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「みんなで勝ち取った勝利」―SEKISUIが崩した富士通の壁

2025年11月19日(水) 19:00

【第6節富士通戦のゲームMVPに選ばれたSEKISUIチャレンジャーズQBギャレット・サフロン  ©X LEAGUE】

X1 Super第6節、SEKISUIチャレンジャーズが富士通フロンティアーズを相手に劇的な逆転勝利を収めた。これまで幾度となく跳ね返されてきた王者の壁を、ついに打ち破った一戦だった。

試合後、武田真一ヘッドコーチはチーム全員の奮闘を称えた。

「選手もコーチもやってくれました。コーチ陣はずっとミーティングしてゲームプランを作ってくれて、それを選手がしっかり応えてくれました。みんなで勝ち取った勝利だと思います」

試合序盤はSEKISUIペースで進んでいたが、後半からはリードがめまぐるしく入れ替わる展開。それでも武田HCは、オフェンスの出来に手応えを感じていた。

「今日はオフェンスがいけるなと思っていました。あとはディフェンスが踏ん張るだけ。勝ち負けは意識せず、1プレー1プレー集中した結果です」

そして4点ビハインドで迎えた第4クオーター残り57秒、自陣26ヤードからスタートしたドライブ。敵陣25ヤードを目標に「刻んでいこう」と声をかけた。焦りも迷いもなかった。タイムアウトを3つ残し、冷静に時間を使いながら最後のワンプレーにかける――。その狙い通り、QBギャレット・サフロン率いるオフェンスが見事にフィニッシュを決め、歴史的勝利を呼び込んだ。

【富士通RBトラショーン・ニクソンをタックルして止めるSEKISUI DL阪田幸祐(中央下)  ©X LEAGUE】

「敵陣25ヤードまで行けば何か起こせると思っていた。そのラストプレーにかけようと話していたんです。まさにそれがうまくいきました」

昨シーズンのライスボウルトーナメントで敗れた富士通に勝った瞬間、武田HCの表情には安堵と喜びが入り混じった。この10年のレギュラーシーズンで富士通に勝ったのはオービックシーガルズ、パナソニック インパルス、そして今季のノジマ相模原ライズに続いてSEKISUIが4チーム目。指揮官は、その事実を噛みしめるように語った。

「嬉しいですよ。この10年で富士通に勝ったチームはほんのわずか。今季はライズさんが勝ちましてああいう試合をしたいと思っていたけど、みんなが本当に頑張ってくれました」

【試合時間残り9秒で決勝のTDパスをキャッチするSEKISUI WRブギー・ナイト(左)  ©X LEAGUE】

チームを牽引したのは、この試合のゲームMVPを獲得したQBサフロン。主将として2年目を迎える司令塔について「僕以上のチームリーダー」と武田HCが称えるように、その存在はプレーだけでなく、チームの雰囲気そのものを変えてきた。誰もが前を向き、楽しそうにフットボールに打ち込む姿が、今のチャレンジャーズを象徴している。

遠征先の関東でつかんだ勝利を「SEKISUIさんにも、応援してくださっている皆さんにも良い報告ができた」と語る武田HC。長いシーズンの果てに手にしたこの一勝は、単なる結果以上の意味を持つ。

それは、挑戦し続けてきたチームが、ようやく“強豪への道”を歩み始めたことを示す一勝だった。