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【X Factor】ノジマ相模原ライズ 小林篤実 

2021年05月12日(水) 11:00

Xリーグの活動には選手、コーチ、スタッフなど実に多くの人たちが携わっています。その「X戦士」たちに焦点をあてて紹介する新企画「X Factor」。連載3回目はノジマ相模原ライズのRB小林篤実選手のインタビューです。パワーバックへのこだわり、中村多聞氏との出会いについて語ってくれました。

「サイズとスピードが武器 アメリカ人サイズの和製パワーバック」
身長178センチ、体重103キロの小林篤実選手(ノジマ相模原ライズ)は日本人のRBとしてはいわゆるプロトタイプではない。ことに100キロを超える体重は70~80キロ台がほとんどの日本人RBのなかで際立って大きい。小林はアメリカンフットボールに興味を持ちだした瞬間からこうした大型バックになることを目指していた。

小林とフットボールの出会いは高校2年生の時だ。アメリカのホームステイ先でNFLの試合をテレビで見たのがきっかけだった。最初は「ビジュアルがいい」というところに惹かれ、帰国してからルールを覚えた。日本の大学にもフットボール部があることを知り、それまでやっていたサッカーから転身することを決心した。サッカー選手としても体が大きい方でプレイスタイルもフィジカルを前面に打ち出すものだったため、「アメリカ式フットボール」でもその長所を生かしたかった。

「サイズとスピードは自分の武器だと思っている。アメフトを始めた頃からアメリカ人サイズの体でRBとしてプレイしたかった」と小林は語る。彼にそう思わせた存在というのがやはり同じくパワーとスピードを武器とし、アサヒ飲料(現アサヒ飲料クラブ)チャレンジャーズでRBとして活躍した中村多聞氏だった。中村氏は現役時代に105キロのサイズながら40ヤード走で4.47秒(光電管計)を記録したスピードスターで、2000年シーズンにはチャレンジャーズのライスボウル優勝に大きく貢献し、自身もポールラッシュ杯(MVP)を獲得した。小林は「多聞さんの存在があるので、僕も重くて速いプレイをしたくてずっと100キロ前後をキープしながら動きの質を上げていく取り組みをしている」と言う。

浪人時代にも勉強以外にアメフトのためにできることを探し続け、ネットでフットボール選手のベンチプレスの数値や40ヤード走のタイムを調べていた。また、共同通信社が運営するサイト「週刊turnover」で中村氏が執筆している連載コラム「最強RBへの道」を読んでモチベーションを上げ、勉強の合間に筋力トレーニングや走り込みを続けてきた。

ちなみに小林はその後中村氏とは密接な縁で結ばれる。大学3年生時に友人と中村氏の経営する「ゴリゴリバーガータップルーム」(東京西麻布)を訪れてサインをもらったのが最初の出会いだが、その後同店でアルバイトをすることに。そして、ライズに入ってからは選手とコーチの関係になった。法政大学時代は4年生まで専任のRBコーチがいなかったという小林は中村氏の指導を「全体的に新しいことが多くて印象的だった。内容は頭ではわかっていても実行するのが難しかった」と振り返る。

大学4年生のころに体重が100キロを超えた。高校時代から比べると30キロは増えたという。「一気に体重を増やすのではなく、少し増やした後に走り込みをして、スピードが追いついてきたと思うとまた体重を増やす。その繰り返しで地道に積み重ねてきた」と小林は言う。

今年2月にはCFLの国内コンバインに挑戦した。今年は17名の参加者のうち4人が選抜されたが、その中に小林の名前もあった。しかし、残念ながら4月のグローバルドラフトでは指名されることなく、CFLへの挑戦は来年へ持ち越しとなった。

もともとプロの道を真剣に考えていたわけではない。国内コンバインもライズの東松瑛介RBコーチから受けるように指示され、中村氏からも「緊張感の中でどれだけ力を発揮できるか試して来い」と背中を押されての参加だった。

「僕自身もそこまで調整できたわけじゃなく、コンバインの数値も納得いかなかった。ドラフト候補になったのはおそらくフィジカルの数値が評価されたのだろう」と小林は言う。しかし、どのチームからも声がかからなかったことで彼の意識が変わる。悔やまれるのはCFLに提出する自身のハイライトビデオの内容が十分ではなかったことだ。昨年はコロナの影響で試合数が減ったばかりではなく、小林も膝や肩の故障で公式戦で出場したのはわずか数プレイのみ。「今シーズンはしっかり試合に出て、自分はこういうプレイができると胸を張ってCFLにアピールしたい。(ドラフト後は)パスプレイの多いCFLに向けてパスキャッチの練習もめっちゃしているし、食事制限やアジリティ重視のトレーニングを心がけている」

フットボールのキャリアは今年で7年目に入る。これまでに忘れられない試合はあるかと尋ねると「正直僕にはまだない。その忘れられない試合を作りたいからまだ現役を続けている」との答えが返ってきた。アパレル業界に身を置き、忙しい日々が続くが、「勝ったときの報われた感というか達成感、そして、タッチダウンして観客と一体になったときの感覚は非常に好きです。ライズは相模原のみなさんが応援に来てくれる。それは僕らの力になっている」と語った。

小林篤実(こばやしあつみ)
1996年1月27日、東京都出身。法政大学卒。
ノジマ相模原ライズRB、背番号32。
身長178センチ、体重103キロ

ノジマ相模原ライズ
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