これぞベテランの技! 一瞬のスキを見逃さなかったアサヒビールシルバースターQB安藤和馬
2023年09月14日(木) 12:00「何があるかわからないと自分の中で準備していたので、途中出場でも落ち着いてプレーできました」。
試合後に笑顔で答えたのは、開幕節の胎内ディアーズ戦で逆転タッチダウンを演出するなど好リリーフを見せたアサヒビールシルバースターのクオーターバック(QB)安藤和馬だ。
この日のアサヒビールは、エースQBのジミー・ロックレイが欠場することが試合前から決まっていたため、司令塔は柴崎、安藤、新人の西本晟による日本人3人体制だった。その中で、先発QBに起用されたのは今季から加入した柴崎哲平。柴崎は、秋のリーグ戦ではおよそ2年ぶりのプレーとなるため、安藤はいつでも出られるように準備していた。
その柴崎は、久しぶりの実戦による緊張からかオープニングドライブのファーストプレーでインターセプトを喫してしまう。その後は本来の調子を取り戻した柴崎は、2つのタッチダウンを奪うなど復調の兆しを見せた。しかし、背番号12の左腕は後半のファーストシリーズでも自陣でインターセプトのミスを犯してしまった。そこで、有馬隼人ヘッドコーチ(HC)は、「(攻撃の)リズムが良くならなかった」という理由で、次のシリーズから安藤を投入した。
この采配がズバリとハマり、心の準備をしていた安藤は途中出場にも動じず、「自分は難しいことを考えずに早いタイミングでパスを投げ込むことを意識しました」と言うように、コーチからの指示通りにプレーして川村洋志への2ヤードタッチダウンパスにつなげた。
そして、フットボール歴17年目を迎える安藤の真骨頂が発揮されたのは、最終クオーターのワイドレシーバー(WR)デビン・フェルプスへのタッチダウンパスのシーンだった。敵陣47ヤードで第3ダウン1ヤードの場面、3点を追うアサヒビールは、QB安藤が右サイドから内に切れ込んできたフェルプスへパス。捕球したフェルプスがそのままエンドゾーンまでボールを運び、アサヒビールは逆転に成功した。このプレーを安藤は次のように振り返る。
「相手があまりアジャストできてなさそうな感じがプレー前にしていて、スナップを受けた時にデビンが空きそうなルートが見えたのでそこに投げた感じです」。
これぞベテランの戦術眼。わずかな時間の中で、一瞬のスキを見逃さなかった。
普段はパンターとしての出場が大半だが、QBとしてこれだけ長い間プレーしたのは本人曰く「2年ぶりくらいです」。
それでもパス11回中10回成功で122ヤード、2タッチダウンとほぼパーフェクトの出来。パントでも再三ナイスキックで陣地を回復し、相手に好ポジションから攻撃をスタートさせなかった。
有馬HCも「安藤の残してくれた結果は、大きなものでした。チーム全員が安藤を信頼していることが証明されました」と好リリーフを見せたベテランに賛辞を惜しまない。
チームのホームページによれば、安藤は今年の抱負を「QBとしてもPとしてもベテランらしいプレーでチームの勝利に貢献します」と宣言。学生時代からパスに定評があった32歳は、開幕節からいきなり有言実行の結果を残した。
関連リンク
<ニュース>
・新旧戦力がかみ合ったアサヒビールが開幕白星発進 ディアーズとの接戦を制す
<動画>
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