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【X1 Area】アズワンブラックイーグルスの加納友輔HCの采配がズバリ サヨナラFGで警視庁イーグルスに劇的逆転勝利

2023年09月30日(土) 21:08

【サヨナラFGを決めるアズワンブラックイーグルスK森下峻(右)】

X1 Area節3節第1日は30日、大阪府吹田市のMKタクシーフィールドエキスポで関西遠征の警視庁イーグルスとアズワンブラックイーグルスが対戦。試合は二転三転するなかアズワンが「サヨナラフィールドゴール」で逆転勝利を飾り、秋季リーグ2勝1敗とした。敗れた警視庁は今季初黒星で同じく2勝1敗となった。

「疲れた。しんどい試合だった」。これがアズワンの加納友輔ヘッドコーチの試合後第一声だった。それほど第4クオーターの攻防は激しかった。

試合は前半、警視庁ペースで進む。第1クオーター、自陣23ヤードからオフェンスを展開した警視庁がランプレーを中心にじわりじわりとアズワン陣内に攻め込む。そして第1クオーター残り30秒にキッカー(K)長洲祐太朗が41ヤードのロングフィールドゴールを決めて先制。

【第2QにTDパスキャッチを決めた警視庁イーグルスWR石川圭太(左)】

第2クオーターは、警視庁守備陣がアズワンオフェンスをパントに抑えて自陣39ヤードから攻撃を開始する。クオーターバック(QB)齋藤詩伸のラン、ランニングバック(RB)有馬和弘のロングランで敵陣34ヤードまで展開。そして7分27秒にワイドレシーバー(WR)石川圭太へのタッチダウンパスをヒットさせて9‐0とリードを広げた。

アズワンは8分50秒にK森下峻が46ヤードのフィールドゴールをきっちり決めて3‐9と追いすがる。さらに前半残り31秒に39ヤードのフィールドゴールを狙うも、ゴールポストの外側にはずれて追加点をあげることは出来なかった。

警視庁は第3クオーターの攻撃を自陣24ヤードから開始。時間を有効に使いながら敵陣25ヤードまで攻め込む。しかし、フォースダウンギャンブルでタッチダウンを狙ったパスは、エンドゾーンでレシーバーと競り合ったアズワンのラインバッカー(LB)富治林令士にインターセプトされて攻撃権を失う。

この後アズワンは自陣33ヤードからの攻撃で、右サイドを走るWR川畑一輝へ新人QB滝藤雅貴が放った67ヤードタッチダウンパスが見事に決まり10‐9と逆転に成功する。

粘る警視庁は第4クオーター試合残り1分2秒に、K長洲がこの試合2本目となる39ヤードフィールドゴールを決めて12‐10と再逆転。そして、続くキックオフでアズワンが痛恨のファンブルを犯し、これを警視庁が自陣47ヤードでリカバーして攻撃権を奪い取った。このまま時間を消化して攻撃を進め、タイムアップとなれば警視庁の逃げ切り勝利のはずだった。ところが、警視庁が攻撃権を放棄するフォースダウンパントのスチュエーションになったときにアズワンが仕掛ける。

【チームトップの52ヤードをランで稼いだアズワンRB坂井佑史郎】

「(警視庁の)パンターは左きき。右サイドから思い切ってプレッシャーをかけろ」とアズワンの加納HCが指示。この指示通りのプレッシャーが効いたのかミスパントとなり、アズワンは敵陣45ヤードから攻撃を開始するチャンスを得る。この時点で試合残り時間はわずか23秒だった。

「タイムアウトが残っていなかったので、ファーストプレーはスパイク。次にロングパスでファーストダウンを狙い。成功したらフィールドゴールを狙う、とオフェンスチームには事前にプレーコールしていました。40ヤード程度であればK森下が必ずフィールドゴールを成功させるから」と加納HCの冷静な判断と事前の準備が着実に遂行された。

そして試合残り時間3秒、思惑通りにK森下が43ヤードのフィールドゴールを蹴り込み13‐12と再々逆転。その後のキックオフを警視庁は陣地挽回のリターンを果敢にするものの、アズワンの守備に阻まれてタイムアップとなった。

【第3Qに逆転TDパスレセプションをしたアズワンWR川畑一輝】

「チームを引き受けてから4年余り。このところ選手の意識が変わったと思う。以前ならミスをするとネガティブになっていたが、今は選手全員が前向きになってミスをカバーしていくプラス思考に変わってきた。この試合でも最後の最後まで諦めない姿勢がチームに勝利をもたらした。チームはちょっとずつ良くなっている。良い感じでオール三菱ライオンズ(10月14日、MKタクシーフィールドエキスポ)と戦うことが出来る」と次の大一番に向けて手応えを感じ取った加納HCだった。