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富士通にすい星のごとく現れた無名の新人RB香川 155ヤード走破も「80%の出来」

2022年06月08日(水) 16:00

5日に富士通スタジアム川崎で行われたディアーズフットボールクラブ戦で9タッチダウンを奪い、春季交流戦初戦を快勝した富士通フロンティアーズ。圧倒的な強さを見せた昨季王者の中でも、ひときわ存在感を見せたのが新人ランニングバック(RB)香川将成(上段・中段写真)だ。

リーグ初戦でラン15回、155回、2タッチダウン。文句なしのパフォーマンスを見せたルーキーは、この試合のチームMVPに選出された。

圧巻だったのは第2クオーター開始早々に決めた70ヤードの独走タッチダウンラン。抜群のスピードで相手守備を一瞬に置き去りにしてエンドゾーンまでボールを運んだ。このプレーは、香川自身が取り組んできた成果の賜物だった。

「オフェンスラインが道をあけてくれました。それと、レシーバーのブロックの部分にもこだわってやっていました。結構オープン展開になった時に最後までレシーバーがついていってくれたのでゲインすることができました」。

1998年生まれの香川は、関西学生アメリカンフットボールディビジョン4の関西外国語大学出身。お世辞にも強豪校とは言えない。高校時代は野球の名門校、報徳学園野球部に所属していて、ポジションはセカンド。広島東洋カープの小園海斗選手は2学年後輩にあたる。

大学からアメフトを始めた香川は、卒業後に富士通のトライアウトを受験するも不合格。その後練習生として参加させてもらい、身長165センチと背が低い自分でも何をできるか考えた。出した答えは、平日の一人練習や、外国人選手にウェイトトレーニングを教えてもらうこと。そんな弛まぬ努力が実を結び、今年から社会人王者の一員になる夢が叶った。

香川は、学年で言うと、チームメイトのRB三宅昂輝(下段写真)と同期だ。学生界のエースだった三宅がチーム2年目なのに対して、学生時代無名の香川は1年目。そんな対照的な道を歩んできた二人は、日常から仲良しだという。この日も、70ヤード独走タッチダウンを決めた香川に触発されたのか、三宅も負けじと82ヤードタッチダウンランを含む11回106ヤード、1タッチダウンの大活躍だった。

「ライバルという関係よりは、自分の中では一緒に出たい。どちらかがエースではなく、これから彼と二人でやっていけたらいいと思うので、悔しい反面嬉しい部分もありました」と、ライバルのパフォーマンスを喜ぶ香川。今後も切磋琢磨して上昇していくことを誓った。

山本洋ヘッドコーチは、この日の香川の出来について、「7、80点。及第点ではあります」と一定の評価を与えながらも、「気を付ければ色々なことができるはずなので、外から見ていてもったいないと思います。練習でも言われているポイントなので、その辺を直していくともっと上のレベルにいけると思います」と、さらなる奮起を促した。

奇しくも、香川の自己評価も指揮官と同じだった。

「80点。理由は、良いプレーもあったけど、サードダウンショートで取り切れないなど悪い部分もあったからです」。

今後に向けての修正ポイントが明確になった。社会人1試合目で評価をするのは時期尚早だが、この課題を克服できた時、香川が秋シーズンでもリーグに旋風を巻き起こし、真のスターダムにのし上がることも夢ではないかもしれない。

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