ニュース

接戦になっても動じない 経験に裏打ちされた王者・富士通の強さ

2023年10月31日(火) 10:00

【富士通フロンティアーズLB趙翔来主将 ©X LEAGUE】

富士通フロンティアーズにとって第4節のアサヒビールシルバースター戦は珍しい展開だった。

ファーストドライブをタッチダウンに結びつけるお決まりのシーンで始まり、続くドライブもフィールドゴールでリードを広げた。ここまでなら通常の富士通の展開だったが、その後はクオーターバック(QB)高木翼がインターセプト、ランニングバック(RB)トラショーン・ニクソンがファンブルとミスが続き、前半を同点で折り返した。第2節を60対3、第3節を73対0で圧勝した昨季王者にしては、予想外ともいえるパフォーマンスだった。

山本洋ヘッドコーチは、ハーフタイムに「切り替えるように」と選手たちへ指示。主将のラインバッカー(LB)趙翔来は、「あまり接戦っていうのは今シーズンなかったので、点差が縮まった展開で、いつも通りの自分たちのプレーができなかったのかなというふうに感じました」と、いつもと違うチームの雰囲気を察知。そして、競った展開をあまり経験していない若手には「僕たちこういう試合いっぱいやってきたよね。最後に勝ってきたの僕たちだよね」と声を掛けて落ち着かせた。

【アサヒビール戦で2つのインターセプトを喫した富士通QB髙木翼(中央)  ©X LEAGUE】

ハーフタイムの15分で“らしさ”を取り戻したチームは、趙主将が「いつも通り自分たちがやるべきことを後半は逆に思い出してやれたので、最終的にああいう結果になったのかなと思います」と言うように、後半にはディフェンスからリズムを作り、オフェンスもそれに呼応。結果的には、いつもの富士通らしい勝利を掴み取った。

最終節は、IBM BIG BLUEとレギュラーシーズン全勝をかけた対決が控えている。再び接戦になることが予想されるため、キャプテンの趙は第4節で接戦を経験したことをポジティブにとらえる。

「点差が開いた試合ばかりだと、今日みたいな展開になった時に僕たちの進化が問われると思います。それが今日経験できたので良かったです」。

どんな展開にもアジャストできるのが王者の強み。幾千もの修羅場を潜り抜けてきた富士通には、その強さが備わっている。