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【JAPAN X BOWL】決勝に相応しい大接戦を制し、富士通が4連覇を達成

2019年12月19日(木) 10:04

社会人日本一をかけた第33回日本社会人選手権JAPANXBOWL(JXB)が16日、東京ドームで行われた。4連覇を目指す富士通フロンティアーズ(レギュラーシーズン1位)と、4年ぶり11回目の王座を目指すパナソニックインパルス(レギュラーシーズン3位)との対戦。
富士通が第1クォーター11分40秒、4thダウンギャンブルからQB高木翼(#18)がWR中村輝晃クラーク(#81)に38ヤードのタッチダウンパスを決めて先制したが、パナソニックも直後のシリーズで同点に追いつくなど、スリリングな展開が続くハイレベルな戦いとなった。
第4クォーターにパナソニックはRBミッチェル・ビクター・ジャモー(#5)の3ヤードタッチダウンランで、26-28と2点差に詰め寄ったが、2点コンバージョンに失敗。富士通が逃げ切って5度目の優勝を決めた。
富士通の4連覇はオービックシーガルズ(第24回~第27回)に並ぶ最多連覇となった。MVPには161ヤード獲得(平均8.1ヤード/1タッチダウンを決めたRBグラント・サマジー(#29)が選ばれた。2020年1月3日(東京ドーム)のライスボウルで学生王者の関西学院大学と対戦する。

一塁側は富士通のチームカラー赤、三塁側はパナソニックの青。東京ドームのスタンドが二色に染まるなか、試合が始まった。
試合が動いたのは富士通2度目の攻撃。パナソニックのパントを富士通PR高津佐隼矢(#13)が18ヤードリターンして、敵陣42ヤードの好位置から始まったシリーズだ。ダウン更新できないまま敵陣38ヤードの4thダウン残り6ヤードの場面で、富士通はいきなりギャンブルに出た。「フィールドゴールを狙うには遠いシチュエーション、まだ0-0だったので」と、山本洋ヘッドコーチは迷わずプレーを選択。X1SuperレギュラーシーズンのMVP、RBグラントのマークにパナソニック守備が集中したところ、QB高木が、エンドゾーン中央から右奥に走り込むWR中村にリードパスをヒットさせて先制した。

富士通WR中村輝晃クラーク(#81)
富士通WR中村輝晃クラーク(#81)がタッチダウンパスを決める

 

しかし、直後にパナソニックも反撃。自陣18ヤードからの攻撃をRBミッチェルのラン、QBロウレンス・アンソニー(#18)からWR頓花達也(#15)へのパスなどでテンポよく攻めあがり、敵陣38ヤードからの第1ダウン、QBロウレンスがWR頓花にパスを通し、頓花が富士通DBをかわしてタッチダウン。7-7の同点とした。

両チーム、エースレシーバーへのロングパスが立て続けに決まり、スタンドを埋める2万人の歓声がやまないうちに、富士通はまたもKR高津佐の47ヤードリターンで敵陣31ヤードと好ポジションからの攻撃チャンスを得た。RBグラントの2ヤードランの後、QB高木がWR中村に、この日2本目のタッチダウンパスを決めた。わずか2プレーで14-7と、富士通が再び先行した。

パナソニックも直後の攻撃で、ロウレンスのパス、ミッチェルのランなどで攻め込み、敵陣15ヤードまで迫ったが、タッチダウンは奪えず、K佐伯栄太(#11)のフィールドゴールで3点を返して10-14とした。

パナソニックWR頓花達也(右・#15)
パナソニックWR頓花達也(右・#15)が相手ディフェンスをかわしタッチダウンを決める

 

後半は富士通の攻撃から始まる。自陣25ヤードから、RBグラントのランプレーでダウンを更新したが、QB高木がパナソニックDL梶原誠人(#98)の強烈なサックを浴びて10ヤードロス。続く2ndダウン残り20ヤードで高木が投げたパスを、パナソニックDB小池直崇(#32)がインターセプトし、そのままエンドゾーンまで走り込んで17-14と逆転。モメンタムを引き寄せた。
続く富士通の攻撃は、パナソニックのDL、LB陣が激しいラッシュを仕掛け、主将のDLモトゥ・ディビッド(#17)、梶原が立て続けにQBサックを決めてパントに抑え込んだ。

