ニュース

【X Factor】紆余曲折の末にたどり着いた理想の場所 パナソニックで過ごす人生最高の瞬間

2021年12月30日(木) 20:10

Xリーグが選ぶ今季のMVPはパナソニック インパルスのラインバッカー(LB)ジャボリー・ウィリアムス選手が受賞しました。Xリーグではウィリアムス選手に単独インタビューを実施。受賞の喜び、今季印象に残った対戦相手、インパルスに対する熱い想いなどを語ってくれました。その一問一答を掲載します。インタビュー動画のノーカット英語版は【 https://youtu.be/Yi0yo7TVPVI 】でご覧いただけます。

Q: ジャボリー・ウィリアムス選手、あなたは今シーズンのXリーグのMVPに選ばれました。今のお気持ちを聞かせてください。この受賞は予想していましたか?

ジャボリー・ウィリアムス(以下JW): 最高の気分です。でも、これはジャボリー・ウィリアムスだけが受賞したものではありません。パナソニック インパルスというチームでいただいた賞です。昨年の私はなかなかいいプレーができませんでしたが、それでもインパルスのコーチや選手はみんな今年も私を受け入れてくれました。ラインバッカーのユニットやオフェンスライン(OL)など助けがあるから今の私があります。そういう人たちのMVP賞です。

正直、このような賞をいただけるとは思ってもいませんでした。シーズン中はただ一生懸命にプレーすることを心がけていて、それが評価されたということだと思います。だからこそ、この受賞には感謝しています。でも、まだライスボウルがあります。ライスボウルが終わった後にチームで一緒になって祝福できたら最高です。

Q: 今シーズンを振り返っていただいて、ジャボリー選手にとってのベストゲームはどの試合ですか?

JW:オビックスシーガルズ戦ですね。3つのクオーターバック(QB)サックを決めました。この試合にはチーム全体がものすごくエネルギーを注ぎました。昨年はオービックに負けて敗退したからです。だから私たちはみんな、オービックが我々を破ったという事実をシーズンを通して忘れずに、本当にハードに練習してきました。だからこのオービック戦が自分にとってのベストゲームです。自分だけじゃなく、ディフェンス全体としてもそうだと思います。

Q: 今季対戦した選手の中で特に印象に残っているのはどの選手でしょうか?

JW:たくさんいますけれど、IBMの政本(悠紀、QB)は素晴らしい選手です。肩が強いですし、アップテンポでリリースが早く、アメリカのカレッジでのQBを見ているような思いです。また、やはりIBMのタイトエンド(TE)、87番の選手(松岡直希)もいいですね。彼は早稲田大学でチームメートの(ブレナン)翼と一緒でした。それから富士通の72番のタックル(小林祐太郎)は日大ですね。 (デイビッド)モトゥと同じ。オービックのランニングバック(RB)の43(望月麻樹)も能力の高い選手だと思います。

なかでも一番をあげるなら東京ガスの26番(林裕嗣)です。彼を見ていると元ニューイングランド・ペイトリオッツのジュリアン・エデルマンを思い出します。同じく赤いグラブをしていて、とてもいい、とても好きな選手です。

Q: 試合で最も重視している点を教えてください。

JW:もっともフォーカスするのは「圧倒すること」ですね。よく「ボールに当たれ」とか「素早くヒットしろ」などと言いますが、私がチームメートに言いたいのはとにかく楽しもうということです。だから私が試合で心掛けているのは相手を圧倒して、かつ楽しむことです。

フットボールというのは子供のスポーツなんです。だからフットボールから楽しみを奪ってはいけない。そんなことをしたらフットボールをする目的がなくなってしまいます。私にとっては楽しむことと圧倒することが試合での両輪です。圧倒することは試合で必要なこと、楽しむことは自分の中にいる少年を開放することです。

Q: 圧倒的なプレーをするために、試合に臨む際にどのように準備していますか?ルーティンのようなものはありますか?

JW:週に2回から3回はウェイトトレーニングをします。(Xリーグでは)2週間の準備期間があるので、最初の1週間は(体力)のリカバリーに専念します。試合後最初の練習は土曜日なので、最初の数日間はリカバリーをしながら1~2回のウェイトトレーニングで試合全体を通してプレーすることができるコンディショニングを整えます。

2週目は、山中(正喜)コーチや相馬(明宣)コーチが指導してくれるディフェンスのディテールに磨きをかけます。そして、さらにコンディショニングを続けて、体の状態を維持するためにウェイトトレーニングを1~2回します。

家でのルーティンですが、試合の2日ほどまえにcoco壱番屋に行ってカレーライスを食べます(笑)。カレーと…あとはラーメンかな?それが2週間ごとのルーティンです(笑)。

Q:カレーやラーメン以外に好きな食べ物はありますか?

