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スナップ連携の猛練習と頭の整理でパフォーマンスが向上 パナソニック勝利の立役者P小林真大

2023年11月10日(金) 13:00

【第5節のオービック戦で4回のパントで貢献したパナソニック インパルスP小林真大(中央)  ©X LEAGUE】

X1 Superの最終節、全勝対決となったオービックシーガルズとの激戦を14‐9で制したパナソニック インパルス。荒木延祥監督は勝利チーム監督インタビューで試合を振り返り「課題はあるが、ほぼゲームプラン通りの試合が出来た。今日の試合のMVPはパンターの小林真大ですね」と、パンター(P)という地味なポジションを務める小林をあげた。

当の小林にこのコメントを伝えると「今日は出来すぎ。たまたま運よくころがっただけです。自分でもびっくりしています」と、照れた。

小林は、誰もが「高い放物線を描く美しいパント」とたたえる距離のあるパントを蹴る。この試合ではパナソニックは4回の攻撃放棄をして自軍の陣地を挽回するパントを蹴った。1回当たり平均 53.8ヤードで最長59ヤードのキック力をみせた。そパント4回中の3回は敵陣ゴール前1ヤードという絶妙なパントだった。対戦相手のオービックにとっては、とても嫌な憎たらしいパンターだったに違いない。

「1戦目、2戦目はまだまだだったが、しっかり準備してくれて著しく成長した。今日の試合ではベンチの狙い通りのプレーをしてくれました」と荒木監督は小林の成長振りに目を細めた。

そのコメントを受けて小林は「初戦、2戦目とリズムに乗り切れずチームに迷惑をかけるプレーを連続してしまったんです」という。特に2戦目の東京ガスクリエイターズ戦では、スナップされたボールを受けたとき膝をつき、その不利な地点から相手に攻撃権を与えたり、蹴るタイミングが遅れてパントブロックされてリターンタッチダウンされたりするなど「最悪の出来」だったという。

【P小林の2本目のパントをゴール前1ヤードで押さえるパナソニックのパントカバーチーム  ©X LEAGUE】

試合を反省するなかで、スナッパーとの連携が上手くいっていないと感じた小林は「練習前、アフター練習でスナッパー山元耀と毎回1時間以上徹底的にやりました。めちゃくちゃ練習しましたから。」そして、「これまでの試合では頭の整理がちゃんと出来ていなかったんです。オービック戦では自分のすべきことは何かをきちんと整理、準備して挑みました」と胸を張った。

今春の神戸ボウルは昨季のライスボウルで対戦した富士通フロンティアーズとの再戦だった。試合は引き分けに終わったが、小林はMVPに選出された。その時のコメントで「同じポジションの佐伯さん兄弟のようなエグいキックが蹴れる選手になりたい」と話していた。このことを質問すると「佐伯兄弟のプレーはどんな時でも肝が据わっている。冷静に連続して同じプレーが出来る。自分もそうなりたいですが、まだまだです。でもやっと足首くらいは掴めるようになったかも」と、はにかみながらも頼もしい発言をする。

インタビュー中、チームメイトやコーチから「小林、ナイス」と賞賛の声をかけられていた。チームの窮地を救うPとしてライスボウルトーナメントを勝ち上がり、日本一奪還のためにもその右足に期待がかかる。