その後、パナソニックの攻撃。自陣21ヤードから、QBロウレンスからWRワイズ・ダニエル(#12)へのパス、RBミッチェルのランなどでテンポよく攻め込み、敵陣44ヤードでの4thダウン残り1ヤードからのプレーでは、パントのフォーメーションからRB岩田駿一(#41)のランプレーでダウン更新に成功。
順調に進みながらもパナソニックはフォルススタートの反則2回で10ヤード罰退してしまう。RBミッチェルのランでゴール前3ヤードにまで迫りながら、スペシャルプレーも失敗してタッチダウンを取れなかった。最後はK佐伯(栄)の29ヤードフィールドゴールでパナソニックは20-14とリードを広げた。

しかし直後に富士通のビッグプレーがとびだす。自陣25ヤードからの最初のプレーでRBグラントが、75ヤード独走してタッチダウン。「穴が見えた瞬間、ゴールまで行けると思った。ただスコアすることだけ考えて走った」と、グラント。第3クォーター11分57秒に21-20と再逆転。これで富士通が一気に流れを引き込んだ。

富士通RBグラント・サマジー(左・#29)
富士通RBグラント・サマジー(左・#29)が突進し、決勝タッチダウンを演出する

 

試合は最終第4クォーターに入る。
パナソニックは敵陣23ヤードまで進み、フィールドゴールで逆転を狙ったが、K佐伯(栄)のキックを、富士通のLBマシス・ジョー(#5)が左手を伸ばしてブロック。40ヤードのフィールドゴールトライは失敗に終わる。

守備のファインプレーに応えるように、富士通の攻撃が勢いを増す。このシリーズはRBグラントとRBウィリアム・デレクアキラ(#26)のランプレーを交互に使い、ゴール前9ヤードまで進む。
ゴール前19ヤード付近でRBグラントへのパス。ボールをキャッチしたグラントがゴールライン手前で、タックルにきたDB秋山雅洋(#3)をかわそうと、大きくジャンプ。着地した際にファンブルしてしまったが、エンドゾーン内でWR岩松慶将(#22)が抑えてタッチダウン。28-20とリードを広げた。

残り5分22秒から、パナソニックも意地を見せる。QBロウレンスからWR頓花への42ヤードのロングパスなどで、ゴール前3ヤードに進み、ミッチェルのタッチダウンランで26-28と2点差に迫る。パナソニックは2点コンバージョンを狙ったが、QBに入った山口知輝(#10)のバスは失敗に終わる。

残り2分40秒から富士通の攻撃が始まり、何とか攻撃につなげたいパナソニックの懸命の守備が光る。富士通はダウン更新できずにパント。残り1分29秒。パナソニックに最後のチャンスが回ってきた。

自陣41ヤードからの攻撃で、フィールドゴール圏内に入りたいパナソニック。QBロウレンスからWR頓花へのパスとロウレンスのキープで49ヤードまでゲイン。タイムアウトを取りながら慎重にプレーに臨んだ。
3rdダウン残り2ヤードからのプレー前、富士通ファンがクラウドノイズで後押しする。ドームの中を共鳴する大歓声がパナソニックのプレーコールをかき消し、2回連続フォルススタートの反則をしてしまい、致命的な10ヤード罰退。4thダウン残り14ヤードから、最後の望みを託したQBロウレンスのパスが失敗し、富士通の勝利が決まった。

アサヒビールの選手達
真っ赤なビクトリーフラワーで喜びを爆発させる富士通の選手たち

 

富士通とパナソニックのJXBでの対戦は3度目。過去2回ともパナソニックに敗れていたが、今回は28-26で富士通が大接戦をものにした。山本HCは「今年はケガ人が多く出た中で、バックアップのメンバーがよく準備して、最後の最後まで、集中してやってくれた。QBの高木も、落ち着いていいパフォーマンスを発揮してくれた。ファンの皆さんの大声援も、あと押しになって、感謝しています」と感慨深げに話した。1月3日のライスボウルに向けて「まだ少し時間があるのでコンディションを整えてしっかり準備したい」と、新年の戦いに備える。

敗れた荒木延祥監督は「最後のフォルススタート2回が悔やまれる。時間もタイムアウトもあって、自信あったんですけどね。ドーム慣れしている富士通と、慣れてないウチとの差ですね。それでも例年にないチームの一体感が生まれたのは大きな収穫。来年もまたしっかりチャレンジしないとここに立てないので、頑張りたい」と、前を向いて締めくくった。

Text 福永美佐子
Photo  エムアイプランニング

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