阿部拓朗と亀山暉の両エースWRの高い壁に自慢のスピードで挑むアサヒ飲料チャレンジャーズ3年目のWR藤俊輔
2023年09月14日(木) 13:00アサヒ飲料チャレンジャーズの開幕戦は10日、兵庫県尼崎市のベイコム陸上競技場で東京ガスクリエイターズを迎えて行われ、試合時間残り6秒でタッチダウンを奪い17‐13で勝利を収めた。しかし、正重高志ヘッドコーチは試合後に沸き立つベンチやスタンドとは対照的に「全く嬉しくない」と厳しいコメントを残した。
理由はプラン通りに戦うことができなかったオフェンスにある。オフェンスライン(OL)が相手をしっかりブロッキングできないことで、ランニグバック(RB)がファーストタックルで倒されてしまいラン獲得ヤードはわずか71ヤードにとどまった。
アサヒ飲料が逆転したシリーズでは、クオーターバック(QB)ギャレット・サフロンがワイドレシーバー(WR)藤俊輔、阿部拓朗、ブギー・ナイトらへテンポよくパスを決めたことで、ゴール前まで迫ることができた。最後はワイルドキャットの隊形からランで前進を重ね、RB清水大和がタッチダウンを奪った。
WR陣はこの日、阿部と並ぶエース亀山暉をケガで欠いた。その代役を果たしたのが、3年目のシーズンを迎える藤だった。7回のキャッチで88ヤードを稼ぎ出した阿部には及ばないものの、3回のキャッチで34ヤードを獲得。「藤は、ボールをキャッチした後に10ヤード以上走る場面があった。求めるレベルが違うが、阿部にはもう少しフィジカルを強くしキャッチした後にさらにヤードを稼ぐシーンを見せて欲しかった」と正重ヘッドコーチが話すほど、藤のキャッチ後のフィジカルを高く評価した。
藤は仁川学院高校時代は野球部に所属。現在、阪神タイガースで活躍する佐藤輝明と同級生で、3年間ともに汗を流した。高校時代に関西学院大学と立命館大学の試合を観戦し、アメリカンフットボールに一目ぼれした。進学した神戸学院大でアメリカンフットボール部に入部し、1年生からWRでプレーし、4年生の時は主将となってエースWRとして活躍。チームは2部で3位の成績を収めた。
社会人になってアサヒ飲料を選んだのは、同部のOBやオフェンスコーディネーターに大学2年生の時から誘われていたことが理由だったが、それなりにプライドをもって練習に参加し始めた。しかし、1年目のシーズンは富士にとって亀山と阿部の存在が高い壁となった。
「これまでと180度、アメフトの考え方が変わりました。『亀山さんと阿部さんは、1つのプレーでそこまで色々なことを考えているのか』と気づかされたんです。自分が考えている2倍のことを二人は考えていて、その存在はあまりにも大きく、追いつくのは大変だと思いました」と藤。
2年目には、インサイドに配置されるWRとして試合出場機会に恵まれだした。ただ、ボールをキャッチしてからのランの難しさを痛感。3年目のシーズンはトレーナーの指導の下、フィジカル面を意識して下半身強化に努め、X1 Superで当たり負けしない体を作り上げてきた。
そんな中、エースWR亀山が初戦をケガで欠場したため、初めてスターターとして名を連ねた。せっかくめぐってきたチャンスを、意識して取り組んできたランアフターキャッチ(キャッチしてからのラン)で結果を出すことができ、大きな自信にもなった。
藤は、WR以外にも、パントカバーチームの一員としても試合に出場する。シーズン前に志願してカバーチームの練習に参加。そのスピードが評価され、試合で起用されてパントボールをエンドゾーン手前でカバーする動きを見せた。これには、正重ヘッドコーチも「ナイスカバーだった」とそのシーンを振り返る。
エース亀山がケガから復帰すると、スターターの座を争うことになる。亀山、阿部に負けないのは「スピード」と藤は言い切る。WR、そしてパントカバーチームの一員としてそのスピードを活かし経験を積むことで、藤の更なる成長はもちろん、若い選手の思い切りのよいプレーでチーム全体の活性化も期待できる。藤の今シーズンの足に注目だ。
関連リンク
<ニュース>
・アサヒ飲料クラブチャレンジャーズが兵庫県尼崎市で東京ガスクリエイターズに逆転勝ち 試合時間残り6秒で清水大和が決勝TD
<動画>
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