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【X1Super-X1Area入替戦】相模原の太陽は沈まず、運命の一戦はノジマ相模原ライズが勝利

2019年12月23日(月) 08:54

 ノジマ相模原ライズとアサヒビールシルバースター。カテゴリは違えど、ともにリーグ戦序盤に歯車が噛み合わず、苦しいシーズン開幕となった両チーム。中盤以降はノジマ相模原が最後まで修正に苦しんだのと対照的に、尻上がりで調子を上げて入替戦への切符を掴み取ったアサヒビール。両チームのプライドをかけた運命の一戦は、ノジマ相模原がアサヒビールの粘りを振り切り、32-20で勝利を収め、X1Super残留を決めた。

 試合はアサヒビールのキックで開始。ノジマ相模原はこの最初の攻撃シリーズ、QBジミー・ロックレイ(#11)からWR伊藤雅恭(#23)への中央へのロングパスで1stダウンを更新する。しかしその後は、アサヒビールの守備ラッシュの前に攻めあぐみ、敵陣まで前進するが、フィールドゴールトライに抑え込まれる。このフィールドゴールをK鈴木健太(#13)が成功させ、まずは先制に成功。

 一方、自陣35ヤード付近から攻撃を開始したアサヒビールはノジマ相模原の守備に苦しめられる。だが、3rdダウンロングのシチュエーションでQBケダリアス・ハンフリーズ(#3)がWRに連続してパスを成功させ、粘り強く前進を続ける。2回の1stダウン更新後にはQBハンフリーズがプレーを崩されつつもパスをヒット。第1クォーターの6分45秒には再びQBハンフリーズがRBジョナ・ホッジス(#29)へのタッチダウンパスを成功させ、鮮やかに逆転する。アサヒビールは続くノジマ相模原の攻撃に、ダウン更新は許すが得点は許さず、試合序盤の流れを掴む。

アサヒビールRBジョナ・ホッジス(#29)
パスキャッチでタッチダウンを決めたアサヒビールRBジョナ・ホッジス(#29)

 

 膠着試合が大きく動いたのは第2クォーター序盤。ノジマ相模原がQBロックレイのドローフェイクからのWR伊藤へパスで大きく前進すると、ベテランRB宮幸崇(#2)のランプレーで着実にゲインを重ねる。最後はRB東松瑛介(#25)がタッチダウンを決めて同点に追いつく。
 このプレーでノジマ相模原が流れを掴んだように思われたが、アサヒビールも流れを相手に渡さない。RBホッジスのランプレーで前進をすると、QBハンフリーズがWRリッジ・ジョーンズ(#2)への45ヤードタッチダウンパスを成功し、すぐさま逆転を果たす。次のノジマ相模原の攻撃シリーズでもアサヒビールは勢いに乗り、ノジマ相模原RB森本紘介(#26)への強烈なタックルでファンブルを誘発させたかに見えた。しかしこのプレーはビデオ判定で覆される。

 ここから意地を見せたのはノジマ相模原。QBロックレイのパスでゲインを重ね、第2クォーターの9分23秒にRB宮幸のランで逆転タッチダウン。この試合初めてのリードに成功する。更にアサヒビールの攻撃を鋭いパスラッシュで3rd&アウトに抑え込む。第2クォーター終盤にはパントのスナップミスからアサヒビールに攻撃権を渡し、アサヒビールQBハンフリーズのパスで再逆転をきめられたかに見えたが、これはアサヒビールのパーソナルファウルで無効。前半をアサヒビール14-17ノジマ相模原のスコアで折り返す。

ノジマ相模原RB東松瑛介(#25)
QBの位置に入ったノジマ相模原RB東松瑛介(#25)がタッチダウンを決める

 

 第3クォーターで試合の流れを掴んだのはアサヒビール。開始直後のレシーブのシリーズこそ3rd&アウトに抑え込まれるが、迎えたノジマ相模原の攻撃で、QBロックレイが放ったパスをDB手塚雄斗(#34)が見事なインターセプト。敵陣38ヤードの好位置で攻撃を開始したアサヒビールはK梅垣光理(#47)がフィールドゴールを決めて同点に追いつく。更にアサヒビールは続くノジマ相模原の攻撃でも守備陣が奮闘し、ファンブルを誘発させたボールをDB手塚が抑えてターンオーバーを奪う。

 これまで中々リズムに乗れなかったノジマ相模原だが、ここで与えた攻撃権を3rd&アウトで奪回。自陣25ヤード付近からの攻撃で、アサヒビールの守備ラッシュに押されるが、QBロックレイのパスを受けたRB宮幸が快速を魅せ、そのままエンドゾーンに到達。続くトライフォーポイントのプレーでは失敗するものの、第3クォーター終盤のビッグプレーで勝ち越しに成功。勢いに乗るきっかけを掴んだ。

富士通RBグラント・サマジー(左・#29)
堅実な司令塔ぶりが光ったノジマ相模原QBジミー・ロックレイ(#11)

 

 そして迎えた最終第4クォーター。序盤のアサヒビールのドライブではノジマ相模原が勢いを維持し、前進こそ許すがタッチダウンは許さない。アサヒビールの追撃を5分3秒のフィールドゴールに抑える。ノジマ相模原はここで得た攻撃シリーズではアサヒビールの激しい守備におされパントに追い込まれる。しかしここでP鈴木健太が敵陣2ヤード地点でアウトオブバウンズさせる絶妙のパントを決める。
 このチャンスでノジマ相模原は守備陣のスピードあるラッシュでアサヒビールに襲いかかる。これに屈したアサヒビールは自軍エンドゾーンでタックルを受け、ノジマ相模原がセーフティーでさらなる追加点を奪う。
 これで完全に勢いに乗ったノジマ相模原。RB森本とRB宮幸のランで時間を消費しつつ前進を続ける。すると第4クォーター9分36秒に、RB森本が35ヤードタッチダウンランを成功させ、試合の行方を決定づけた。

 逆転の望みをかけたアサヒビールではあったがQBハンフリーズのパスが4回連続で失敗し、万事休す。最終スコアアサヒビール20-32ノジマ相模原でノジマ相模原がX1Super残留を決めた。

 「今季は過去に無いくらい、色々なことが噛み合わない厳しいシーズンだった」と今季を総括したノジマ相模原恭通HC。「(入替戦をむかえるにあたって)この一ヶ月は選手スタッフも相当厳しかったと思うが、その中でも全員が誠実に一生懸命準備をしてくれたことがゲームプランの達成に繋がった」と選手スタッフを讃えた。
 一方敗れたアサヒビールの有馬隼人HC。「シーズン当初の我々ではライズさんに刃が立たなかった、今日の試合はのみんなの成長の証」と選手の成長を実感する。しかし「このレベルの相手に勝つには選手もスタッフも足りない部分があった、もう一段階成長が必要」と来年への展望を語った。

Text 早坂茂
Photo  エムアイプランニング

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