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「ちょっと忘れられないゲーム」、まさかの展開にオービック大橋HCも驚嘆

2020年11月22日(日) 07:27

「僕もフットボールライフは長いですけど、ちょっと忘れられないゲームになりますね」

35対34で劇的勝利に沸いたパナソニックインパルス戦を終え、興奮冷めやらぬままにそう明かしたのはオービックシーガルズの大橋誠ヘッドコーチ(HC)だ。

百戦錬磨の指揮官も驚いたオービック対パナソニック戦はJAPAN X BOWLの出場権をかけた試合にふさわしく、最後の最後まで勝負の行方が分からない白熱した好ゲームだった。前半はオービックの攻撃が機能して優位に進めたものの、後半はアジャストしてきたパナソニックの守備にオフェンスを止められ、第3クオーター終了間際にはついに逆転を許してしまう。それでも、最終クオーター残り4分でわずか1点ながらなんとかリードを取り戻したオービックだったが、パナソニックの最後の攻撃でゴール前1ヤードまで攻め込まれ、この時点で試合の残り時間は24秒、4回の攻撃でわずか91センチを進めばパナソニックが勝利を手中に収める最大のピンチに直面した。

しかし、オービックはこの絶体絶命の場面でも最後まであきらめなかった。

「いつも通りのプレーをしてくれればと思っていました。むしろ、あまり気負わずに普通にディフェンスをしてくれればと思っていました」と振り返る大橋HCが信頼して送り出したディフェンス陣が値千金のプレーで期待に応えたのだ。

中央を突こうとスニークしたパナソニックのクオーターバック(QB)アンソニー・ローレンスがファンブルしたボールをラインバッカー(LB)成瀬圭汰がリカバーし、大金星をたぐり寄せた。

指揮官は今季からランニングバック(RB)からLBにコンバートした苦労人に向けて、「練習フィールドでも最後まで残って練習するような選手なので、変な話ですけど、そういうやつにそういうものが与えられるのかな。その部分に関しては、小さな彼の努力が何らかの形で報われたのかなという気はします」と賛辞を送っている。

とはいえ、まだ試合は残り17秒あり、自陣1ヤード。セーフティを許せば天国から地獄へ突き落される。最後の最後まで気を抜けない。そんなプレッシャーがかかる場面に、大橋HCも「一番ナーバスになった」というオフェンスのラスト2プレーはしっかりとボールを保持し、激闘に終止符を打って勝利を得た。

勝つには勝ったオービックだが、その一方で課題も見つかっている。前半に比べて後半はパナソニックの出足の鋭い守備に苦しめられ、特に第3クオーターは無得点に封じられた。

大橋HCは「パナソニックさんのハーフタイムでのアジャストが素晴らしかったです。何よりも第3クオーターは僕らが風上だったのですが、ずっとフィールドポジションの悪い状態に押し込められていたというところが、こういうもつれた展開を作ったと思います。キッキング、オフェンス共にそこが課題だと思います」と次戦へ向けて気を引き締める。

また、ベテランの木下典明をはじめ、この日の試合では故障者が続出しただけに、指揮官は「今日はけが人が多く出たので、そのあたりのリカバリーが直近では一番大きな課題になると思います」と、けが人の回復を最優先課題に挙げていた。

いよいよ次戦はJAPAN X BOWLだ。22日(日)の富士通フロンティアーズ対エレコム神戸ファイニーズ戦の結果で相手が決まる。大橋HCは4年ぶりの頂上決戦に向けて、「ご存じの通り、お調子者の多いチームなので大きい舞台ではいつも以上に活躍してくれるのではないかと思います」と話した。