特集

第78回ライスボウル:富士通フロンティアーズ

2024年12月20日(金) 03:56

富士通フロンティアーズ

戦力充実でチーム史上2度目の4連覇達成なるか
― 攻・守・SPの全分野で得点できる総合力 ―

今年の富士通フロンティアーズの戦いぶりはしばしば「盤石」と表現されてきた。リーグ戦(レギュラーシーズンゲーム)からプレーオフ・ライスボウルトーナメント(RBT)に至るまで危なげなく勝ち進み、チーム史上2度目、ライスボウルの歴史で3例目となる4連覇達成に王手をかけた。

リーグ戦ではX1 Superトップの282得点(1試合平均47点)をたたき出した。これは例年トップレベルを誇るオフェンスだけでなく、ディフェンスのインターセプトリターンタッチダウンとスペシャルチーム(フィールドゴール、キックリターンタッチダウン)によるスコアを含めた数字だ。

特にキックリターンではWRサマジー・グラントが一人で4つのタッチダウンを記録している。オフェンス、ディフェンス、キッキングのすべての分野で高い得点能力を持つところが今季の富士通の特徴のひとつだ。

オフェンスはリーグ戦中のランによる獲得距離が、X1 Superで唯一4桁(1,113ヤード)の数字を残した。過去2年連続でリーグMVPに輝いたRBトラショーン・ニクソンは言うまでもなく、三宅昂輝、香川将成も地上戦で活躍を見せた。RBが替わってもコンスタントにランが出るのは強力なOLの存在があるためだ。主将の大久保壮哉外を始め、郭宇寧、山下公平らオールXリーグ常連のOLがライン戦を支配する。

第73回大会のライスボウルMVPに選ばれているQB高木翼は抜群のパスコントロールでWR神優成、木村和喜、坂本アントニーマウネディらの成長を促してきた。こうした選手がライスボウルの舞台で本領を発揮すれば大量得点も可能だ。

DL藤谷雄飛、LB徳茂宏樹、DB渡辺裕也、ビーティー・ブロンソンらが活躍するディフェンスは失点の少なさが際立つ。今季8試合での1試合平均失点はわずかに9.9点。1タッチダウンとトライフォーポイント、プラス1フィールドゴールで勝てる計算だ。

ディフェンスは個人記録で突出した数字はないが、DLジョー・マシスは「ディフェンスはユニットでプレーするものだ。個人ではなく、全体として同じ方向性を持ってプレーするところに富士通ディフェンスの強さがある」と胸を張る。

富士通オフェンスはサードダウンコンバージョン率(第3ダウンでのファーストダウン更新率)が55.3%とリーグで最も高く、ドライブを継続できる。タッチダウン率も高いため、PやKの出番は多くない。それでもフィールドゴールの成功率は83%を超え、こちらもX1 Super1位の数字だ。オフェンス、ディフェンス、スペシャルチームのすべての分野で高いレベルを誇り、総合力で4連覇を目指す。

Frontiers’s Road to Rice Bowl

注目選手


WR神優成:神は今季最も成長したWRの一人だ。QB高木が投げるロングパスをオーバーショルダー(肩越し)にキャッチする技術に長け、ダイナミックなタッチダウンプレーを生んできた。フィールドを縦に走るスピードでDBを置き去りにし、ワイドオープンとなって高木のターゲットとなる。レッドゾーン(ゴール前20ヤード)でのオフェンスでは目が離せない存在だ。


DL宇田正男:107キロのサイズを生かしてOLを圧倒する。素早くボールキャリアーを見つけてタックルするスピードもあり、オフェンス陣内にペネトレート(侵入)してロスタックルで相手にダメージを与える。パナソニックの強力なランオフェンスとのマッチアップは見どころ満載だ。


KR/PRサマジー・グラント:WRとして活躍するだけでなく、今季はパントリターンで3本、キックオフリターンで1本のタッチダウンを記録している。キックされたボールをキャッチしてから味方のブロッキングを素早く読み、空いているレーンを判断するや否やトップスピードにギアをあげてフィールドを駆け上がる。タックラーをかわすクイックネスにも注目。

プロフィール

富士通フロンティアーズは富士通グループのアメリカンフットボール経験者が集まり、同好会として発足する。1985年、“アマチュアリズムで仕事もフットボールも日本一に”をスローガンに、日本アメリカンフットボール界の開拓者となる事を誓い「FRONTIERS」と命名し、日本社会人アメリカンフットボール協会2部リーグに加盟。以降、急速に力をつけ、創部3年目には社会人最高峰の1部リーグに昇格した。

2014年のシーズン創部30年目にして、6度目の出場となるJAPAN X BOWLで初めて勝利し、社会人日本一に。初出場となる日本選手権(RICE BOWL)でも学生王者を相手に勝利を納め、「日本一」の栄冠に輝いた。また、2016年シーズンに2度目の日本一を達成すると、以降、2018年シーズンまで3連覇を達成。2019年シーズンには、それまでの実績をベースに、さらなる高みに上るべく、それまでチームを率いていた藤田ヘッドコーチが勇退し、山本ヘッドコーチ体制となる。新体制で迎えた2019年シーズン、史上最多タイの4連覇を達成。2023シーズンは3連覇8度目となる日本一を達成。2024シーズンは4連覇を目指す。

発足時のスローガンを体現すべく、所属する選手・スタッフは、仕事と競技の両立と、拠点である川崎市の「かわさきスポーツパートナー」として、地域貢献活動にも積極的に参加している。

カテゴリ 実業団
母体企業 富士通株式会社
オフィシャルスポンサー
創部/加盟 1985年/1986年
Xリーグリーグ戦通算成績
※1996年以降、X2以下除く
■レギュラーシーズン
159戦 129勝 28敗 2分
■ポストシーズン
40戦 29勝 11敗
※ポストシーズンはJXB(2021年度~ライスボウル)、順位決定戦含む
日本社会人選手権出場/優勝 出場12回/優勝5回(2014/2016/2017/2018/2019)
ライスボウル出場/優勝 出場8【3】回/優勝8【3】回(2014/2016/2017/2018/2019/2021/2022/2023)※【 】内は2021年度から社会人対決の回数
チーム名の由来 日本のフットボール界の先駆者(フロンティア)になることを願って。
チームカラー
公式サイト https://sports.jp.fujitsu.com/frontiers/
チームスローガン WIN THE DAY
スローガンに込めた意味 日本一を達成するために「いま」自分は何をするのか常に考え、日々自分に勝つ。シーズンを通した大きな成長に向けて1%の成長を日々重ねる。