JW:ウナギは断トツで大好きですね。ただ、超高価なものなので、給料が出た後に食べに行きます。ゲームに向けて普段は野菜や魚、エビなどヘルシーなものを食べていますが、フリータイムにはウナギ、カレー、ラーメンをローテーションして食べています。

Q: ジャボリー選手は大学時代はウェイクフォレスト大学で活躍し、卒業後はNFLのフィラデルフィア・イーグルスのキャンプにまで参加しました。その後インパルスに入団したのはどういう経緯があったのですか?インパルスのことはどう思いますか?

JW:まず、私はインパルスが大好きです。いままでの人生の中で最高の瞬間をここで味わっています。ウェイクフォレストよりもNFLよりも楽しいし、家族のような結びつきがあります。

私がXリーグ、インパルスに来るまでは紆余曲折がありました。ウェイクフォレストを卒業した後にイーグルスに呼ばれてルーキーミニキャンプとトレーニングキャンプに行きましたが、キャンプの後カットされました。その時で私は22歳だったと思います。とても落ち込みました。NFLに行けると思ったらカットされて、気分の晴れない時期が1年ほど続きました。そんな時にアライアンスリーグ(AAF、2019年の春に発足した新興リーグ)のチームに呼ばれたんです。ところがそのAAFもまもなく倒産してしまう(笑)。この時は23歳になっていました。

その後、XFLにも行きましたが、これもリーグが行き詰ってしまった。ここで私はまた落ち込むわけです。何もかもがうまくいかず、ウェイクフォレストでとった学位を活かして働くことを考えました。もう自分のフットボールは終わったのだと。でも、その後、アリーナリーグから声がかかって、カリフォルニア州のオークランド・パンサーズに入団したんです。そうしたら今度はコロナです。コロナでアリーナリーグの活動がすべてストップしてしまいました。

そこで、ホームタウンに戻ってノーザンイリノイ大学でアシスタントコーチの仕事に就こうとしていました。そのときにパナソニックから電話がかかってきたんです。私は、日本でフットボールが行われているなんて知らなかったのですが、フットボールができるのならどこにでも行くつもりでした。これが最後のチャンスだ、これでだめならもうフットボールをあきらめようという気持ちでした。

そうやってここに来たのです。そして、人生で最高の経験をさせてもらっています。何の不満もありません。I love Panasonic. ほんとうに家族のように感じています。

Q:インパルス入団は理想的だったんですね。

JW: 私にとってパーフェクトな状況です。

Q: インパルスに入団後、どのようにプレースタイルをアジャストしてきたのでしょうか?アメリカのフットボールと日本のフットボールは違うと思いますが。

JW:ものすごく違うとは思わないですね。日本の選手の能力はアメリカ人と比べてもとても高いです。アメリカでは6フィート7インチ、300ポンドというような選手はいるかもしれません。でも、日本では例えば(OL)タカモリ(高森恵太)、アブ(油谷凌)、ジュンペイ(柴田純平)はとてもテクニックがうまい。アブはすぐにアメリカでプレーできると思います。タカモリもジュンペイも。

彼らはテクニックのある素晴らしい選手ですが、加えて仕事にもいかなければいけないし、フットボール以外にもいろんなことを気にしなければいけない。もし彼らがフットボールだけに集中できたらすごいことになります。パナソニックだけではありません。富士通やオービック、東京ガス、エレコム、ライズなど日本には本当にタレントある選手がたくさんいます。でもそれが表に出ることはあまりない。彼らは仕事もあるし、アメリカのように有名ではありません。でも、間違いなく日本のフットボールレベルはアメリカに次ぐタレントはそろっていると思います。

Q: いよいよライスボウルで日本選手権をかけて戦います。調子はいかがですか?

JW:コンディションはいいです。(インタビューの前日に)甲子園ボウルを観に行きましたが、今すぐにでもプレーしたいと思いました。熱気に包まれたスタジアムでKG(関西学院大学)と法政が戦うのを見て、今にも入場証をかなぐり捨てて東京ドームに飛んでいきたいと思いました。

(セミファイナル直後の)先週は休養で、今週からフル回転する感じです。精神的にも集中し、肉体的にもロックインしています。とてもいい状態だと思ます。これからの2週間でチームメートと一緒に集中し、2週間後には準備万端で臨みます。

Q:最後にファンにメッセージを。

JW:応援してくれてありがとうございます。私が日本に来てからというもの、素晴らしい時間を過ごしています。アウェーでもホームでも応援してくれるインパルスのファンの方が大好きです。あなたたちは最高です。外国人である私を温かく迎えてくれました。私やチーム、そして対戦相手にも声援を送ってくれる。本当に素晴らしい。私はXリーグにきて、その一員としてプレーできることを本当に嬉しく思います。