スピードとパワーを兼備した心優しき“ワイドバック”オービックWR渡邊ジャマール
2024年06月21日(金) 12:00
オービックシーガルズが第44回パールボウルで富士通フロンティアーズをタイブレークの末に下し、パールボウル5連覇の偉業を達成した。その原動力は、紛れもなくワイドレシーバー(WR)渡邊ジャマールだった。
「今日は勝ちたい気持ちがとても強かった」と話す渡邊は、その気持ちを全面に押し出したプレーでチームを盛り上げた。
本職のレシーブで10回154ヤードを獲得。そして、決勝点となったタイブレークのタッチダウンなど、ランでも4回19ヤード、1タッチダウンとチームの勝利に大きく貢献した。
「体重も増えて強くなって、ブロックも意識している。ランニングバック(RB)もWRもできるし、チームのために何でも貢献したい」
特にタイブレークのタッチダウンはRB顔負けのラッシングを披露し、自身の持ち味を存分に発揮した。
「スピードは絶対に勝てると思っていた。そして、オフェンスラインとレシーバー陣もすごく良いブロックしてくれたので、自分は走るだけだった」。
昨シーズンからオービックに加入した渡邊は、パナソニック インパルス時代からスピードが持ち味の印象だったが、毎年サイズアップして新たな自分で挑戦して続けている。体重だけを見れば、パナソニック時代が90キロ、昨年が93キロ、そして今年が97キロ。年々体重を増やしパワーをつけていっているが、その分スピードも上がってきており「今が一番良い状態」だという。
WRでありながら走ることもできる選手として有名なのが、NFLのサンフランシスコ・49ersに所属するWRディーボ・サミュエル。これまで積み上げたラッシングタッチダウン19個は、NFL記録として燦然と輝く。WRとRBを兼任するサミュエルは自らのポジションを“ワイドバック”と呼ぶ。いわゆる、ワイドレシーバーとランニングバックを合わせた複合語だ。そんなNFLのスーパースターに憧れる渡邊は、大学時代にはサミュエルと同じ背番号19をつけていた。
パナソニック時代はライスボウルで敗れ、オービック加入1年目だった昨年もライスボウルトーナメントセミファイナルで決勝進出を阻まれ、富士通の前で常に辛酸を舐めてきた。今季は春の大一番で富士通にリベンジを果たしたが、渡邊は秋には更なる高みを目指している。
「パールボウルを勝ったこともうれしいけど、ライスボウルで優勝したい」。
インタビューには弾けるような笑顔で応対し、左腕には祖父母の名前を彫る家族思いの渡邊。8月31日に開幕する秋季リーグ戦は、スピードとパワーを兼備するXリーグの“ワイドバック”のプレーに注目だ。