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RBTセミファイナルでモメンタムを奪い返したQB石内卓也の投入 「背番号8」で8年ぶりの日本一目指す

2023年12月21日(木) 12:00

【荒木延祥監督がセミファイナルのMVPと評価するパナソニック インパルスQB石内卓也  ©X LEAGUE】

ライスボウルトーナメント(RBT)セミファイナルでIBM BIG BLUE(Division B 2位)を47‐23と圧勝で下し、3年連続のライスボウル出場を決めたパナソニック インパルス(Division A 1位)。
試合後の勝利監督インタビューでパナソニックの荒木延祥監督は、この試合でのMVPを聞かれて何人かの候補をあげたなかで、最終的にクオーターバック(QB)石内卓也を指名した。

今季のパナソニックは外国人QBの採用をやめて、石内と荒木優也の日本人QB2人併用体制で春のシーズンから取り組んできた。

「外国人QBは強肩でボールリリースも速い。そして脚力もあり、能力が高い。しかしベンチとのコミュニケーションが取りにくかった。そこでチーム全員で話し合った結果、日本人QBで挑むことにした。高田鉄男以来6年ぶりですかね」と、荒木監督は日本人QBになったいきさつをこう説明した

第3クオーター開始早々に荒木(優)がワイドレシーバー(WR)桑田理介へのパスでタッチダウンを取って30‐6と大きく点差を広げたものの、その後にIBMがノーハドルの速い展開のハイパーオフェンスでじりじりと得点を重ね、第4クオーター開始13秒にはフィールドゴールを決めて1ポゼッションまで得点を縮めてきた。

【石内との2人体制で起用されるQB荒木優也(右)  ©X LEAGUE】

この場面を荒木監督は「優也の指揮するオフェンスが決めるところで決めきれずに悪い流れになってきた」と振り返る。そこで「ベンチサイドで僕の横でオフェンスのプレーについてコミュニケーションをとっていた卓也を再度投入」することを決意した。この決断が功を奏して、石内が展開するオフェンスがモメンタムを奪い返し、最終クオーターだけで2タッチダウン、1フィールドゴールの計17点を奪ってIBMを圧倒した。これが荒木監督が石内をMVPだと評価する理由だ。

当の石内は「いつでも出られる準備をしていた。別に緊張しなくて楽しんでプレーすることできた。これは今シーズン成長したことです。それにレシーバー、ランニングバック、オフェンスラインらのチームメート1対1で勝ってくれるのを信じていた。特にWRブレナン翼が難しい19ヤードパスを相手ディフェンダーを戸惑わせてキャッチしてくれたのが、40点目のタッチダウンにつながった」と自分の役目を果たせたことに安堵の様子。

そして「パナソニックに入って8年目、やっと出番が回ってきたという感じですね。荒木と2人QB体制は先発、2番手(の違い)はあるけれど、どちらも試合に必ず出場することが決まっているので、ともにチームを勝たせるためにプレーを共有しているんです。荒木はオフェンスリーダーとして強いメンタルを持っていて、良い刺激をチームに与えています」と、共同作業でオフェンスを率いていることを強調する。

加えて「(パナソニックを2015年のライスボウル優勝に導いたQB)高田鉄男さんには様々な形でいつも試合後にアドバイスをもらっています。僕の付けている背番号8は、高田さんがつけていた番号。ライスボウルでのプレー経験はないけれど、自分ならどうするかを考えながらプレーしたい」と、『タクヤ』『ユウヤ』コンビで8年ぶりの日本一を目指す。