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【X Factor】モントリオール・アルエッツRB李卓

2021年07月07日(水) 19:00

この夏、6人の「X戦士」がカナダのプロフットボールリーグCFLに挑戦します。「X Factor」ではその6選手全員に独占インタビューを行いました。7月10日のトレーニングキャンプ開始を前にCFLに挑戦する意気込みを聞きます。

「広いフィールドで生きる加速とボディバランス 楽しみな挑戦」

NFLが国際的な人材を発掘するために行うIPP(インターナショナルプレイヤーパスウェイ)プログラムの候補生に日本人として初めて選ばれたオービックシーガルズのRB李卓選手。モントリオール・アルエッツからのドラフト指名(3巡24番目)は予想外のことだったそうですが、今はCFLの広いフィールドで自分の持ち味を存分に発揮することに集中しています。

Q:グローバルドラフト(日本時間4月16日未明)の当日はどこで指名を知りましたか?
李:僕はアメリカに滞在中でIPPプログラムの結果を待っているところでした。CFLからドラフト指名を受けて、まずは自分の海外挑戦がひとつ実を結んだということでとても嬉しい気持ちでした。

Q:李選手がIPPプログラム候補生になったことはCFLも知っていました。そのCFLのチームからドラフト指名されるというのは予想していましたか?
李:いえ、予想していなかったです。モントリオールからはそれまで一切連絡はなかったですし、ほかにも連絡をくれたチームはあったんですが、「今はIPPプログラムに専念する」という回答をしていたので指名されるという心の準備はしていませんでした。

Q:その後IPPプログラムのアロケーション(選手派遣)の結果が出て、CFLに目標を切り替えることになるのですが、CFL行きを決意したのはいつ頃ですか?
李:決めたのは5月の中旬頃です。IPPプログラムのスタッフからフリーエージェントとしてNFLキャンプに参加する可能性を模索したいと言われていました。アロケーションがだめでもNFLのキャンプに参加できるようにもう少しチャレンジしたいからアメリカに残って欲しいと。そういう意味でまだ(CFLとは)契約しない方がいいのかなとIPPのスタッフとは相談していました。ですが、IPPプログラムのキャンプも始まっていたし、またCFLとの契約の期限もあったので5月中旬頃にサインしました。

Q:CFLに行く決断をするときに、どなたかに相談しましたか?
李:IPPのスタッフや大橋(誠オービックシーガルズHC)さん、デイビッド(スタント慶応義塾大学ユニコーンズHC)コーチとも相談しました。自分にとってベストな選択は何なのかということで。デイビッドコーチからは「CFLという舞台で活躍できるチャンスは素晴らしい。ぜひチャレンジして欲しい」という言葉を掛けられました。大橋さんにも挑戦がひとつ実を結んだということですごく喜んでいただきました。

Q:CFLに行くことを決意してから今までどのようなトレーニングしてきましたか?
李:(フットボールの)プレイスピードではなく、純粋なスプリントの走りの速さを鍛えるためにスピードトレーニングに注力してきました。

Q:モントリオール・アルエッツにはどのようなイメージを持っていますか?
李:もともと持っていたイメージは(元ベンガルズのWR)チャド・オチョシンコ選手だったり、(元ブラウンズのQB)ジョニー・マンゼル選手だったりといったNFLを引退した選手がプレイしていたチームというものです。映像を見て知っていて、「ああ、あのチームか」という印象でした。2019年からユニフォームが変わって慶應義塾大学のユニフォームに似たものになったんです。馴染みのあるユニフォームなので楽しみです。

Q:すでにアルエッツのスタッフやコーチとは話をしましたか?
李:アシスタントHC兼RBコーチ(アンドレ・ボルダック)とはメールでやり取りはしています。また、日本でのコンバイン(昨年2月)に来日していたグレッグ・クイックという当時のCFLスカウトディレクターがモントリオールのアシスタントコーチになっていて「うちのチームに来てくれ」という熱烈なメッセージをいただいた。必要とされているということがとても嬉しかったです。

Q:昨年のシーズンはオービックで日本一に輝きました。Xリーグの決勝戦であるジャパンXボウルではMVPにも選ばれました。チャンピオンシップ経験者はプロリーグに行っても周囲からの目が違います。日本一になったというのは自信になりますか?
李:自分の中では日本一になってNFL選手になりたいという気持ちがあったので、ひとつのステップアップという意味で日本一が自信になったのは間違いないです。けれど、海外に行く上で自分としてはそういう自信やプライドを一旦忘れて、拭い捨ててもう一度新しい気持ちで挑戦したいという気持ちです。

Q:CFLに挑戦するにあたって李選手の一番の武器はどういう点ですか?
李:一番の武器はやはりフィールドをうまく使ってそこに走り込んでいく加速とボディバランスだと思っています。ボディバランスはコンタクトに関わることなのでアメリカンフットボールもカナディアンフットボールも変わらないんですけど、CFLはNFLよりフィールドが広くなるので、フィールドに入り込んでいく際の自分の加速はもっと生かせるんじゃないかなと楽しみにしています。

Q:日本のフットボールリーグでは経験したことのない未知のことですが、CFLではレギュラーシーズン中に時差のある地域で試合することになります。
李:時差もそうですが、ほぼ休みなく14試合もシーズンが続いていくので耐久性やセルフケアは本当にプロフェッショナルな取り組みが必要になるんじゃないかと覚悟しています。

Q:最後の質問です。今の李選手が思う、アマチュアとプロフェッショナルの違いとは何ですか?
李:う~ん、難しいですね…。ひとつ僕が思い浮かぶのはパイロットの職業の訓練生の時に機長に教えて頂いたことです。僕は訓練が始まっていなかったのでそれがただひとつの教えになったのですが、「言い訳をしない」という言葉です。それがプロフェッショナルとして必要な要素だということをすごく教えていただいた。今思うのはプロというのはその道で進んでいく覚悟を決めることなので、もう言い訳はきかないし、常に自分自身に矢印を向けて言い訳なく突き進むしかないのかなということです。

李卓(り たく)
モントリオール・アルエッツRB(3巡全体24番目指名)
1995年2月20日、 愛知県生まれ。慶應義塾大学3~4年生時に関東大学リーグのリーディングラッシャーとなる。2018年にオービックシーガルズに加入し、昨年のジャパンXボウルでは2TDで優勝に貢献するとともに自身もMVPに輝いた。2021年のNFLインターナショナルプレイヤ-パスウェイ(IPP)プログラム候補生に選ばれる。2014年U-19日本代表。2015年日本代表。182 cm、90 kg。

Montreal Alouettes(モントリオール・アルエッツ)
1946年創部だが、2度のチーム閉鎖を経て現在に至る。1970年代だけで3度のグレイカップ優勝を果たすなどCFLを席巻したが、1982年にチームが経営破綻のために消滅。別のオーナーシップによって「コンコルズ」という新チームが誕生し、4年後にアルエッツに改名するも2年で再び閉鎖の憂き目をみる。その後モントリオールは9年間にわたってチームの存在しない時期が続くが、1996年に当時米メリーランド州ボルティモアにあったスタリオンズというチームがモントリオールに移転する形で現在のアルエッツが誕生した。チーム名はひばりに由来。本拠地:ケベック州モントリオール ホーム球場:パーシバルモルソンメモリアルスタジアム(23,420人収容) 2019年シーズン:10勝8敗(イーストディビジョン2位) グレイカップ優勝:7回(1949、1970、1974、1977、2002、2009、2010年)

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