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【Dream Bowl】アイビーリーグ選抜バグノリHC、日本のアメフトが成長するには「若い世代が育つことが大事」

2023年01月26日(木) 10:22

22日に全日本選抜とアイビーリーグ選抜が戦うJapan U.S. Dream Bowl が国立競技場で開催された。全日本選抜は後半に一度はリードを奪うも、最終的に底力を見せられ20対24で惜敗した。

3年前にTSL選抜と戦った時は、16対36の完敗だった。その時の日本代表は、日本国籍のみの選手で編成された。そして相手は、NFL経験者もいるプロ予備軍。開催地は、アメリカだった。

それに対して、今回のDream Bowlは、Xリーグで活躍する外国籍選手を含んだ日本選抜で挑んだ。現時点での日本最強メンバーだったかもしれない。相手は学生で、開催地は日本。3年前と比べて全日本選抜のアドバンテージは大きかったと思うが、結果は4点差。点差だけをみれば、3年前より進化しているかもしれない。

全日本選抜の指揮を執った山本洋ヘッドコーチ(富士通フロンティアーズ)も趙翔来主将(富士通)も、試合後の会見では厳しい表情だった。山本HCは「我々にとっては非常に残念な結果になった。負けたことは素直に受け止めたい」と悔しさをにじませた。

それでは、大学選抜であれプロ予備軍相手であれ、アメリカのチームに勝つという悲願を達成するためには何が必要なのか。指揮官とキャプテンが異口同音に口にしたのは、「個人の強さ」。もちろんアメフトはチームスポーツだが、大事な局面では1対1の強さがものをいう。実際に、アイビーリーグ選抜の決勝タッチダウンは、クオーターバックの(QB)ライアン・グローバーが全日本選抜の守備を引きずるような形のパワフルなランだった。

趙主将は、「1対1の勝負に勝てていない。このままだと日本はこの先上にいけない。1対1をどれだけ勝てるか、それを国内のリーグでも意識していこうと選手に言いました。もし次にこのような機会がありましたら、1対1にこだわりたい」と危機感を募らせ、個人の力の差を痛感した。

アメリカとの距離は縮まったのだろうか、それとも変わっていないのだろうか。

そんな中で、アイビーリーグ選抜を率いたアル・バグノリヘッドコーチは、2004年のアイビー侍ボウルで来日した時から、日本のアメリカンフットボールが成長したことに目を細めた。

「プレーの質、プレーヤーの質、オフェンス、ディフェンス、キッキング、システムすべてにおいて進歩していると思います」。

そして、米カレッジ界で通算269勝の名将は日本のアメフトがさらに進化するためには、「若い世代にアメリカンフットボールをやってもらって、若い世代が育つことが大事」とアドバイスした。

今回の全日本選抜は、学生から6名が選出された。しかし、試合が接戦だったためか、ワイドレシーバー(WR)溝口駿斗(関西大学)以外は出番がなかった。それでも、練習では屈強なXリーガーを圧倒する場面も見られた。若い選手は間違いなく育っているのだ。ただ、バグノリヘッドコーチがいう「若い世代」というのは大学生ではなく、小学生くらいを指しているのだろう。

個人が1対1で勝負ができるようにフィジカルを強くして、若い世代からアメリカンフットボールを体にしみ込ませる。もちろん一朝一夕でできるものではないだろう。しかし、今回の敗戦で得た経験を今後の糧にしていけば、アメリカとの差は今よりもっと縮まり、必ずやアメリカのチームに勝利する日がやってくるに違いない。