【X1Super】堅守からリズムをつかんだ富士通、爆発的攻撃力で開幕4連勝
2019年10月07日(月) 09:48ここまで3連勝で首位を快走する富士通フロンティアーズと勝ち星なしと苦しむオール三菱ライオンズ。今後の上位対決、残留争いと互いにテーマのあるゲーム。
エースQBバードソン・マイケル(#3)を欠く富士通であったが、守備が堅守からリズムを掴むと、攻撃でもQB高木翼(#18)が随所に好プレーを見せ、68-0で今季初の完封勝利を挙げた。
試合はオール三菱のキックオフで開始。富士通は最初のプレーでRBグラント・サマジー(#29)がフィールドを駆け抜け、44ヤード前進。これでリズムに乗った富士通は着実にゲインを重ね、このシリーズをK西村豪哲(#11)の42ヤードのフィールドゴールトライに繋げ、幸先良く先制を決める。
続いて迎えたオール三菱の攻撃シリーズ。QBを状況に応じて切り替えるオール三菱は最初のシリーズにQB斎藤圭(#9)を起用。しかしここは富士通LBマシス・ジョー(#5)らの激しいプレッシャーの前にダウン更新ならず、パントに追い込まれる。
このパントをキャッチしたPR猪熊星也(#84)が好リターンを見せ、富士通は敵陣からの攻撃権を獲得する。
ここでも最初のプレーでRBグラントがオール三菱のタックルをうまくかわしてロングゲインを奪い、最後はQB高木がWR岩松慶将(#22)へのタッチダウンパスを成功させ、追加点を得る。
オール三菱はRB萩原誠人(#28)らのランプレーを軸に前進を狙うが、富士通守備陣の激しいプレッシャーの前に思うようにボールを進めることができない。
反対に富士通はRBグラント、RBウィリアムス・デレクアキラ(#26)らが、オール三菱守備網を抜けて前進を続ける。
勢いのままRBグラントがオフェンスラインを飛び越えてエンドゾーンにダイブ。17-0とさらにリードを広げる。
第2クォーターに入っても富士通の勢いは止まらない。守備陣の活躍で好フィールドポジションから攻撃を開始すると、攻撃ラインの鉄壁ブロックに守られたQB高木は冷静にWRを探しパスを成功させる。
ランプレーでは、RBグラントに負けまいとRBウィリアムスも、第2クォーター開始早々にタッチダウンを決める。
オール三菱はQBに斎藤と谷口翔真(#15)を交互に起用し、ランプレーや短い距離のパスプレーで富士通守備のプレッシャーをかわそうとする。
しかし富士通の集まりの速い強力守備ラインのパワーの前に、ダウン更新すら出来ない状況が続いてしまう。
富士通はベーシックなプレーで攻撃を進めるが、第2クォーターではWR高津佐隼矢(#13)をQBに配置させ、ダイレクトスナップからのランなど、随所にスペシャルプレーを織りまぜる。
4分54秒にはQB高木がRBにボールを渡すと見せかけて、そのまま中央を抜けてタッチダウン。7分31秒にはランプレーで前進を続けたところで、高木がWR松井理己(#85)にパスを決めてタッチダウンと、立て続けに得点を重ねていく。
第2クォーター終盤のオール三菱の攻撃シリーズは、ここまでランプレー中心だった攻撃をパス中心に切り替える。QB斎藤がタイミングよくパスを決めてようやくテンポ良く攻撃が進み始める。
着実に前進を図ったオール三菱だが、ここでも富士通守備陣が襲いかかる。ダウン更新を狙ってQB斎藤が投じたパスを、富士通DB奥田凌大(#23)がインターセプト。富士通が攻撃権を獲得する。
この試合初めて自陣の深い位置からの攻撃となった富士通。RBウィリアムスのランでダウンを更新すると、QB高木からのパスを受けたTE水野悠司(#87)が一気に48ヤードを前進し、敵陣へと進入。
最後はQB高木からエースWR中村輝晃クラーク(#81)へのタッチダウンパスが成功。前半で44-0という大差となり、試合の趨勢を決めてしまう。
富士通は後半からQBにベテランの平本恵也(#12)を起用。その平本からボールを受けたRBウィリアムスがいきなり中央を抜けてロングゲインに成功。QB平本はパスに加え、自身のランプレーでもゲインを続けると、TE水野へのタッチダウンパスを成功させ、51-0とさらにリードを広げる。
なんとか反撃したいオール三菱。QB谷口が得意とする力強いランプレーでダウンを更新。さらに自身のランプレーフェイクからのパスなどで揺さぶりを仕掛けるが、富士通LB山岸明生(#47)の強烈なタックルなどにより、前進を阻まれ得点には至らない。
その後も富士通はK大塚健一(#25)の22ヤードフィールドゴールや、第4クォーターにはRB金雄一(#30)の2ヤードタッチダウンランで得点を重ねる。
試合終了間際にはRB高口和起(#33)が16ヤードタッチダウンランを決めて、68-0のファイナルスコアで富士通が勝利を収めた。
大差のついた試合となったが「自分たちのミスで相手を上手く回させてしまったのが悔やまれる」と、オール三菱の林顕ヘッドコーチ。オール三菱にとっては大きなミスは少なかったものの、細かいタックルやブロックミスから、相手にモメンタムを掴まれたのが悔やまれる結果となった。
「ウチは仕事の関係で新人選手を試合に合流させるのはどうしてもいまの時期になる。これから少しずつ慣らしていきたい。後半戦に向けてチーム内で何が課題であるかを選手と共に洗い出している状況。そこで出した課題をチーム内で少しずつ解決させて成長していく」と、着実に自分たちの歩みを進めている。
一方大勝した富士通山本洋ヘッドコーチは「QB高木は昨年からかなり力をつけているので、その力をしっかり発揮できているが、若干のミスもあるので、バードソンが戻ってきても起用できるように準備を続けてほしい」と、手応えを感じている。
しかし「ここ数試合は得点こそ取れているが、あくまでも結果的にスコアに繋がっているという部分がある。攻撃はもっと細かいところを詰めていきたい。守備も怪我人が戻ってくるというプラス面はあるが、今後対戦するオービックなど強力な外国人選手のいるチーム相手の場合、小さいタックルミスが得点に直結するので精度を向上させたい」と、その表情から慢心は伺えず、さらなるチーム力の向上を目指している。
Text 早坂茂
Photo エムアイプランニング