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パナソニックが9年ぶり日本一! 地上戦と堅守を武器に富士通の4連覇を阻む

2025年01月03日(金) 22:57

【 9年ぶりの日本一を達成し、記念撮影に収まるパナソニック インパルス ©X LEAGUE】

パナソニック インパルスと富士通フロンティアーズによるアメリカンフットボール日本選手権第78回ライスボウル by GA technologiesが1月3日、東京ドームで行われた。リードが5回も変わる目まぐるしい展開となった激戦は、パナソニックが強力ランと堅守を武器に、富士通を34対27で下し、2016年(2015年シーズン)以来9年ぶりの日本一に輝いた。

【力強い走りを見せる富士通フロンティアーズRBトラショーン・ニクソン(右)  ©X LEAGUE】

前半キックスタートの富士通は、パナソニックのオープニングドライブでフォースダウンギャンブルをストップ。自陣41ヤードから攻撃権を奪取すると、ランニングバック(RB)トラショーン・ニクソンのラン攻撃を軸に敵陣奥深くまで進攻する。ラストは、クオーターバック(QB)高木翼が中央を突くタッチダウンランを決め、富士通が幸先良く先制した。

9年ぶり覇権奪回に向けて負けられないパナソニックも反撃する。自陣29ヤードからスタートしたシリーズで、QB荒木優也からワイドレシーバー(WR)桑田理介への22ヤードパスや、相手の反則も手伝いゴール前20ヤードまで進む。第4ダウンでフィールドゴールを狙うと、ここで富士通の反則でファーストダウン更新。このチャンスに、RB立川玄明ががらりと空いた中央を走り抜け、エンドゾーンまで駆け込んだ。

【第2Qに同点のTDランを決めたパナソニックRB立川玄明  ©X LEAGUE】

これでエンジンがかかったパナソニックは、続く攻撃シリーズでQB荒木からパスを受けたWR桑田が素晴らしいランアフターキャッチで47ヤードをゲインして一気にレッドゾーン内へ進入。エンドゾーンまでは届かなかったが、キッカー(K)佐伯眞太郎が32ヤードのフィールドゴールをきっちりと沈めて、パナソニックが3点をリードした。

追う立場となった富士通も、QB高木のパスとRBニクソンのランによるバランスアタックで敵陣20ヤードまで進入。タッチダウンこそ奪えなかったが、K納所幸司が32ヤードのフィールドゴールを冷静に決めて同点に追いついた。

リードがなくなったパナソニックは、前半最後の攻撃シリーズでRBミッチェルビクタージャモーが相手タックルにも倒れない力強いセカンドエフォートで44ヤードのビッグゲイン。一気に敵陣まで攻め込み、K佐伯が28ヤードのフィールドゴールをきっちりと成功。パナソニックが3点リードで前半を折り返した。

3点ビハインドの富士通は、後半最初のドライブでK納所の36ヤードフィールドゴールトライは惜しくも失敗に終わった。しかし、続く攻撃シリーズでは、K納所がきっちりと27ヤードのフィールドゴールを沈めて、富士通は第3クオーター終盤に試合を振り出しに戻した。

【FGを決める富士通K納所幸司(左)  ©X LEAGUE】

そして、ここまでターンオーバーがなかった試合で富士通の守備陣が牙をむいた。富士通のラインバッカー(LB)山岸明生がQB荒木にハードヒットして、QB荒木はたまらずファンブル。フィールドを転々としたボールをLB徳茂宏樹がリカバーして、富士通が攻撃権を得た。敵陣27ヤードと絶好の位置から攻撃をスタートした富士通は、RBニクソンがオフタックルを突く21ヤードのタッチダウンランで主導権を握り返した。

そして、エンドが変わった運命の最終クオーター。パナソニックは、RB立川のランで52ヤードをゲインするビッグプレーが飛び出しゴール前17ヤードまで進入。ランを2回挟んで、最後はQB荒木が自らエンドゾーン右コーナーにボールを運ぶタッチダウンランを決めた。

20対20の同点に追いつき勢いに乗るパナソニックは、富士通の攻撃をスリーアンドアウトでストップ。続くドライブではスペシャルプレーが決まってゴール前2ヤードまで前進すると、この絶好機にRBミッチェルが執念のダイブでエンドゾーン内に飛び込みリードを奪い返した。

【第4Qにピックシックスでほぼ試合を決めたパナソニックLBジャボリー・ウィリアムス  ©X LEAGUE】

守備からリズムをつかんだパナソニックは、今度はLBジャボリー・ウィリアムスがQB高木のパスをインターセプト。そのままエンドゾーン内にボールを運ぶピックシックスを決め、残り4分を切ってリードを14点に広げた。

自身2度目の4連覇を狙う富士通も、王者らしく最後まで粘る。QB高木の冷静なクオーターバッキングでゴール前2ヤードまで進み、最後はエンドゾーン内左コーナーに走りこんだWRサマジー・グラントが左手一本でボールを手繰り寄せるアクロバティックなキャッチでタッチダウン。

試合残り時間は1分少々。富士通のオンサイドキックは成功したかに思われたが、自らの反則でキックのやり直し。蹴り直しとなったキックは、パナソニックがリカバーした。最後まで集中力を保ったパナソニックは、戦前から高山直也ヘッドコーチが「第4クオーターが勝負」と話していた通り、最終クオーターで21対7と圧倒し、9年ぶりの栄冠をつかんだ。

【自らのランで距離を稼ぐパナソニックQB荒木優也(中央)  ©X LEAGUE】

なお、大会最優秀選手(MVP)には、パス22回中14回成功で184ヤードを獲得し、ランでも貴重なタッチダウンで攻撃陣をけん引したパナソニックのQB荒木が選ばれた。