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NFLやCFLで経験積んだマイク・フェアー新ヘッドコーチに導かれて日々進化する新生IBM

2024年05月08日(水) 18:00

【今季からIBM BIG BLUEの指揮を執るマイク・フェアーHC(中央)  ©X LEAGUE】

マイク・フェアー新ヘッドコーチ(HC)が指揮を執ったIBM BIG BLUE は、パールボウルトーナメント1回戦で、今季からX1 Superに昇格した富士フイルム海老名Minerva AFCに付け入る隙を与えず、準決勝へ駒を進めた。

「新しいコーチが来て、新しい環境というのはすごくやりづらいところが正直あって、結構みんな苦労しながら、この1ヶ月ちょっと練習してきました」。

この日5タッチダウンパスを決めたエースクオーターバック(QB)政本悠紀は、チームが新体制に切り替わったことに不安を覚えていた。特に、前HCのケビン・クラフトと8年間ともに戦った司令塔は、「僕は誰よりもちょっとやりづらい部分もあった」と困惑した。

ヘッドコーチ、戦術、文化が一新されれば、とまどう選手がいるのも当然だ。それでも、チームの大黒柱はこの変化を前向きにとらえ、新たな挑戦として受け止めている。

【新体制の初戦で5TDパスを成功させたIBM QB政本悠紀(中央)  ©X LEAGUE】

「新しいことをやる挑戦という意味ではすごく大事なことですし、それを乗り越えないと次のステップに行けないと思っています」。

フェアーHCも、一朝一夕にチームが変わるとは考えてはおらず、「daily improvement(日々進歩していく)」というワードを会見では度々口にした。

ただ、フェアーHC体制になってからおよそ1か月で、チームは明らかな変貌を遂げたように思えた。昨年までのIBMは、強い勝ち方をする時もあれば、昨秋最終節の富士通フロンティアーズ戦のようにあっさり敗れるなど、強さと脆さが同居している側面も見られた。

しかし、今季初戦だったこの日は、前半を24点リードで折り返すと、ハーフタイムにフェアーHCが「相手よりフィジカルにいけ」と指示したように、後半も集中力を切らさずに攻守で相手を圧倒した。試合を通じて光ったのはディフェンス。富士フイルム海老名の攻撃をわずか68ヤードに抑える堅守を誇った。これは、守備畑出身のフェアーHCの教えが短期間でチームに浸透した証と言えるのではないだろうか。

【富士フイルム海老名Minerva AFCのRB篠生祐次郎をギャングタックルするIBM守備陣 ©X LEAGUE】

Xリーグでうれしい初勝利を挙げたフェアーHCは、勝利という結果については多くを語らず、「ベストをつくし、集中してやるべきことをやった」と選手たちを労った。試合後のハドルで翌日土曜日の練習休みを伝えると、選手たちからは「I love you!」の言葉が飛ぶなど、チームの雰囲気の良さが伝わってきた。QB政本も試合後には「アメフトをやっている楽しさ」を感じ、チームが正しい方向に進んでいると実感していた。

すでに選手たちのハートをがっちりつかんだようなフェアーHC。NFLやCFLなど豊富なコーチ経験に加え、人心掌握術にも長けた新指揮官に導かれた新生BIG BLUEの今季は一味違いそうだ。