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【X1 Superセミファイナルの見どころ】ランのパナソニックにパスのIBM、勝負のカギは粘り強いディフェンス

2021年12月09日(木) 12:00

パナソニック インパルスとIBM BIG BLUE が12日、X1 Superのベスト4が争うセミファイナルで激突する。決戦の舞台は、大阪市のヤンマースタジアム長居。両者は第3節で対戦し、パナソニックが9タッチダウンを挙げる快勝劇でIBMを一蹴した。負ければシーズン終了の一戦では、果たしてどのような結果になるだろうか。

パナソニックは、65対17で圧勝した第3節のIBM戦ではランで5個、パスでも4個のタッチダウンを奪うバランスの良い攻撃を披露した。特にランでは新人のランニングバック(RB)立川玄明が5回140ヤードと爆発したのに加えて、RBミッチェルビクタージャモーも100ヤード突破するなど計371ヤードと地上戦を制圧した。ハイパーオフェンスが持ち味のIBMに対しては、ランオフェンスで時間を費やし、多くの攻撃機会を相手に与えないように試合をコントロールすることが必要だ。また、パスではブレナン翼、レオンシャ・フィールズら縦に速いレシーバーを揃えているので、クオーターバック(QB)アンソニー・ロウレンスは長短織り交ぜた多彩な空中戦を展開して相手ディフェンスに的を絞らせないようにしたい。

守備では、IBMのパス攻撃が強力なので、前線からデイビッド・モトゥ(上段写真)、ジャボリー・ウィリアムスがプレッシャーをかけて容易にパスを投げさせず、後方ではジョシュア・コックス、辻篤志らセカンダリー陣がビッグプレイを狙う。また、第6節の富士通フロンティアーズ戦で4本のフィールドゴールを成功させて勝利に貢献した佐伯眞太郎の正確な右足は、接戦となった時に大きな武器となるだろう。レギュラーシーズンをリーグ唯一の無敗で勝ち抜いたチームに大きな死角は見当たらなさそうだ。

対するIBMも、レギュラーシーズンを3連勝で終えて上り調子だ。特に司令塔の政本悠紀(下段写真)は、0勝3敗1分けだった前半4試合は、9タッチダウンに対して被7インターセプトと不安定。しかし、3連勝した後半3試合では10タッチダウンに対して2被インターセプトと安定感抜群だった。第5節のオール三菱ライオンズ戦で7タッチダウンの荒稼ぎがあったとはいえ、ゲーム終盤の冷静なクオーターバッキングのおかげでIBMがセミファイナル最後の1枠に滑り込めたと言っても過言ではない。ターゲットには、快足でシュアハンドのワイドレシーバー(WR)ジェイソン・スミスやタイとエンド(TE)ジョン・スタントン、WR白根滉ら身長186センチ以上の長身レシーバーがそろう。パナソニックのディフェンスバック陣はそれほど高身長ではないので、高さのアドバンテージを生かしたい。また、第3節では不在だった近江克仁の加入は大きい。ケビン・クラフトヘッドコーチも信頼を寄せるヨーロッパ帰りのレシーバーは、日本代表の主将でも発揮したリーダーシップでチームを鼓舞する。

IBMが勝利のために必要なのは粘り強い守備。参考にしたいのが、パナソニックが今季一番苦しんだ第2節のノジマ相模原ライズ戦。最終的にパナソニックが勝利するも、第3クオーターまで劣勢の展開だった。パナソニックが後半に入ってもリードを許していたのはこの試合のみ。IBMはロングゲインを許せず、辛抱強いディフェンスが求められる。

「前節で勝った相手だからといって、次の試合で絶対に勝てるとは限らない。これがフットボールの面白さ」とパナソニックの荒木延祥監督が言うように一発勝負のトーナメントでは何が起きるか分からない。レギュラーシーズンのような一方的な展開にはならないだろう。