【X Factor】ここぞの場面でボールを託す　実力と信頼で勝利を呼び込む若き韋駄天

X1 Super第３節を終了し、ここまで不戦勝がなく戦ったすべてを勝って無敗をキープしている唯一のチームであるパナソニック インパルス。そのパナソニックが今季1度だけ後半に入って相手にリードを許した試合がある。9月19日に大阪府吹田市のエキスポフィールドで行われたノジマ相模原ライズ戦だ。

第3クオーター途中に7-10とノジマ相模原に逆転を許した。6年ぶり5度目の王座を目指すパナソニックにとって、シーズン序盤とはいえ取りこぼしは絶対に許されない。この危機的状況を救ったのが、エースランニングバック（RB）のミッチェルビクタージャモーだった。

逆転された直後のパナソニックのオフェンスは、まずミッチェルがクオーターバック（QB）アンソニー・ロウレンスからのパスをキャッチして前進。その後もパスやロウレンスのランで敵陣奥深くまで攻め込んだ。ここで再びミッチェルがパスをキャッチしてゴールに迫ると、エンドゾーンまで４ヤードの地点でボールをハンドオフされたのはやはり絶対的エースのミッチェルだった。ディフェンスライン（DL）のタックルをかわすと、そのままエンドゾーンに走り込んだ。

「今シーズンを迎えるにあたって、ワイドレシーバー的なターゲットとしてパスをキャッチする練習を積んできた。今日もその成果が出た」とミッチェルは言う。持ち前のランについては荒木延祥監督も「無駄にステップを踏まず、最短距離でスクリメージラインを抜ける理想的なランナーになっている」と成長を認める。

その走りは、逆転した直後のオフェンスで見られた。ロウレンスの2度のパスが決まり敵陣35ヤードまで攻め込むと、「ファーストダウンを取るつもりでプレーをスタートしたが、オフェンスラインのナイスブロックで前がすごく開いていたのでそのまま走った」（ミッチェル）と、今季最長となるランでタッチダウンを奪う。「試合の残り時間が5分を切っていたので、このシリーズでチームの勝利を決めたいと思っていた。（タッチダウンが取れて）よかった」と笑顔を見せた。

ミッチェルは、日本人を母親に持つハーフで、神奈川県横浜市で生まれた。5歳からバスケットボールを始め、6歳の時アメリカ・バージニア州に移ると11歳でアメリカンフットボールに出会う。高校時代は陸上部にも所属して走りに磨きをかけ、大学はディビジョンⅡのバージニアカレッジワイズ校でプレーした。

バージニア州に移ってからも、夏休みなどたびたび日本に戻り、日本の小学校に通うなどしたミッチェルが2019年5月の大学卒業後に選択したのは、小さな頃からの夢だった日本に戻ってアメフトを続けることだった。そのチームの候補の一つがパナソニックだった。その年の秋のリーグ戦では6試合で58回のボールキャリー、392ヤードを獲得。いきなりラッシング部門5位の成績を残した。

獲得の際は「ジャモー（ミッチェル）の芯の強さと実直な性格に魅力を感じた」という荒木監督。チーム内では「コンディションを万全にしたり、アサイメントを完ぺきに覚えたりなど、取り組みのレベルで国籍を問わず全員の模範になる存在」と評価する。

ここまでの3戦でオフェンスのキープレーヤーとして、ランでは24回のキャリーで221ヤーを走り、4タッチダウンを記録。パスレシーブでも9キャッチで99ヤード、1タッチダウンを稼ぎ出している。そして特筆すべきはタッチダウンの多さだ。3試合中マルチタッチダウンが2回。勝負所でボールを託される絶対的エースだ。今後実力の伯仲する相手との戦いを控えるが、荒木監督は「彼にボールを託す機会が増えるが、試合の最後まで出力を落とさないタフネスさを見せてほしい。そしてシーズン終了時に、リーグナンバーワンのRBであることを証明してほしいと思う」と期待を寄せる。

第4節は対戦相手のオール三菱ライオンズが出場辞退したため不戦勝となるが、X1 Superのセミファイナル出場権争いが佳境に入る最終の3節もランナー、そしてパスターゲットとして磨きをかけたミッチェルのプレーから目を離せない。

ミッチェル ビクタージャモー
1997年1月30日、神奈川県横浜市出身、バージニアカレッジワイズ校卒
パナソニック インパルスRB、背番号5
身長173センチ、体重79キロ

パナソニック インパルス
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＜ゲームリポート＞
第3節：パナソニックが大差でIBMを下し、無敗キープの3連勝
https://xleague.jp/news/21815
第2節：RBミッチェルのTDでパナソニックが逆転　オフェンス好調のノジマ相模原を破り開幕2連勝
https://xleague.jp/news/20981

＜見逃し配信＞（XリーグTV Powered By イレブンスポーツへの登録が必要です)
第3節：パナソニック インパルス vs. IBM BIG BLUE
https://xleaguetv.elevensports.jp/video/4768
第2節：パナソニック vs. ノジマ相模原
https://xleaguetv.elevensports.jp/video/4248