択した。2年間エレコムで勤務した後に退職し、現在は関東で仕事をするかたわらエレコム神戸でプレーを続けている。
「社会人チームに拾ってもらったことへの感謝の気持ちがあるので、エレコム神戸でフットボールを続けている。何とかこのチームで日本一を取りたい」
その日本一の座を得るためにも、次節のアサヒビールシルバースター戦に勝ちライスボウルトーナメントに駒を進める必要がある。秋元は「タフな試合になると思うが、僕たちがやってきたことを全部出すために、全力で魂を込めた走りをRB全体で見せたい」と最終節への思いを口にする。
otonari福岡戦に続き、RB陣が力強い走りを見せてランとパスのバランスがとれたオフェンスを展開して、ライスボウルトーナメントへ駒を進めたい。