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NFL入りを目指して渡米中の李、「精神的にも身体的にも自分の準備は整った」

2021年04月09日(金) 22:23

2021年NFLインターナショナル・プレーヤー・パスウェー・プログラム(International Player Pathway Program/IPPプログラム)の候補に選出され、アメリカでトレーニングに励んできたオービックシーガルズのランニングバック(RB)李卓は、悲願のNFL入りに向けて「精神的にも身体的にも自分の準備は整った」と力強く明かした。

NFLのIPPプログラムは北米以外の国の選手にNFLレベルの競争機会を与え、スキルを磨き、最終的にはNFLのロースター入りにつながるチャンスを与えるため、2017年に開始されたプログラムだ。

NFLは全32チームが2つのカンファレンス、NFC(ナショナル・フットボール・カンファレンス)とAFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)に分かれ、各カンファレンスには東西南北の地区に4チームずつが所属しており、この中から無作為に選ばれた1地区の4チームがIPPプログラムへの参加が決まった海外選手を受け入れることになっている。各選手はプレシーズンのトレーニングキャンプ終了とともに配属されたチームの外国出身練習生としての資格を得る。

李はこのIPPプログラムに参加するため、同じく候補に選ばれた9カ国10名の選手とともにアメリカ・フロリダ州にあるIMGアカデミーでトレーニングを重ね、3月末には李を含む候補生11名がフロリダ大学のプロデーに参加、NFL全32チームの関係者が勢ぞろいする中、40ヤード走やワークアウトに臨んで実力をアピールしている。

日本人フットボーラーでNFLの舞台に立った者はまだおらず、IPPプログラム入りが決まれば李が追い求めてきた目標に大きく近づくことになる。

日本時間9日(金)、NFL主催のオンラインカンファレンスに参加した李は、日々の練習について「午前中にジムで、午後にフィールドでトレーニングをやっていました。土日はオフですが、水曜日は回復としてのアクティブレストでそれ以外は二部練習でやってきました」と説明。

ワークアウトの成果を問われると、渡米前後で測定していないため具体的な数値の差異は分からないと前置きしながらも、「スピードも上がっていますし、ベンチプレスも回数は当初(アメリカに)来た時は11回だったのですが、プロデーの時は16回上がりました」とレベルアップしたことを実感しているようだ。

圧倒的なスピードとボディバランスで日本アメフト界トップクラスのランナーとして活躍してきた李は、今年1月のライスボウル優勝後に自身のセールスポイントにスピードとボディバランスを挙げており、アメリカでさまざまな練習に取り組んできた今もその武器に対する自信は揺るがない。

「実戦をする機会がないので、日々、ポジション練習しかできませんが、そこは自分の強みだとずっと思っていますし、今回、トレーニングをしていてもランニングバックコーチからランニングバックのフットワークや、メニューをこなすボディバランスは高く評価してもらっていると感じています」

ならば、NFL入りという目標を達成するためには何が一番必要なのか。現段階で李が最も足りないと感じているのは英語だ。フットボール能力はもちろんのこと、それ以上にコミュニケーション能力が重要だと感じていると言う。

「プログラム前に自分が挙げた課題はキャッチの能力と英語、キッキングでしたが、今でも一番課題だと感じるのは英語です。なぜかというと、フットボール言語をもっと磨いていかないといけないと思っていて、日々、チームメイトやコーチと会話する際は問題ないですけど、実際にNFLへ行った時に選手やコーチがスラングを多用した時に自分が理解し、そこでもっともっと吸収していくという意味では、まだまだ課題はあると思っています」

また、アメリカでのトレーニングの前と今を比べてNFLとの距離が縮まったと思うかとの質問に対し、「距離が短くなったという実感はないのですが、自分が近づいた実感はあります。精神的にも身体的にも自分の準備は整ったように思っています」と答えた李。当初はIPPプログラムに選出されること自体を目標にしていたものの、今ではそれを前提としてロースターに残るためにはどうすればいいかを意識しているといい、予定では現地9日にトレーニングが終了した後、いったん帰国するつもりだったが、IPPプログラム参加が決まった場合に備え、チームに円滑に合流できるよう、結果が判明して配属先も決まる5月1日を現地で待つことに決めたとのこと。

コロナ禍で多くの制限があるとはいえ、フットボールファンに大きな夢を与えている李の挑戦は着実に進んでいる。

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