【X Factor】チームメートは同志 着実に実績を積む3年目の「ゾウ」
2021年09月08日(水) 19:00
今季のX1 Super第1節2日目に大阪吹田市のエキスポフラッシュフィールドで行われたエレコム神戸ファイニーズ対IBM BIG BLUEの対戦は両者点の取り合いの末に26－26の引き分けに終わった。過去2年の対戦はいずれも7点差でエレコム神戸が勝利しているが、今年も最終プレーまで勝敗の行方が分からない接戦となった。
この試合の幕開けとなったのは開始早々のキックオフリターンタッチダウンである。決めたのはエレコム神戸3年目のワイドレシーバー（WR）アルフォンソ・オヌワーだ。オヌワーはIBMの福岡勇斗のキックを自陣2ヤード付近でキャッチ、そのままエンドゾーンまで駆け抜けた。
「試合でいいスタートを切りたいと思っていました。タッチダウンまでは期待していなかったけど、リターンの走路が完璧に開いてくれたのでそのチャンスを生かしました」と試合後のオヌワーは語った。
オヌワーは第3クオーターの残り5秒でもキックオフリターンタッチダウンを決めた。これはIBMがクオーターバック（QB）政本悠紀からWR白根滉へ19ヤードのタッチダウンパスで4点差（エレコム神戸23－19IBM）にまで迫った直後で、相手に移りかけていたモメンタムを引き戻す効果があった。
このプレーではボールをキャッチしたWR小田康平からリバースプレーでボールを受け取り、オヌワーが93ヤードのリターンタッチダウンに結びつけた。
「あれはデザインされたプレー。ボールを受け取った瞬間にホールが開いているのが見えたからそこに走り込みました」と言うオヌワー。1試合で2度のキックオフリターンタッチダウンはアメリカでは経験があるそうだが、Xリーグでは初めてだ。「自分とって特別な試合になりました」と笑った。
WRとしてはチームトップの3回のパスキャッチで68ヤードを稼いだ。
オハイオ州クリーブランドの出身で、地元の高校からカンザス州のコッフィービルコミュニティーカレッジ（短大）を経て2016年にアイダホ大学に転入した。アイダホ大学はNCAAのディビジョンIのFCS校のひとつで、NFLサンフランシスコ49ersなどで活躍したオフェンスライン（OL）マイク・ユーポティらを輩出した。オヌワーはWRとしてプレーし、4年生時（2017年）には11試合の出場で64回のパスキャッチ、856ヤード獲得、8タッチダウンキャッチを記録した。
エレコム神戸には2019年の入団だ。米倉輝監督やチームメートは「ゾウ」と呼ぶ。チーム合流時に本人が「ゾウ（象）と呼んでほしい」と自らニックネームを申告したのだという。そんなオヌワーは初年度にリーグ8位タイの26回のパスキャッチで439ヤードを稼ぎ、タッチダウンパスキャッチ数（７）はリーグトップタイだった。デビューイヤーでオールXにも選出された。短縮シーズンだった昨年はリーグ最多の26キャッチで418ヤード、１タッチダウンの成績。
入団先としてエレコム神戸を選んだのは昨年までファイニーズに在籍したディフェンスバック（DB）ショーン・ドレイパー（現東京ガスクリエイターズ）がきっかけだった。「ショーンとは幼な馴染で、彼がこのチームのことを話してくれました。そして、コーチを紹介してもらって入団の話がまとまったんです」とオヌワーは言う。「このチームには兄弟愛のようなものがあふれています。アメリカ人選手も日本人もみんなひとつにまとまっている。今はコロナ禍でできませんが以前はよくみんなで食事に行ったりしました。いわば同志ですね」
エレコム神戸での試合で最も印象に残っているのは昨年のIBM戦（第１節、エキスポフラッシュフィールド。ファイニーズが35－28で勝利）だそうだ。
「あの試合は激しい試合でした。ちょうど今日の試合のように。最後にキャプテンの（WR）南本剛志選手が決勝タッチダウンパスキャッチをしたんです。あの試合でこのチームはたくさんのことを克服しました。チームとして成長できた、大きな意味のある試合でした」とオヌワーは語る。
近年のエレコム神戸とIBMの試合は接戦の展開になる。新たなライバル関係の誕生かと問うとオヌワーはこう答えた。「メイビー（笑）。IBMとはいつも激しい試合になります。どちらのヘッドコーチもゲームプランニングに優れています。お互いをライバルと認める日が来るかもしれません」
Alfonso Onunwor（アルフォンソ・オヌワー）
1996年2月18日、米国オハイオ州クリーブランド出身、アイダホ大学卒
エレコム神戸ファイニーズWR、背番号21。
身長186センチ、体重90キロ
エレコム神戸ファイニーズ
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