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【X1 Superセミファイナルの見どころ】富士通対オービックは接戦必至、勝敗を左右するのはフィールドゴールの成否か

2021年12月09日(木) 12:00

富士通フロンティアーズとオービックシーガルズが12日、横浜スタジアムでセミファイナルを戦う。リーグ戦最終節でも対戦した両チームは、そこから2週間後の再戦となる。第7節では富士通が1点差で勝利したが、“本番”の結果はいかに。

昨年のジャパンエックスボウル(JXB)を含めた直近4試合の対戦成績は、富士通に3勝1敗と分があるも、昨季の頂上決戦ではオービックが制して王座に就いた。その4試合とも、先制したのはオービック。最終的に試合巧者の富士通が勝ち切る展開だったが、昨年のJXBではオービックが逃げ切った。オービックは先行逃げ切りに持ち込み、対する富士通は先行されても慌てずに終盤にきっちりと勝ち切る展開にしたいところだ。

2年ぶりにXリーグ王者を狙う富士通は今季からエースの座に就いたクオーターバック(QB)高木翼(上段写真)が、レギュラーシーズンではパス獲得ヤード3位(1,375ヤード)、タッチダウンパス数2位(12)と上々の出来。パス成功率(64.1%)もトップクラスで、精度が高いパスをタレント揃いのレシーバー陣に投げ分け、オービックの守備陣をかく乱させたい。ランでは、リーディングラッシャーのトラショーン・ニクソンの存在が大きい。ニクソンは走れてパスも捕れる万能ランナーだけに、ゴール前ではオービックにとって脅威となるだろう。

対するオービックのオフェンスは、リーグ戦残り2試合でQB小林優之が先発を務めた。身長163センチのシグナルコーラーは、富士通戦では2インターセプトを喫するも、ジミー・ロックレイの穴を埋めるには十分なほどの働きを見せた。ロックレイを含め故障者が多いチームだが、大一番にはきっちりと調整してくるだろう。その中で、ベテランのワイドレシーバー(WR)木下典明が第6節で復帰したことは、若手が多いチームの中では心強い。ランでは、万能型の地村知樹、パワー型の望月麻樹、スピードタイプの荒竹悠大とそれぞれ異なるタイプをそろえ、調子や状況によって使い分けしてくるだろう。さらに、CFLから戻ってくる李卓が合流できれば、地上戦は一気にオービック優勢に傾くかもしれない

守備では、富士通のディフェンスバック(DB)奥田凌大がリーグトップの3インターセプトとビッグプレーメーカー。アルリワン・アディヤミも2インターセプトと守備範囲が広く、オービックとしては無謀なパスは禁物だ。また、CFL帰りのラインバッカー(LB)山岸明生の調子が整えば登録される可能性もあるので、もし合流ともなれば、富士通にとってはラン守備だけでなくミドルのパスに対して守備力が強化される。一方、オービックのディフェンスは、完封勝ちが2試合あるように鉄壁。大橋誠ヘッドコーチもシーズン半ばに「守備は固まってきた」と太鼓判を押したほどだ。どの選手もハイレベルで、ボールへの集まりが早い。中でも注目したいのがLB成瀬圭汰。2020年にRBから転向したハードヒッターは、タックル数でリーグ3位タイ(22.0)に加え、インターセプトとサックも決める万能選手なので、富士通にとっては厄介な存在だ。

この両チームの戦いは、過去4試合ともすべてが6点差以内の接戦。故に、キッキングゲームの成否が勝敗を分けそうだ。オービックは、CFL帰りの山﨑丈路(下段写真)が最終節に復帰と心強い。対する富士通は、今季は4度のフィールドゴールブロックを許すなどスペシャルチームに不安要素がある。山本洋ヘッドコーチがどのように修正してくるか注目だ。