「やっぱりフットボールっていいな」 OrientalBio岡HC、苦闘の果てにつかんだ初勝利
2025年11月14日(金) 16:00
【第6節のハカタネクスト福岡戦で先発したOrientalBioシルバースターQBドノヴァン・アイソム ©X LEAGUE】
長いトンネルに、ようやく光が差した。
X1 Super第6節、OrientalBioシルバースターがハカタネクスト福岡SUNSとの激闘を制し、レギュラーシーズン最終戦で今季初勝利を挙げた。残り時間わずか、ゴール前13ヤードまで攻め込まれた土壇場――岡潔ヘッドコーチは選手を信じるだけだった。
息をのむような時間が過ぎ、最後のプレーで相手の攻撃を止めた瞬間、シルバースターのサイドラインに歓声があふれた。その光景を見つめながら、岡HCの胸にこみ上げたのは、久しぶりに感じる“フットボールの鼓動”だった。
「ディフェンスを信じるしかなかったのと、久々にドキドキしました。やっぱりフットボールっていいなって思っています」
試合後の言葉には、安堵と高揚、そしてこの競技への純粋な愛情が入り混じっていた。
【ボールキャリアーをタックルするOrientalBio LB山本力矢(左) ©X LEAGUE】
2016シーズンに指揮を執り、そこから9季ぶりの復帰。開幕から白星をつかめないまま迎えた最終戦は、まさに意地と誇りのぶつかり合いだった。立ち上がりはロングゲインのタッチダウンを奪うなど2タッチダウンを挙げたが、第2クオーターは無得点。後半にはスカウティングの徹底で弱点を突かれ、防戦一方の時間も続いた。それでも岡HCは「ディフェンスを信じていた」。その信頼に応えるように、選手たちは最後の13ヤードを守り切った。
「大変でした」。初勝利の味を問われると、岡HCは深く息を吐いた。25人前後が入れ替わった今季、若手中心のチームは試行錯誤の連続だった。「ボトムアップをできなかったことが苦戦につながった」と振り返りつつも、「若い選手が経験を積み、確実に力をつけている」と手応えも感じている。
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トップリーグの壁に跳ね返されながらも、指揮官はフットボールの原点を取り戻した。
「やっぱりフットボールっていいな」――その言葉は、勝利の喜びを超え、チーム再生の出発点を告げる合図だった。
