秋シーズン初の先発でも腹をくくって3TD決めた富士通の2年目QB野沢、「自分のやることに集中した」
2023年11月13日(月) 14:00
富士通フロンティアーズは、最終節のIBM BIG BLUEとの全勝対決で、先発クオーターバック(QB)に名を連ねたのは、エースの高木翼ではなく2年目の野沢研だった。野沢がスターターに起用されたのは、チーム加入1年目の春季交流戦以来で、秋季リーグ戦では初めてだった。
前節の試合後にこの日の先発を告げられたという野沢は「ここかあ」とまさかの心境だったそうだが、腹をくくって果敢に挑んだ結果、立ち上がりから3シリーズ連続でタッチダウンパスをヒット。終わってみれば、パス20回中16回成功、204ヤード、3タッチダウンと素晴らしい結果を残し、チームを5連勝に導いた。
首位決戦という大一番で秋シーズン初の先発を見事にこなした背番号15は、「前半は結構フィールドポジションに助けられたなと思いました。ディフェンスとキッキングがええとこでボールを渡してくれたので、自分のやることだけをやろうと思っていました。うちのオフェンスライン、バックスはいい選手がそろっているので、二番手QBであろうと、その人たちにいいタイミングでボールを渡していれば点は取れるなとは思っていたんですけど、前半はそれがうまいことできたなあと思っていました」と自身のパフォーマンスを振り返る。
山本洋ヘッドコーチも、「非常に落ち着いていたと思います。いくつかインターセプトがありましたけれども、それ以外のところに関してはしっかりゲームプランを確実にやってもらったと思っています」と及第点を与えていた。
ただ、指揮官が言及したように、野沢は3つのインターセプトを喫した。パス失敗4本のうち3本が相手守備に奪われた。この点については、野沢自身も「前半のインターセプトがいらんかったです。後半もテンポよく進めていたので、今日はインターセプトがなかったら100点でした」と反省する。
いよいよ19日にライスボウルトーナメント(RBT)が開幕する。3連覇を狙うDivision B1位の富士通は、1回戦(クオーターファイナル)でDivision A4位の東京ガスクリエイターズと対戦する。指揮官が「一戦一戦やることにものすごくチーム力が上がっている」と警戒するチームだ。
この試合で野沢が再びスターターに指名されるかはまだ分からないが、それでも準備は怠らない。
「今日は喜んで明日から東京ガス戦に向けてしっかり練習して、無理せずに自分のやることだけに集中してやっていきたいと思います」。
山本HCは、選手たちに二番手、三番手の意識ではなく、常にスターターのメンタリティを持つように言い聞かせている。それを選手がしっかりと遂行しているので、野沢やランニングバック(RB)三宅昂輝のようにいつ出番がやってきても力を発揮できる準備ができている。このメンタルの強さとデプスの厚さが、富士通が王者たる所以なのだろう。