特集

第78回ライスボウル:パナソニック インパルス

2024年12月20日(金) 04:01

パナソニック インパルス

高山直也HC新体制で9年ぶりの日本一奪回へ
― 鉄壁守備と強力なラン攻撃で「4度目の正直」を目指す -

パナソニック インパルスは2021年シーズンからリーグ戦(レギュラーシーズンゲーム)では負け知らずで23連勝中だ。過去3シーズンで唯一負けているのがライスボウルの舞台で、いずれも富士通フロンティアーズに苦杯をなめている。今年は高山直也新ヘッドコーチ体制になり、「4度目の正直」で2015年シーズン以来となるライスボウル優勝・日本一を目指す。

今季もリーグ戦で順調に勝ち星を重ね、全12チーム中総合2位でプレーオフ・ライスボウルトーナメント(RBT)に進出した。第2節のSEKISUIチャレンジャーズ戦では1点差の勝利となったが、それ以外は相手を寄せ付けない安定した戦いぶりで4年連続11回目のライスボウル出場を果たした。

とくにRBTに入ってからは鉄壁のディフェンスと強力なランオフェンスが際立った。クオーターファイナルでは万能型QBデイビッド・ピンデルを擁するエレコム神戸ファイニーズに完封勝ち。4年前の王者オービックシーガルズと対戦したセミファイナルでは相手にタッチダウンを与えずに勝利した。

自慢のディフェンスはLB青根奨太主将を中心に、パスラッシュの強いLBジャボリー・ウィリアムス、今季のインターセプト王に輝いたDB山元耀、RBTで2インターセプトを記録したワイズマンモーゼス海人らが守備を固める。

この守備陣が遺憾なく威力を発揮したのがセミファイナルだ。オービックに見舞ったQBサックは9回を数え、喪失距離は61ヤードに及んだ。さらに3回のインターセプトと2回のファンブル誘発を記録し、相手のボールを積極的に奪いに行くアグレッシブな姿勢が見られた。

これはリーグ戦中のスタッツ(公式記録)にも表れている。特筆すべきはターンオーバーの獲得率だ。リーグ戦ではターンオーバーを獲得した数が13なのに対し、喪失はわずかに1回。ターンオーバー獲得率(獲得数と喪失数の差)は12で、ライスボウルトーナメントに出場した8チームの中でダントツに多い。ターンオーバーは試合の流れを大きく変えるビッグプレーだ。ライスボウルでこのターンオーバー獲得率の高さが発揮されれば、多くの得点機を生むことができるだろう。

オフェンスはRB立川玄明を中心としたランが大きな武器だ。立川は中央突破のパワーと一気に距離を稼ぐスピードを兼備する大型バックだ。オービック戦では0‐5の劣勢をひっくり返すきっかけとなった68ヤードランで流れを引き寄せた。

シーズン終盤にミッチェルビクタージャモーが復帰したのも好材料だ。ミッチェルはパスキャッチでも貢献が大きく、オフェンス幅を広げる存在だ。

QB荒木優也は今季8試合を戦って、被インターセプトがひとつもない。ロングパスを連発して距離を稼ぐようなタイプではないが、致命的なミスを避けつつ、要所でWR桑田理介、ブレナン翼、TEケイレブ・フィリップスといったレシーバー陣に確実なパスをヒットできる司令塔だ。

Impulse’s Road to Rice Bowl

注目選手


RB立川玄明:今年学生日本一に輝いた立命館大学の出身で、4年目。昨年からチームの副将も務める。鍛え上げられた下半身が生むパワーでスクリメージラインをこじ開け、一気にフィールドを駆け上がる。ボディバランスも抜群で、ディフェンダーからのヒットにも強い。トップスピードに乗ると簡単に止めることができないビッグプレーメーカーだ。


LBジャボリー・ウィリアムス:米NCAAのウェイクフォレスト大学で中心選手として活躍した経歴を持つ。パスラッシャーとして相手オフェンスから最も警戒される選手の一人で、リーグ戦で記録したQBサック数は2位タイの4を数える。RBTセミファイナルでも2回のサックで勝利に貢献した。ヘルメットからはみ出した長髪がトレードマーク。


P小林真大:パナソニックはリーグ戦中のサードダウンコンバージョン率(第3ダウンでのファーストダウン更新率)が32%とRBT出場チームの中では最も低いが、そのピンチを幾度となく救ってきたのが小林のキックだ。状況に応じて飛距離を調節できるだけでなく、絶妙な位置にボールを配置するテクニックも持つ。リーグ戦ではXリーグで初のフィールドゴールも決めた。

プロフィール

パナソニック インパルスは1974年に創部。日本フットボール界と弊社社員に衝撃(インパルス)を与えようということから「松下電工インパルス」と命名して活動を開始。

1987年には社内のCI(コーポレート・アイデンティティ)スポーツに認定され、全社的なバックアップ体制のもとでフットボール経験者のリクルーティングを中心としたチーム力強化のための環境が整備される。翌1988年シーズンに初の社会人決勝戦進出。1990年シーズンに初の社会人優勝を果たし、創部20年目にあたる1994年、創部30年目の2004年、以降2007年、2015年シーズンにライスボウルを制覇した。これまで社会人選手権出場15回/優勝7回、ライスボウル出場7回/優勝4回の戦績を誇る。

チーム理念は『アメリカンフットボールを通じて人びとに感動や活力を提供すると共に、本活動を通じて一流の社会人を育成・輩出し、社会の発展に貢献する』とし、仕事とフットボールの両立に対して妥協なく取り組むというインパルス活動を通じた人材育成に力を入れている。

カテゴリ 実業団
母体企業 パナソニック株式会社
オフィシャルスポンサー
創部/加盟 1974年/1976年
Xリーグリーグ戦通算成績
※1996年以降、X2以下除く
■レギュラーシーズン
158戦142勝16敗
■ポストシーズン
42戦23勝19敗
※ポストシーズンはJXB(2021年度~ライスボウル)、順位決定戦含む
日本社会人選手権出場/優勝 出場15回/優勝7回(1990/1994/1995/2004/2007/2008/2015)
ライスボウル出場/優勝 出場10回/優勝4回(1994/2004/2007/2015)
チーム名の由来 「フットボール界と当社社員に衝撃(インパルス)を与えよう」ということから命名。
チームカラー パナソニックブルー・ブラック・グレー
公式サイト https://panasonic.co.jp/ew/go-go-impulse/
チームスローガン ALL OUT
スローガンに込めた意味 昨シーズン以上の情熱(PASSION)をもって、チームのメンバー1人ひとりが自身の考動に誇りを持ち、出し惜しみなく表現することで日本一熱く応援されるチームを作り上げ、悲願の日本一奪還を成し遂げる。