【X1Super】日本タイ記録で有終の美。IBMが快勝でシーズンを終える
2019年11月18日(月) 15:00今季から改編された上位8チーム総当たりのX1Superレギュラーシーズン最終の第7節。2勝4敗同士のIBMビッグブルーと東京ガスクリエイターズの対戦。
昨年、一昨年とジャパンエックスボウル(JXB)に出場したIBMは4年ぶりにポストシーズンのトーナメント進出を逃したが、6タッチダウン2フィールドゴールの48-7で東京ガスに圧勝。5位で今季を終了し、敗れた東京ガスは6位が決定した。
またこの試合で、IBMのK佐藤敏基(#11)が前半終了間際の第2クォーター12分0秒に日本最長タイ記録となる58ヤードのフィールドゴールを決めた。
東京ガスのキックオフで試合開始。IBMは最初のシリーズからラン、パスともロングゲインを繰り返し、5プレー1分24秒で先制タッチダウンを決める。
自陣23ヤードからの攻撃。12ヤード、3ヤードとRB鈴木恵多(#4)のランで進み、今度は、QBクラフト・ケビン(#3)がWR近江克仁(#84)、TEスタントン・ジョン(#40)へ、連続パスをヒットさせて敵陣に入った。
敵陣44ヤードからの2ndダウン、QBクラフトのパスをゴール前25ヤード中央付近でフリーになったWR白根晃(#82)がキャッチ。そのままエンドゾーンまで走り込み先制タッチダウンを決めた。
続く東京ガスの攻撃は自陣17ヤードから。QBウーズィー・イカイカ(#6)のパス、キーププレーなどで敵陣35ヤードまで攻め込み、4thダウン6でギャンブルを選択して積極的に攻めるが、QBウーズィーのパスは失敗し、攻守交代に。
第1クォーター終了間際、IBMはゴール前1ヤードと厳しいポジションからの攻撃。
QBクラフトは難なく25ヤードのパスをWR近江にヒット。クォータータイムを挟んで、RB山中大輔(#47)の25ヤードランや、WR河村暁光(#80)への25ヤードパスなどノーハドルで一気に攻めあがり、ゴール前1ヤードまで迫る。
最後はQBクラフトがエンドゾーン左コーナーへ浮かしたパスを、WR近江がタイミングよくジャンプしてキャッチ。99ヤードのドライブを完結させ、14-0とリードを広げた。
東京ガスはディフェンスのビッグプレーからチャンスをものにする。
IBMのパスを東京ガスDB清水亮佑(#4)がインターセプト。敵陣40ヤードの好ポジションで攻守交代となる。
RBホワイト・アンドレ(#27)のランでゲインを重ね、ゴール前1ヤードからもRBホワイトがダイブでタッチダウン。東京ガスが7-14と点差を縮めた。
前半残り時間40秒。東京ガスは得点圏に入ろうと、積極的にロングパスを狙うが失敗してパントに移る。P関根佑(#19)のパントはラッシュしたIBMのDLブルックス・ジェームス(#34)の右手に当たり、50ヤード付近に落ちる。それをLBコグラン・ケビン(#5)がキャッチしてサイドラインを割って時計を止めた。
リターン中の反則もあってIBMは敵陣41ヤードからの攻撃、残り時間は3秒。
ここでK佐藤(敏)が登場する。リーグ終盤に入って佐藤(敏)は何度もクラフトヘッドコーチ(兼任)に長距離フィールドゴールへのトライを懇願していたが、最終戦で絶好のチャンスが巡ってきた。クラフトヘッドコーチも迷わずフィールドゴールを指示。
東京ガスがタイムアウトをとって、間を作ったが、佐藤(敏)は集中していた。ホルダーの鈴木隆貴(#85)が48ヤード地点にボールをセット。佐藤(敏)の蹴った楕円球は、夜空に高い弧を描き、ゆっくりとゴールポスト右寄りにバーを越えていった。
58ヤードのフィールドゴールは日本最長タイ記録。1988年の川上祐司(オンワード)と、2000年の山口豊(マイカル)に続く3人目の記録となった。
早稲田大出身の佐藤(敏)は、日本人初のNFL入りを目指してアメリカでトライアウトに挑戦しているが「チャンスを与えてもらえてよかった。公式戦で自己最長を更新できて自信になった」と笑顔で話し、チームメートから祝福を受けた。
佐藤(敏)の見事なフィールドゴールでIBMは20-7とリードを広げ、前半を終了した。
後半に入ってさらにIBMは得点を重ねていった。東京ガスも果敢に攻めて4thダウンからもパントを蹴らずプレーを選択したが、決めきれず追加点を奪えなかった。
逆にIBMは、第3クォーターに1タッチダウン、第4クォーターには3タッチダウンを加え、ファイナルスコア48-7でIBMが東京ガスに完勝した。
「試合を重ねるごとにチームが良くなってきたのに、ここでシーズンが終わるのは本当に残念だ。中盤に怪我人がたくさん出たのが悔やまれる」と、IBMのクラフトヘッドコーチ。佐藤(敏)のフィールドゴールについては「すばらしいキックだった。チームのみんなが喜んで、とてもハッピーになれた」。もう少し上位を狙えたという悔しさと、シーズンを終えた安堵が入り混じった表情だった。
東京ガスの板井征人ヘッドコーチは「強い相手と対戦を重ねて、みんな自信をつけていった。当初は入替戦に回るかも、と思っていたが選手はよく努力してくれた。来年は3、4位のチームに一泡ふかせるレベルになれるよう頑張りたい」と、話した。
Text 福永美佐子
Photo エムアイプランニング