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全員で駆け上がった9年ぶりの頂点 パナソニック日本一のカギは総合力の向上

2025年01月09日(木) 19:00

【第4QにTDランを決めて雄たけびを上げるパナソニック インパルスQB荒木優也  ©X LEAGUE】

3日に行われたアメリカンフットボール日本選手権「第78回ライスボウル by GA technologies」で、パナソニック インパルスが富士通フロンティアーズを34対27で破り、9年ぶりとなる日本一を奪還した。4年連続の同一カードで迎えた頂上決戦。過去3年連続で敗れた相手への雪辱を果たし、勝利の裏には「第4クオーターで勝ち切る」というチームテーマと総合力の向上があった。

試合は接戦となり、第4クオーターまで決着がつかない展開だった。前半は、クオーターバック(QB)荒木優也の積極的なパスが試合の流れを作り、チームにリズムをもたらした。荒木は「最初のシリーズでしっかりパスを放って、自分の中でのリズムを作りたいっていうのは、(オフェンス)コーディネーターには伝えていた。最初にパスを放ることで、すべてにおいて、自信を持って投げ切ることができた」と振り返る。荒木はライスボウルまでの8試合で、1試合平均のパス試投回数が約17回と多いとは言えなかった。しかし、この日は前半だけで16回のパスを投じる積極策が功を奏した。

【タックルを受けるRBミッチェルビクタージャモー(左)  ©X LEAGUE】

後半は得意のラン攻撃で富士通の守備に揺さぶりをかけた。勝負の第4クオーターでは荒木のタッチダウンランで同点に追いつき、ランニングバック(RB)ミッチェルビクタージャモーのダイブで勝ち越し。そして、勝利をグッと引き寄せたのはラインバッカー(LB)ジャボリー・ウィリアムスのピックシックス。14点差をつけ、勝利を一気に手繰り寄せた。

最優秀選手に選ばれた荒木は「厳しい試合になることは全員が分かっていた。その中で1年間やってきたことをしっかり出せたのが勝因だと思う」と語る。そして「この試合が今シーズンで一番楽しかった」と振り返り、左ひじに負った裂傷を忘れさせるほど、勝利の喜びとともにフットボールの醍醐味を存分に味わった試合だったと明かした。

【インターセプト後にTDを確信するLBジャボリー・ウィリアムス  ©X LEAGUE】

主将のLB青根奨太は「去年、一昨年と同じようなシチュエーションが続く中、全員が自分たちのやるべきことを辛抱強く実行した。その成果だと思う。フットボールを続けてきて本当に良かった」と喜びをかみしめた。過去の敗北から学び、チームとしての成長を示した試合だった。

就任1年目の高山直也ヘッドコーチは、「第4クオーターで勝ち切るということをテーマにやってきた」と語る。今年のパナソニックは過去3年、第4クオーターで無得点に終わっていたが、この日は21対7で富士通を圧倒し、シーズンを通じて取り組んできたテーマの成果を示した。

【9年ぶりの日本一奪回を喜ぶパナソニック インパルス  ©X LEAGUE】

指揮官は、試合後に「インパルスファミリーの皆さん、お待たせしました」と感謝の言葉を述べ、長年応援してくれたファンに喜びを共有。首脳陣、選手、ファンが一体となってつかんだこの勝利は、9年ぶり5度目の日本一という偉業を達成するだけでなく、チームとしての新たなスタートを示すものとなった。

この勝利がさらなる成長と栄光への起点となることは間違いない。パナソニックは、新たな歴史の1ページを切り開いた。