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【Frontiers‘ Road to Rice Bowl Vol. 4】 第2節:アップセットの脅威にもブレないQB高木の安定感 早くもエースの風格〈短期集中連載⑧〉

2021年12月29日(水) 14:00

横綱相撲という言葉がある。相手がどんなに果敢に攻めてこようとも決して動揺することなく、格の違いを見せつけて勝ち切ることだ。第2節に東京ガスクリエイターズの猛攻にあいながら48分間一度も追いつかれることなく32-22で下したフロンティアーズはそれを体現したと言っていい。

クリエイターズはシーズンが短縮された昨季は0勝2敗、2019年シーズンも2勝5敗でX1 Superの6位に終わった。しかし、今季はクオーターバック(QB)にバージニア工科大学出身のジェロッド・エバンスを迎え、ワイドレシーバー(WR)ナムディ・アグード、ディフェンスバック(DB)でありながらWRも兼任するショーン・ドレイパーの存在もあり、過去の戦績が全く参考にならない新生チームとして登場した。開幕週こそインパルスに完封で大敗したものの、チームの持っている潜在能力は高く、その片鱗がこの試合で現れた。

これがXリーグ2戦目となるエバンスは32試投で20回のパス成功、227ヤードを投げ、2つのタッチダウンパスを成功させた。ランでも66ヤードを走り、1タッチダウンをあげている。彼のトップターゲットのアグードは7回のパスキャッチで124ヤード、1タッチダウンをマークした。

こうしたクリエイターズの躍進はスコアにも反映された。フロンティアーズは第2クオーター序盤までにランニングバック(RB)トラショーン・ニクソンの2つのタッチダウンランで15-3とリードするが、エバンスからアグードへのタッチダウンパス、エバンスの6ヤードタッチダウンランなどでクリエイターズも追いすがる。1ポゼッション差で推移する時間帯が長く、順当勝ちが予想されたフロンティアーズがまさかのアップセットを食らうかとの不安がよぎる場面がいくつかあった。戦前に有利とされたチームほどプレッシャーを感じる展開だ。

しかし、終わってみれば得点差が5点より縮まることはなく、DB奥田凌大のインターセプトリターンタッチダウン、キッカー(K)西村豪哲の24ヤードフィールドゴールなどで着実に得点を重ねたフロンティアーズが開幕2連勝を飾った。

フロンティアーズは、周囲がクリエイターズのアップセットを予感するほどプレッシャーを感じていなかったかもしれない。なぜなら、正QBとなって2試合目の高木翼(写真)に抜群の安定感があったからだ。オフェンス最大の武器であるニクソンのランを効果的に使いながら、自身はWR宜本潤平、中村輝晃クラーク、サマジー・グラントらにパスを投げ分け、順調にオフェンスをドライブさせた。タッチダウンパスこそ1つに終わったが、パントで陣地回復を強いられたポゼッションはわずか2回で見事にオフェンスをコントロールした。

開幕節で完封負けしたとは思えないほど得点力のあるオフェンスを展開して接戦を演じたクリエイターズに対し、自分たちのフットボールスタイルをブレることなく実行した高木はチームメートからの信頼を得るに十分だったに違いない。今季大きな成長を見せたと自他ともに認める高木だが、この試合はその大きなきっかけだったかもしれない。

次回:〈短期集中連載⑨〉【Impulse’s Road to Rice Bowl Vol. 5】最終節:リーグ戦1位通過も慢心なし 大勝でいざセミファイナルへ

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