Japan Kicking Academy代表・丸田喬仁さん「蹴ることを教えながら実は人間指導をしています」
2020年08月25日(火) 15:41
毎回ゲストスピーカーを招いて行われるオンラインQ&Aセッション「アメフトークスタンド」。8月19日のゲストは、「世界最高峰のボールを蹴る技術」の伝道師、Japan Kicking Academy代表・丸田喬仁さん。
法政大学4年時に同大OBで米アリーナフットボールで活躍した飯塚啓太さんの指導を受け飛躍的に成績が伸びたことからコーチと海外挑戦に興味を持った丸田さん。今ではワールドクラスの選手の輩出を目指す「Japan Kicking Academy(JKA)」の代表として、後進の指導にあたる。日本人初のNFL、CFL入りを狙う佐藤敏基(IBMビッグブルー)、山﨑丈路(オービックシーガルズ)両選手も丸田さんの指導を受ける。
丸田さんの悲願でもある「日本人初のNFLプレーヤー誕生」は、まずそのスタートラインに立つのさえ極めてハードルが高い。アメリカに単身渡り、有力コーチがNFLのスカウト陣を招聘して行うショーケース(大きなものは年2回)で全米から集まった精鋭たちを抑えてトップの成績を収めなければならない。
「山﨑が二つある大きなショーケースのうちの一つで結果を出し、もう一方で佐藤がトップの成績を上げて、良い流れが来てました。結果を聞いておそらくボクが日本一喜んだのではないかと思います(笑)。(その後コロナで難しい状況になったが)、次のチャンスに向けて気持ちを切り替えました」
選手、コーチとして海外挑戦を続ける中で「丸田メソッド」を培ってきた。日本人ならではの理論、技術で高みを目指す。中でもボールを蹴るまでのアプローチ、助走の力をいかにボールに伝えるかは「アメリカ人コーチでもおそらく言及していない。独自のもの」だという。「でも、教えることの半分以上は『人としてどうあるべきか』ですね。瞑想を取り入れたりもしていますが、基本は人間的指導が中心です。どういう心持ちで自分と向き合い、チームの選手やコーチと向き合うのか。選手にはそういうことを伝えています」
「佐藤も山﨑もそうですが、アメリカでも一流キッカーは必ず『いいヤツ』ですね。これはキッカーに限ったことではないかもしれませんが、とにかく性格が良くないと上手くなれない」と内面を重視する。
もともと指導者不足の国内フットボールにあって、特定ポジションのコーチが存在する環境は稀だ。
「知らないからできないのは残念。基本を身に付けて、細かな点を改善するだけでパフォーマンスが大きく変わります。トッププレーヤーだけでなく全レベルに対応していますので、一度はボクの話を聞いてもらいたい」と自らの経験も踏まえて「正解」を知っておくことの重要性を説く。
「キッカーは息の長いポジション。佐藤、山﨑はこれからが円熟期で楽しみ。今シーズンのパフォーマンスにもきっと驚いてもらえると思います。彼らのNFL入りは変わらぬ目標ですが、2人に続く日本人選手の発掘と育成が目下のミッションです」
キッカーが花形ポジションになる日もそう遠くなさそうだ。