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【 X Factor 】パナソニック インパルス 小西俊樹

2021年05月04日(火) 20:13

Xリーグの活動には選手、コーチ、スタッフなど実に多くの人たちが携わっています。その「X戦士」たちに焦点をあてて紹介する新企画「X Factor」の連載開始です。第1弾はパナソニック インパルスの新キャプテン、小西俊樹選手です。インパルスが今季の活動を開始するにあたって、彼が感じたチームの変化とは—。

野球からの転身 フットボールに求めた「何か違うもの」

パナソニック インパルスの新キャプテン、小西俊樹選手(OL、背番号75)の子供のころの夢はプロ野球選手になることだった。中学生では大阪の硬式野球チームで日本一を経験。全国高等学校野球選手権(甲子園大会)こそ縁がなかったものの、プロのスカウトの目に留まるほどの選手だった。

10代の小西にとって野球がすべてだった。周囲もそう言っていたし、本人もそう思っていた。だから、大阪学院大学に進学してからも野球を続けるはずだった。ところがある時、「野球がすべて」ということは「野球しかない」と同義であることに気づいてしまう。「大学の4年間で野球を頑張って社会人野球やプロに進んだとしたら『やっぱりお前には野球しかなかったよな』と言われてしまう。野球だけじゃないという思いを周りに知らしめたかった」と小西は言う。野球ではない何か違うものを大学で始めたいと考えていた時に勧誘されたのがアメリカンフットボール部だった。

ルールも全く知らないままに入部したものの、持ち前の運動能力の高さで防具をつけてからわずか2週間ほどで試合に駆り出された。TEとして出場し、最初のパスは難なくキャッチできた。すぐにタックルされたが痛くはなかった。「こんなものかと思った。でも、次のキャッチで受けたタックルは痛くてびっくりした(笑)。ボールをファンブルしちゃったのを憶えています」と振り返る。

気づけばその時から14年の月日が経ち、5月9日には34歳の誕生日を迎える。フットボールプレイヤーとしてベテランの部類に入る。その自覚からなのか、今年のチームキャプテンがなかなか決まらなかったとき、自ら手を挙げた。これまでポジションリーダーはやろうと思ったことはあったが、キャプテンになろうと思ったのは初めてだという。

「ベテランの自分が何かチームのためにできることがあるのではないかと考えた。だから、自分がキャプテンになって日本一になってやろうと思った」と語る小西は今年のチームにある「変化」を感じ取っている。「シーズンインした時の選手の仕上がりが今までにないくらいよかった。去年負けてから皆トレーニングをしっかりやってきた、日本一になる準備を進めてきてくれたなと感じた。目指すべきところがより具体的に見えたというところも大きいと思う」

新型コロナウイルスの影響で短縮された昨シーズンはケガで選手登録を見送った。その代わりアシスタントコーチとしてチームのサポートに回った。そのことによって今まで見えなかったことが見えてくるようになったという。

「同じポジションを俯瞰でみたりなど、今まで以上にいろんな選手の動きをチェックしたりすることで学ぶことがあった。たとえば、シンプルなことをいかに当たり前に徹底 できるかということ。OLはいつも『フィニッシュ』を 心がけるが、コーチ目線でユニット全体を見たとき、それが(相手にとって)やっぱり脅威 になるところなので、口だけではなくて何が何でもそこだけは徹底 する 必要 がある」と小西は言う。「(アシスタントコーチをすることで)監督 やコーチ陣としっかりとコミュ ニケーションがとれた。これもキャプテンをやろうと思ったきっかけかもしれない。自分も少しは 成長 したのかな、変わったのかなと思う」

パナソニックでは照明器具の営業企画を担当している。さまざまなカテゴリーの商品で新しいことを企画しては顧客の声を聞いて商品に反映し、PRする。 足で情報 を仕入れることも重要だ。就職先としてパナソニックを選んだのはインパルスでプレイしたかったからだ。仕事が第一のチームでフットボールもしっかりやるという環境で社会人になりたかった。両立は難しいですかと尋ねると、意外な答えが返ってきた。

「当たり前だが、仕事しているときは仕事、フットボールをしているときはフットボールのことだけを考える。若いころは仕事とアメフトを分けて考えていたが、今はどちらも同じようイメージだ。仕事もフットボールもとにかく本気で100%出し 切るという意味 では、やっていることは違えど考えていることや目指すべきことは同じかなと思っている。全部頑張っているから同じです」

仕事もアメフトもオフの時間には二歳半の子供と遊ぶという小西。5月4日には二人目のお子さんも生まれた。最後に、フットボールをやっていてよかったと思う瞬間を聞いてみた。

「これもインパルスならではのことだが、実際に仕事をしている職場の人が応援してくれるところがすごく幸せ だ。日本一になったら僕らと同じように喜んでくれたりとか、負ければ 悔しがったりしてくれる。そういうところはアメフトやっていてよかった、というよりインパルスでよかったなと思う」

小西俊樹(こにしとしき)
1987年5月9日、大阪府出身。大阪学院大学卒。
パナソニック インパルスOL、背番号75。
身長184センチ、体重130キロ

パナソニック インパルス
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